「マレーシア国内には現在約1000店の日本食レストランがあり、そのうち616店舗はクアラルンプールにある(※1)」と言われている。
※1…「JETROマレーシアにおける 日本食市場の概況と新たな流れ(2017年7月)」より引用
マレーシアには13の州がある。
宗教や文化によってそれぞれ独特の商圏があるため、スタッフの服装や食材など違いがはっきりとわかることもある。
それでは、クアラルンプール以外の都市における日本食のレストランはいったいどのような状況なのか?
今回から不定期でマレーシア国内の状況をお伝えしていこうと思う。
今回は、2008年にペナン島のジョージタウンとともにマレーシア初の世界遺産都市となったマラッカ(メラカ)の人気日本食レストランWa Zen(和膳)を訪ねてみた。
マラッカの中心は、観光スポットが集まる旧市街スタダイス(The Stadthuys)周辺となる。
WaZenはそこから車で10分、徒歩だと30分ほど東側の生活圏にある。
シェフのシーン・ウン(Sean Ng)氏が2007年にオープンし、今年10年目を迎えるマラッカの老舗日本食レストランだ。
2012年には店舗を拡張し席数を増やすなど、順調に成長してきている。(※公式サイトより)
訪れたのは平日の夕方、ディナーが始まる17:30。
この時間帯なら比較的空いていると見当をつけて訪店したのだが、かなりの人気店らしくヨミが甘かった。
夜が遅いマレーシアでも、すでにこの時間から予約でほぼ満席。
19時までに退店するならばという条件でテーブルに案内された。むげに断らないところは、いわゆる「日式(日本式のマナー)」な接客で好感度が高い。
店の外観で印象に残ったのは、歩道の植え込みに小さな日本庭園をイメージした演出をしていること、店内入ってすぐにガラス張りの日本酒のセラーがあったこと。
ちょっとした高級感を演出して、日本を全面に押し出していた点である。
特徴的なのは、2人席も団体席もセミプライベートの個室感覚の配置となっていること。
周りを気にせずにゆっくりと食事を楽しめる雰囲気だ。
各テーブルにはコールボタンが置いてあるため、追加オーダーや飲み物のおかわりなどは、それを押してスタッフを呼ぶ。
手にとってみて驚いたのは、グランドメニューの品数の多さ。
ただし印象的には日本食レストランというよりも、寿司以外は日本の居酒屋風の料理が多いように思えた。
期間限定あるいは季節の料理などの「特別メニュー」だけでも50種類ほど。
客層はほぼ中華系マレー人。
この日の接客のホールスタッフの言語は主に中国語で、英語、日本語も理解できる……といった感じだった。
定食メニューはメインにサラダ、ご飯、みそ汁、茶碗蒸し、漬物、フルーツがついてRM20(約550円)前後。
例えば「天ぷら定食」はRM18.97(約521円)。
今回はお通しにひじきが出てきた。
こちらが実際にオーダーした「ちらし丼(海鮮ちらし)」RM29.68(約816円)。
メニューブックよりもボリュームがあり、酢飯もしっかりと入っていてずっしりとしている。
どんぶりは日本でうどんやそばなどを入れるサイズ。
ネタはいか、いくら、サーモン、まぐろ、カンパチ、えびなどが山盛りにのっている。
ただし、どのメニューも作り置きをしないため、提供されるまで時間がかかるとのこと。
個人的な感想だが、同じクオリティの日本食で比較すると、クアラルンプールでは1−2割ほど価格があがるような気がする。
このあたりは地方都市の物価や人件費、そして店舗の賃貸料などの差が反映されているのではないだろうか。
クアラルンプールだけがマレーシアではない。
日本ではあまり知られていないが、イポー(ipoh)など国内の観光地として人気の都市があり、またそれらの土地は食通に人気があることが多い。
日本食市場としては競合が少ない、あるいは手つかずの都市もある。
日系スーパーなどが進出していても、まだまだ本格的な日本食が少ない地域も多い。
今後、マレーシアではクアラルンプール以外でも本格的な日本食レストランが進出していく時代がくるのではないだろうか。
店名:Wa Zen(和膳)
住所:38, 40 & 42, Jalan Melaka Raya 15, Taman Melaka Raya, 75000 Melaka
Tel:06-282 3882
URL:http://www.wazen.com.my/index.php
営業時間:12:00-14:30、17:30-22:30
休み:日曜
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