ここ数ヶ月、ヤンゴンで新たにオープンした店で目に付くのが、ミャンマーの地方料理をメニューに並べる店だ。
そのほとんどがカフェのようなお洒落な雰囲気で、経営者も若い人が多い。
こうした流行の背景を、ミャンマーの外食文化におけるここ数年の動きとともに考えたい。
ミャンマー人はあまり外食を好まない。
単身者が食事をとったり、共働き家庭が惣菜を買ったりする大衆食堂や屋台は一定数あるが、会社や学校には弁当を持参し、朝食や夕食も家庭で食べるのが一般的だ。
3食とも外食ですませる家庭が少なくないベトナムなどに比べると、ぐっと外食機会が少ない。
2011年と、国際市場リサーチ会社の少し古い調査結果になるが、外食産業の規模はベトナムの1割以下、店舗数ではベトナムの5%ほどという結果が出ているという。
理由は様々考えられるが、食べ物はもてなすものであって対価として金銭を受け取るのは仏教的考えと相容れないから、という説がよく言われている。
しかし、それは托鉢などにも供する日常食についてであって、中華料理やタイ料理といった非日常食はその限りではないらしく、大衆食堂よりもレベルが上のミャンマー人が外食に利用するレストランでは、これら2つの料理を出す店が昔から多かった。
2010年代に入り、中華料理とタイ料理に加え日本料理や韓国料理を出す店が目に付くようになってきた。
そういった店では、メニューのページが料理カテゴリーごとに分かれていることが多い。
この頃から日本料理、韓国料理、タイ料理と1カテゴリーの料理のみを出すレストランが増えてくる。
日本や韓国、タイへ留学や就業で行っていた人たちが、民主化へと門戸を開き始めたミャンマーへ帰ってきて店を開くケースが多かったようだ。
2015年頃から多くなってきたのが少数民族料理店だ。
中華料理に近いシャン族の料理を出すシャン料理店は昔から一定数あった。
が、ここにきてカチン族やラカイン族の料理を出す店が数を増やし、ワ族、モン族、チン族、カヤン族といったレアな少数民族の料理を出す店も現れ始めた。
こうした動きと平行して、お洒落系レストラン、カフェ、バーといった店も次々とヤンゴンに増えていった。
こうしたお洒落系飲食店の多くは経営者(共同経営含む)か欧米人か、欧米やバンコク、中国に長く滞在して帰国したミャンマー人が多く、客層のターゲットも在住外国人や外国人旅行者、ミャンマー人セレブだった。
そしてここ1年ほどで増えてきたのが、カジュアル&ハイセンスなミャンマー料理店。
ターゲットは、経済発展を遂げ厚みを増してきた比較的若い世代の中流層だ。
どの店も外国人をターゲットにした店ほどは内装にお金をかけず、それでいてローカル店とは一線を画すモダンさと清潔さを兼ね備えている。
こうした店のメニューで目に付くのが、地方の郷土料理をフューチャーしたもの。
日本の約1.8倍の面積があり、湿地が多いデルタ地帯から乾燥地帯、山岳地方までさまざまな気候地帯を国内に擁するミャンマーでは、少数民族料理以外にもバラエティに富む郷土料理がある。
大衆食堂とひと味違う珍しいメニューを出すことで、ミャンマーでも大流行しているインスタ映えを狙っているのだ。
いくつかの店を紹介する。
こちらの「マンダレーティールーム」はオープンが約1年前と、地方料理ブームのごく初期の店だ。
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