前記事で、シンガポールには元々コーヒー文化が根付いていること、そして、オーストラリアの影響などもあり、サードウェーブコーヒーが上陸してから10年超、その広がりが衰えることがないことなどをお伝えしました。
今回は、どんなサードウェーブコーヒーのお店があるかなどについてお話ししたいと思います。
アメリカのニュースチャンネルCNNのサイトに2017年4月に載った、「コーヒーの世界ベスト8都市 」というタイトルの記事で、シアトルやメルボルンなどのコーヒーで有名な都市と並び、シンガポールの名も挙げられました。
シンガポールが美味しいコーヒーが飲める都市、という認識は徐々に広がっているのかも知れません。
欧米では、人々がレストランを評価する際、メインの食事だけでなく、食後のコーヒーとデザートの質まで含みます。
筆者の友人がメルボルンの和食店で働いていた時、顧客から「なぜコーヒーが1種類しかないのだ」と聞かれることがとても多かったと言っていました。
コーヒー文化が根付き、また、西洋人や西洋文化圏での滞在経験のある人などが多いシンガポールの飲食店においても、お店で出すコーヒーの選択が他店よりも一歩秀でた評価を獲得するのに一役買うことも考えられます。
カフェの入れ替わりが激しいシンガポールにおいて、 自家焙煎のこだわりのコーヒーを出す店はどこも長い間堅調に続いており、質の高いコーヒーを出す店が顧客からの根強い支持を受けていることが読み取れます。
そんなロースター・カフェの中からいくつか例をあげてみましょう。
Chye Seng Huat Hardwareは、シンガポールでサードウェーブコーヒーの豆の焙煎をいち早く始めたロースター Papa Palheta が経営するカフェです。
たくさんのロースター・カフェが増えた現在でも変わらず客足が絶えないのは、下町の、金属部品業が営まれていた当時そのままの外観の建物とスタイリッシュに改装したインテリアの、昔ながらと近代的なシンガポールの融合といった雰囲気が好まれているのもあるかも知れません。
自家焙煎のカフェの中には、Nylon Coffee Roasters のように経営陣自ら産地へ出向き、コーヒー農園を周り農場の選定からしているほどのこだわりの店もあります。
Nylon Coffee Roasters は、2012年のオープン時から変わらず、公営住宅群の中という、ヒップとは言い難いロケーションに居を構え続けていますが、わざわざ足を運ぶ客が十分にいるということなのでしょう。
他がSNSを多用し自らのコーヒーへのこだわりをアピールする中、Dutch Colony Coffee Co.はそのようなPRはほとんどしていません。
しかしカフェを3店舗展開し、どこも経営は順調に見えます。
これは、シンガポールの消費者にとって、コーヒーの良し悪しが、能書きではなく、飲めば分かるということの表れと言えそうです。
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