ホーム >  タイ > タイにおける牛肉の現在と未来

タイにおける牛肉の現在と未来

LINEで送る
Pocket

  • タイでは2011年に日本産牛肉の輸入が解禁されてから5年。
    高級スーパーやレストランではWAGYUの文字がよく見られるようになりましたが、今回はタイにおける牛肉消費の現状についてまとめ、未来について考えてみます。

【タイで圧倒的に消費されている鶏肉と豚肉】

タイでは豚肉と鶏肉が圧倒的に消費されています。タイ農業経済公式情報ベースによると、2014年のタイ全体で鶏肉の消費量は108万7千トンで1位、続いて豚肉は97万3千トンで2位、牛肉は大きく引き離されて12万7千トンとなっています。鶏肉と豚肉の順位はよく入れ替わっており、2012年には豚肉が1位となっています。

タイにおける肉消費調査

この数字をタイ人一人当たり(2014年時点のタイ人口 65,124,716 人)に落とし込んで見ると、鶏肉で16.69kg、豚肉で14.49kg、牛肉で1.95kgとなります。

タイの肉消費量割合

【タイ人と日本人の肉の消費量を比較】

これらの数字を日本人の消費量と比較すると

鶏肉 タイ人 16.69kg/年間 日本人 12.2kg/年間
豚肉 タイ人 14.94kg/年間 日本人 11.9kg/年間
牛肉 タイ人  1.95kg/年間 日本人  5.9kg/年間

となり、タイ人は鶏肉、豚肉は日本人より1.2〜1.4倍近く消費しているのに対して、牛肉は1/3程度しか消費されていないことになります。

タイにおける肉消費調査

【なぜタイ人は牛肉をあまり食べないのか?】

なぜタイ人は牛肉を食べないのか?理由について主に大きく3つがあると言われています。

●農業国タイでは、牛は昔から農業の手伝いをする大事な仲間。そのため牛に対し食用としての意識をもともと持っていない。
●華僑系タイ人の中には、観音様信仰があり牛肉を食べない女性が多い。特に年配の女性。(但し、最近の20歳〜30歳代の若年世代では「お婆さんやお母さんは牛肉を食べないが私は食べる。」という女性は多い。)
●南国の気候のせいもあり、タイ牛は痩せ細り、臭くて美味しくない一方で、タイは鶏肉、豚肉が美味しい。

【各チェーンのメニュー対策】

このような牛肉消費の状況下で、世界や日本において牛肉メニューをメインに扱うことで知られているファストフードチェーンやレストランチェーン、またローカルの人気ステーキチェーンがタイではどのようなメニュー構成をしているか調べてみました。

方法は、各店のグランドメニューに占める牛肉、豚肉、鶏肉、海鮮メニューの数を集計しパーセンテージで割り出したものと、お店を廻って観察したものをまとめたものであり、実際の売上構成とは異なったり、また、多少の比率の違いがあることを予めお断りしておきます。

【1】マクドナルド

マクドナルド
タイでのマクドナルド第1号店は、アメリカでの創業から37年後、1985年にバンコクにオープン。現在タイ全土で227店舗展開しています。

メニュー構成比率 牛肉24% 豚肉32% 鶏肉36% 海鮮8%
アラカルトメニューと朝マックのメニュー構成比率を元にしています。鶏肉の比率の高さはチキンナゲット、チキンバーガー、フライドチキンなど、豚肉が高い理由はポークバーガーや朝マックのMac Muffin商品によるもの。実際、店内を覗いてみるととにかくチキン商品を食べている人が多く、セット商品(EXTRA VALUE MEALS)においては、McChicken SetやChicken McNuggets™ Setなど8セット中5セットまでを 鶏肉のセットが占めています。

マクドナルド

マクドナルドタイランドのウエブサイトhttp://www.mcthai.co.th/home.php

【2】シズラー

シズラー
1958年カリフォルニアのカルバーシティで創業したステーキレストラン、シズラー。タイでは1992年にマイナーグループがフランチャイズによりトンローにある Fifty fifth Plaza に1号店をオープンしました。現在ではタイ全土の主要モールに48店舗展開しています。

メニュー構成比 牛肉30.4% 豚肉19% 鶏肉15.2% 海鮮34.2%
牛肉ステーキメニューが突出している訳ではなく、タイでは牛肉、豚肉、鶏肉、海鮮メニューが総合的に揃っていて、サラダとスープバーが人気のファミリーレストランとして認知されています。

シズラーPOP


【3】サンタフェ

サンタフェ
サンタフェは2013年に創業したローカルチェーン。わずか3年で88店舗を展開するタイNO.1のステーキレストランへと急成長を遂げ、2018年までに180店舗の展開を計画しています。

メニュー構成比 牛肉11.4% 豚肉45.6% 鶏肉24.7% 海鮮17.1%
オーストラリア牛やタイ国産黒豚などを使用したステーキを揃えていますが、お客様が好んで注文するメニューは圧倒的に黒豚ステーキとなっています。

【4】ジェファーステーキ

ジェファーステーキ
ジェファーステーキは15年の歴史があるタイのステーキレストラン。サンタフェに追い越されるまではタイで最多となる78店舗を展開しているローカルチェーンでした。10年以上ホテルのF&B部門を担当していたタイ人のサハラット氏がランシット大学の構内にバンコクグリルドというステーキレストランを開業したのが始まり。手頃な値段で大学生の間に大人気となり30店舗を超えたときにジェファーステーキに改称しました。

メニュー構成比 牛肉19.8%  豚肉33% 鶏肉19.8% 海鮮26.4%
ステーキメニューだけでなく、パスタ、サラダなどのメニューがあります。日本のレストランに例えるとガスト的な存在の店舗です。メニュー構成比の通り、店内では、豚肉メニュー、シーフードメニューを食べる姿を見かけます。

【5】モーモーパラダイス

S__58572811
1992年に日本で創業したしゃぶしゃぶ・すき焼き食べ放題の専門店モーモーパラダイスは、台湾、タイ、中国、ベトナム、米国などに展開するグローバルブランド。タイのモーモーパラダイスはNoble Restaurant Co.,Ltdによって2007年末にオープンし、現在ではバンコクで10店舗を展開しています。牛肉はコンテナで直接大量に仕入れたオーストラリア産を使用、豚肉はタイ産黒豚を使用している。20歳代〜30歳代のタイ人男女を中心客層として、タイで一番人気の日本スタイルのしゃぶしゃぶ・すき焼き食べ放題専門店です。高級店鍋ぞうプレムアムもバンコクに1店舗展開しています。

メニュー構成比率 牛肉50% 豚肉40% 鶏肉10%
店内はほぼタイ人客で埋まっており男性は牛肉、女性は豚肉を主に食べている姿が見られますが、牛肉も豚肉も美味しくリーズナブルに食べられるお店として認知されています。
バンコクではモーモーパラダイスのほか、秋吉、かごの屋も日本スタイルのしゃぶしゃぶ・すき焼き食べ放題の専門店としてタイ人から人気を集めています。高級店鍋ぞうプレミアムでは、近江牛すき焼きコース、近江牛しゃぶしゃぶコースがそれぞれ2,400バーツ(約7,200円)と高額にもかかわらず週末はタイ人のお客様で満席となっているのです。

【6】ペッパーランチ

肉_9335
ペッパーランチは、タイではCentral Restaurants Group Co., Ltd(CRG)がフランチャイズで運営しています。2007年末に1号店をセントラルワールドにオープン、現在バンコクを中心に20店舗展開しています。

メニュー構成比率 牛肉40.8% 豚肉16.8% 鶏肉26.4% 海鮮14.4%
開店当初は牛肉メニューをメインに打ち出していましたが、現在、店頭では牛肉、豚肉、鶏肉、魚肉(主にサーモン)メニューを幅広く打ち出しており、店内でも牛肉以外のメニューを食べている姿が多く見られます。

ペッパーランチメニュー

ペッパーランチタイランドのウェブサイトhttp://pepperlunchthailand.com/

【7】吉野家

吉野家
吉野家は過去に一度タイで撤退をしており、2011年8月にCENTRAL RESTAURANTS GROUP CO., LTD.(CRG)をエリアフランチャイジーとしてバンコク郊外のセントラル・ラプラオに再進出を果たしました。現在タイ国内に20店舗を展開しています。

メニュー構成比率 牛肉35.28% 豚肉38.22% 鶏肉20.58% 海鮮5.88%
オープン当初、牛丼をメインに打ち出しましたが、最近では豚肉や鶏肉、サーモンやエビフライなどの丼メニューやうどんメニューを揃えるなどを幅広くメニューを取り揃えています。

吉野家メニュー

吉野家タイランドのウェブサイト
http://www.yoshinoya.co.th

【8】銀座堂

銀座堂
日本スタイルの焼肉店で、現在バンコクで一、二を争う人気店。トンローとスクンビット26の2店舗を展開していますが、連日満席となっており、店内には日本人、タイ人だけでなく、西洋人などの姿もよく見られます。

メニュー構成比率 牛肉61.32% 豚肉22.61% 鶏肉3.23% 海鮮12.92%
メインは自社牧場で育てているタイ和牛。他では味わえない希少部位を提供するなど牛肉メニューが多く、美味しさが評判のお店です。実際に、銀座堂にはタイ人のお客様も美味しい牛肉を求めて訪れています。

【9】エルガウチョ

エルガウチョ
イスラエル人オーナーのダニー氏によって2011年に ホーチミンでオープンしたアルゼンチンステーキの店。ホーチミン、ハノイ、バンコクで展開し、現在バンコクには2店舗(スクンビット11店は閉店)あります。スクンビット19の1号店は月商5000万円を超える大繁盛店となっています。最高級のUS牛、オーストラリア牛、和牛などを使用し、炭火で焼き上げたアルゼンチンスタイルのステーキやソーセージなどのグリル料理とワインを提供しています。

メニュー構成比率 牛肉60% 羊肉10% 豚肉20% 鶏肉5% 海鮮5%
客層は欧米人が中心であり、タイ人の姿はこの店で見られることはあまりないですが、タイ人富裕層の間で本格的なステーキを味わうならエルガウチョとの認知がされています。
エルガウチョステーキ

【調査から見えてきた牛肉の未来】
このほか、ハンバーガーチェーンやしゃぶしゃぶチェーンなど調査した一部の店舗を割愛しますが、

•バンコクだけでなく、地方まで展開し成功しているチェーン店や低価格チェーン店では牛肉比率が低くなっている。

•バンコクを中心に牛肉の品質と味にこだわる高級ステーキ店や焼肉店、しゃぶしゃぶ・すき焼き店は、欧米人や日本人に頼るところもあるが繁盛しているお店がある。鍋ぞうプレミアムは近江牛すき焼き、しゃぶしゃぶコースが2,400バーツと高額にもかかわらず週末はタイ人だけで満席となっている。

•バンコクを中心に展開するしゃぶしゃぶ・すき焼きをリーズナブルな価格で提供するモーモーパラダイス、秋吉、かごの屋のように、タイ人客が中心で、タイ人が牛肉の美味しさを理解し、それを求めて来店される日本スタイルのしゃぶしゃぶ・すき焼き食べ放題店が店舗数を伸ばしている。

日本において1960年代には牛肉の消費量は国民一人あたり1kg/年間でしたが、約30年後の1991年以降、牛肉の輸入自由化により消費量は6倍〜7倍に増えました。2001年のBSE問題以降、近年は6kg/年間前後で推移しています。

タイにおいても2011年に日本産牛肉の輸入が解禁され、多くの輸入業者、サプライヤーが扱うようになり、バンコク都心部の高級スーパーの店頭には和牛や日本産牛肉が並び、日本料理店やステーキハウスでもメニューとして扱われるようになりました。また、一方で、近年、タイ国内には和牛とタイ牛を掛け合わせたタイ和牛の牧場やサプライヤーも現れ流通を始めています。

今後、タイ和牛の量産化などで美味しい牛肉が手頃な価格となりスーパーやレストランで気軽に求められるようになったり、また、しゃぶしゃぶ・すき焼き店、焼肉店、ステーキ&ハンバーグ店などの牛肉を美味しく提供する日本からの専門店が増えていくことによって、牛肉はよりタイ人に消費されていく可能性を秘めているのではないでしょうか。

LINEで送る
Pocket

海外展開にご興味ある方は
なんでもお気軽にご連絡ください。
> 24時間受付OK> 24時間受付OK

メインメニュー

教えてASEANコラム

お問い合わせ

お電話でのお問い合わせ
WEBでのお問い合わせ

フォローはこちら

人気記事ランキング

新着記事

国別で記事を探す

おすすめキーワードで記事を探す

ライター紹介