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【インドネシア】市民の生活を支える「ワルン」がオンライン化へ

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インドネシアの2大コンビニエンスストアといえば、『Indomaret』と『Alfamart』である。

どちらも全国の中心街には必ずある店舗だが、最近ではその営業戦略に変化が見られるようになった。
今回の記事では、それについて考えていきたい。

その前に、IndomaretとAlfamartはどちらもインドネシアを代表するコングロマリットが運営しているということを明記しておこう。
前者はサリムグループ、後者はアルファグループの店舗だ。

当然、その最高経営責任者となれば毎年の長者番付に名前を出すほどの億万長者である。
だが一方で、インドネシア政府は大企業の店舗よりも地元の零細経営者を大事にしていきたいという意向を持っている。

ワルンと大企業

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インドネシアには、どの町にも「パサール」と呼ばれる市場がある。
または「ワルン」という零細規模の個人店舗も無数に存在する。
これらは「伝統的店舗」という言葉でまとめることができる。

伝統的店舗にとって、コンビニやスーパーマーケットは「脅威」と言える。
筆者は以前、
ワルンについての記事を執筆した。
インドネシア市民にとってのワルンは、雑貨屋であると同時に食堂でもあり、井戸端会議の場でもある。
だがもしも、ある日突然その町に進出したコンビニがワルンを圧倒してしまったらどうだろうか?

大手が中小零細を根こそぎ潰し、その後に店舗を撤退させてしまう。
これがいわゆる「焼畑商業」というものだ。

小売大手の店舗拡大には、このようなリスクが潜んでいるは事実である。

スマホで商品を仕入れる

では、それを解消するにはどうしたらいいか。

ひとつの答えとして、大企業側のサービスが個人商店への卸売に特化するという手段がある。

スマートフォンの普及とともに、そうしたサービスの配信が容易になった。
サリムグループは『IDMARCO』、アルファグループは『AlfaMikro』というオンライン卸売サービスをすでに始めている。

ワルンの店主は、スマホアプリを通じてこれらのサービスへ直接アクセスすることができる。
彼らは零細の個人事業主だから、専用のPDAを持っているわけではない。
問屋へ商品を発注するとしたら、これまでは専ら口述か筆記だった。

しかし、スマホがそれを大きく変えた。
RAM2GB、クアッドコアCPUの5インチスマホならば日本円で1万円程度だ。
これさえあれば、ワルンの店主は卸売アプリを利用することができる。

ワルンで航空券

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AlfaMikroは登録された事業者にしかアクセスできないアプリだが、これを使えばワルンの店主は航空券の販売も可能になる。

考えてみれば、5年ほど前までインドネシアには「航空券独占問題」というのがあった。
これは空港の航空会社窓口でダフ屋が席を買い占めてしまうというものだ。
利用客はダフ屋から法外な値段でチケットを買うしかない。
それを受けて、中央政府が空港の販売窓口を閉鎖してしまったということがあった。

今では航空券そのものが完全オンライン化し、ダフ屋を駆逐しつつも零細販売店の利益につながる仕組みを構築することに成功した。

サリムグループの物量作戦

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一方、サリムグループのIDMARCOは食料品と生活雑貨にラインナップを絞っている。

インスタント食品や洗剤、乳児用オムツなどを箱単位で扱っていることがIDMARCOの特徴である。
Indofood社のインスタント麺などは、ワルンの定番とも言える商品だ。
このIndofoodはインドネシアトップの食品企業であるが、同時にサリムグループの系列企業でもある。

そういう意味で、IDMARCOはAlfamikroよりも優位な位置に立っているのかもしれない。
サリムグループはインドネシア人の胃袋を握っている、と表現しても過言ではないからだ。

進むスマート化

インドネシアでは、各分野でのスマート化が顕著になってきている。

タクシーはもはやスマホアプリで呼ぶものになっているし、クレジットカードを持っていない人も電子マネーでの決済をするようになった。
キャッシュレス化はサービス提供者にとっても大きなメリットをもたらす。

ブロックチェーンの本格導入までには進んでいないものの、その準備は進んでいる。
会計が明瞭になるし、行政としては無数に存在する零細事業者に対して税務調査を行うこともできる。

オンライン卸売サービスは、その仕組みを構築するための第一歩と言えるだろう。

【参考】
Alfamikro

IDMARCO

この記事を書いた人(著者情報)

澤田真一

フリーライター、グラップラー。175センチ88キロ。ASEAN経済、テクノロジー関連情報などを各メディアで執筆。

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