入れ替わりの激しいシンガポールの飲食業において、この10年人気を保ち続けている「サードウェーブコーヒー」。
日本では、広く浸透して来たのはやっとここ数年といった感じのジャンルですが、シンガポールで人気がいち早く高まった理由と現況をお伝えします。
「サードウェーブコーヒー」という言葉は、日本では2014年、アメリカのコーヒーチェーン「ブルーボトルコーヒー」が上陸したのをきっかけに一般に広く認知されるようになった感がありますが、2000年代初頭には多くの国で使われ出していた、人々のコーヒーの嗜好の大きなトレンドを現したものです。
「サードウェーブコーヒー」という言葉は、アメリカで生まれました。
「ファースト」と「セカンド」があっての「サード」な訳ですが、「ファースト・ウェーブ」は19世紀後半からアメリカでコーヒーを飲む習慣が人々に広まったことを指し、「セカンド・ウェーブ」は、スターバックスの台頭などに代表される、本格コーヒーの大衆化のことを言い、そして「サード・ウェーブ」は、セカンドウェーブがより成熟した結果、こだわり抜いた高品質な豆を熟考された製法で焙煎、そして数ある中から選んだコーヒーマシーンで淹れたコーヒーを出すカフェやそれを楽しむ人が増えたことを表すものです。
サードウェーブコーヒー的なムーブメントは世界各国で同時期に見られたため、今では広く使われています。
シンガポールを含むマレー半島全域には昔から独自のコーヒー文化が根付いています。
シンガポールではホーカーセンター(固定式屋台)やフードコートにはコーヒーのストールが必ずあり、独立したコーヒーショップも数多く存在。
それらの場所で飲まれているのは、豆に砂糖とマーガリンを加えて焙煎した「コピ」と呼ばれるローカルコーヒーですが、1杯1.50ドル(約130円)前後と手軽なのもあり、朝方はお年寄りのグループ、ランチタイムには昼食を終えた会社員のグループなどがコーヒーを前に集まる姿が多く見られ、出勤時間には朝の一杯を求める人がコーヒーショップに列を作っています。
若い人からお年寄りまで、コーヒーが生活の一部という人が多いのです。
また、コーヒー大国といわれるオーストラリアから地理的にそう離れておらず、同じ英語を使用する国でもあるので、Toby’s Estateなどのようにオーストラリアから上陸したものや、40Hands、Commonman Coffee のようにオーストラリア人ダイレクターが指揮を執るロースター・カフェもあります。
また、現在ではイギリスやアメリカでも取り入れられている、「ロングブラック」や「フラットホワイト」などのオーストラリア式のコーヒーの飲み方が、シンガポールのカフェでは先駆けて普及していたことも示すように、近年はオーストラリアの豊かなコーヒー文化の影響も強く受けています。
そのような土壌のお陰もあり、2000年代の後半から、シンガポールではサードウェーブコーヒーのカフェの数がうなぎのぼりに増え、その需要に応えるようにローカルのロースターもたくさん誕生しています。
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