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【タイ】【タイ仕掛人インタビュー】海辺の町初の日本食店「富士山」がオープン

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2017-12-30 13.52.18

バンコクから車で4時間。
タイ王室の保養地フアヒンをさらに越え、マレー半島が細くくびれ始めるあたりにあるのがプラチュワップキーリーカン県。
全域で人口わずか50万人ほどの小県は、風光明媚な海辺のある静かな田舎町。
一方で、太平洋戦争時に日本の旧陸軍が上陸した歴史の町としても知られる。
ここに、昨年暮れ、静かにオープンした日本食レストランがある。
店主の出身地・山梨県の名勝を店名に掲げた「富士山」がそれだ。
以前レポートさせていただいたが、店を切り盛りする橋本修一さん(53)は昨年8月、店舗物件の非更改から閉店を余儀なくされた旧「竹亭」の元オーナー。
(前回記事はこちら:「支えられて17年。日本食の「竹亭」が歴史に幕!」
半年の充電期間を経て、妻の郷里で再起を果たした。

店から10分も行けば、ご覧のような砂浜が広がる。
店から10分も行けば、ご覧のような砂浜が広がる。



Q(記者):開店おめでとうございます。今のご心境を。また、店名の由来を。
A(橋本):ありがとうございます。
一時はどん底の気持ちでおりましたが、応援をいただきましたお客様やその関係の皆様、私を信じてくれた従業員、家族の支えがあってようやくここまで来ました。
ただただ、感謝しかありません。

店の名前「富士山」は、私の故郷・山梨から採りました。
幼いころから富士山を見て育ちました。
一方で、外国の方に一番知られた山も富士山。
故郷を忘れないと同時に、日本と海外の架け橋になりたい、そんな思いから名付けました。

店内は清潔感いっぱいで広々としている。
店内は清潔感いっぱいで広々としている。

Q:日本食店ゼロ、日本人もわずかしかいないプラチュワップキーリーカン県でのご出店の経緯は。
A:タイ人妻の出身地がここプラチュワップキーリーカン。
以前から、いつかは老親の面倒を看たいと話しており、時期がちょうど重なったと言ってよいでしょう。
「日本食、絶対にいけるよ」と妻が背中を押してくれたので、私も決断することができました。

「竹亭」で人気メニューだった「ヤムサーモン」も引き継がれた。
「竹亭」で人気メニューだった「ヤムサーモン」も引き継がれた。

Q:それにしても、言ってみれば、無から有の開拓。思い切ったという印象を禁じ得ません。
A:確かに、何も(需要が)ないところからのスタート。
そう思われても、無理もありません。
ただ、それは見方の一つなのかもしれません。

バンコクの竹亭の時は、店の前を流れている川(需要=客の流れ)からどうやって水を引いてくるかが勝負でした。
ですが、今は違います。
どうやって伏流水、地下水から水を引き上げるか。
水脈をどうやって探し当てるかが勝負の分かれ目となると思っています。

取材日には愛娘も店を手伝っていた。笑顔がいい。
取材日には愛娘も店を手伝っていた。笑顔がいい。

Q:なるほど、地下水ですか。で、それは具体的には?
A:まだあまり明らかにはできませんが、田舎の町にはそれなりの特徴があります。
例えば、町には渋滞は一切ありません。
一方で、郡役所や軍を含め公的機関が多く点在します。
これらの需要をつかめば、広範囲なエリアでもジャストインタイムでのデリバリーが可能です。

また、人口はバンコクの100分の1以下に過ぎませんが、小さい町である分、皆が顔なじみです。
妻の親戚もたくさんいます。
こういった需要をしっかりと汲み取ることができれば、大都市にも決してひけは取らないと思っています。

このような風光明媚な景色も楽しむことができる。
このような風光明媚な景色も楽しむことができる。
この記事を書いた人(著者情報)

kobori

2011年11月、タイ・バンコクに意を決して単身渡った元新聞記者。東京新聞(中日新聞東京本社)、テレビ朝日で社会部に所属。警視庁記者クラブで2・4課担当を通算4年経験。銀行破綻などの各種金融事件、阪神大震災、オウム真理教事件などの取材にも当たった。事件記者出身だが、取材対象は政治・経済、社会、科学、文化までなんでも。日本の新聞、雑誌、タイのフリーペーパーやウェブサイトなどでも執筆中。著述、講演多数。

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