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バンコク出店事情 オモテとウラ 2017

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今回はバンコクで店舗開発にも携わる私が、この一年で実際に直面した店舗契約に関する問題についてオモテとウラの両面で取り上げてみようと思う。
タイでの事例のみとなるが、ASEAN全体で同様の問題がある様子、物件を検討する際は、契約前に十分に注意を払っていただきたい。

写真はイメージです。
写真はイメージです。

まずはオモテの話。

【1】新規にレストラン営業許可が出なくなった一軒家物件

昨年からバンコクでは一軒家物件に対してレストラン営業許可が出なくなったと話題になっている。
これまでも、建築申請の際の使用目的が「住居」として登録されていた場合は本来「住居」としての使用以外は許されなかったのであるが、袖の下や裏金で秘密裏に許可がなされてきたのだ。
それが至極当然のことではあるが、本当に住居としてしか使えなくなってしまった。
背景にあるのは、軍事政権による警察や市町村の許認可の厳格化と公務員の贈収賄の取締強化。

「住居」から「商業」へと当初の登録内容の変更申請をし、レストラン営業許可を改めて取得することは可能であるが、天井高が3.5M以上必要などといったハードルの高い条件をクリアしなければならない。

また、目当ての一軒家でレストラン営業許可をすでに取得している法人ごと買収してしまうという方法もあるが、
その法人が過去にちゃんと税務申告をしているか?
(過去に未払いがあると引き継がなければならない。)
隠れ債務がないか?
といった何が潜んでいるかわからない危険性があり、綿密な事前確認を必要とする。

また、それらの事項をクリアしていたとしても、2年前から大学、専門学校の近くでのアルコール販売を禁止するといった規制が始まったこともあって、アルコールライセンスが取得できるかどうかなどもあわせて確認しなければならない。

元のテナントから居抜きで買い取ったものの、レストラン営業許可が下りなかったという問題も既に発生している。
売主である元のテナントも日本に逃げ帰っており、結果泣き寝入りを余儀なくされたといったことも実際に耳にした。
特に一軒家物件のいい話には十分に注意を払っていただきたい。

写真はイメージです。
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タウンハウス物件も同様である。
タウンハウス物件は、建築申請の際、1階もしくは1階~中2階までを「商業」目的で申請し、2階から上を「住居」として申請、登録されている場合が多い。

今までは「住居」として登録されていた2階以上も含めて客席などとして商業利用することは見逃されてきたが、今後は「商業」目的で申請されていたフロア以外について、客席などとして商業利用することは出来なくなってしまった。
1階、中2階だけでレストラン営業許可を取得しオープンすることは容易であり問題ないが、2階から上が「住居」として申請されていた場合でそちらも客席として使用したい時には、まず「商業」目的で申請し直さなくてはレストラン営業許可が下りなくなったのだ。
あとから改装して黙ってオープンしたとしても、火災保険に加入することが出来なかったり、万一、火災が起きて焼失した場合、保険金が払われないということもあり得るので十分に注意しなければならない。

写真はイメージです。
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続いてウラ話。

【2】難題の多い個人大家との賃貸契約

今年に入って実際にあったロードサイドの店舗を展開する日系チェーン店の事例。
チェーン店の代表から、バンコク郊外の物件で大家が個人のため、心配なので仲介として間に入ってほしいと頼まれた。
相手の個人大家曰く叔母の土地を借り、建物を立てて商売をしていたが、移転するためその物件に「ForRent」と張り紙をしていたところをチェーン店代表が見つけたのだそうだ。

写真はイメージです。
写真はイメージです。

ロードサイド物件は、賃貸人が実は本当の賃貸人でなかったり、転貸主だったりということがよくある。
物件を借りるにあたって土地権利書(チャノート)を確認し、
貸主が本当に土地の所有者であるかどうか?
所有者でなくても本当の所有者から公的な委任状や署名した書類を出してもらえる貸主かどうか?
などをしっかり確認しなければならない。

これらがなければ税務登録が出来ず、事業をスタートすることが出来ないからだ。
この物件は結局、相手の個人大家が所有者からの委任状や書類を出すことができないとの理由で契約が流れることとなった。

次にその代表が見つけてきた物件は、上記の問題はクリア出来ていたものの、80歳になるおばあちゃんが大家さん、しかも今までの人生で一度も税金を払ったことがないという。
(但し、VATを除く。)
タイでは税務署は個人の通帳は覗きに来ないと言った不文律がある。
(現在、軍事政権が税収の確保に躍起になっているため、今後この暗黙のルールも崩れてくる可能性があるが)
例えば、個人がマンションの部屋や家を個人相手に貸す場合など個人間での金銭のやり取りは現状調べられることがない。
一方で、個人が法人と契約する場合、その法人が税務申告するため、金銭のやり取りを税務署に知られてしまう。
バンコクのマンションで所有者が法人との賃貸契約を嫌がる理由はここにあるのだ。

写真はイメージです。
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今回代表が見つけてきた物件の大家であるおばあちゃんは、郊外に広大な土地を所有し、店舗用物件を建てて個人相手に賃貸しているが、その収入による税金を納めたことがない。
そしてこの広大な土地を相続する息子も同様である。
しかし、これは決してタイでは珍しい話ではなく、タイ人の長男は働かないとよく言われる所以は、働かなくてもこのような 裏収入があったり、2年前にわずかな相続税が導入されたものの、親からの財産をほぼ相続税を払わずに引き継ぐことができるといったところが大きい。

話を元に戻すと、件の土地権利書にはおばあちゃん、息子、娘の名前が入っており、法人契約になるため唯一納税者である娘の名前で契約を進めようという話になった。
しかし、 「法人契約は税金がかかるので、その税額以上を家賃に上乗せして欲しい。」
「領収書を出さなくていい礼金が欲しい。」 などといった要求が始まり、そのチェーン店は近い将来日本で上場を考えていることもありその物件も契約を断念した。

個人物件でこのようなことが二度も続いたチェーン店の代表は、
「これからは商業モールに限定します。」と肩を落とした。

写真はイメージです。
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【3】商業モールでも悪い忖度(そんたく)

これも今年に入ってあったホントの話。
賃借人は日系飲食チェーン店。
契約までは非常にスムーズに進んだというのに、引渡しから建築というステップに進み、モールの建築責任者が出てきた段階で急に動きが鈍くなった。
ことごとく提出図面にケチをつけられなかなか進まない。
いよいよオープンに間に合わなくなる寸前のミーティングで再度図面を出さなければ遅延決定という状況となった。
しかし、ミーティング終了後、日本人がいなくなったところを見計らってモールの建築責任者が、テナント側の内外装工事担当のタイ人に
「出来ないなら私が図面を書いて間に合わせてあげてもいいよ。お金はかかるけど。」
と、今の流行りで言うなら「悪い忖度」を持ちかけてきた。
いくらか確認すると「5,000バーツ(約16,000円)」と言う。
そんな金額で解決できるならばと内外装工事会社の社長の判断ですぐに振り込みをしたところ、
「仕方ない。多少の不備があってもオープン日に間に合わせるようにしましょう。」とモール建築責任者の態度が一変。
内外装工事会社の社長は
「5000バーツで済むなら早く言えよ。。
今までの図面の書き直しはなんだったの。」と吐き捨てた。

さすがに大手のモールではこのような事例もなくなったが、中小規模のモールにおいては、リーシング担当者は競合になっている物件がある場合、逆に「悪い忖度」を持ちかけることでこちらに有利に事を進めてくれたり、その後も水面下情報を優先して提供してくれたりする場合もある。

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