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【知らないと損するタイ進出情報】タイの財閥研究CPグループ②

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事業の多角化を加速
ブロイラー事業で世界でも希に見る成功を収めたCPグループは、タニン総帥の下で複合企業として成長を遂げていった。基幹産業であるアグリビジネスを筆頭に、卸売・小売といった流通業、不動産事業、石油化学事業、貿易業、通信業、二輪車製造業、自動車部品製造業、集積回路製造業など事業部の総数は10を超えた。各々に一定の権限を与え、互いに競い合わせる経営を行った。

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現在、タイ全土に9043店舗(2016年6月末現在)あるセブンイレブンは、CPグループが1988年、米サウスランド・コーポレーションからフランチャイズ権を得て事業を開始したものだ。翌年には、オランダ企業SHVと卸売ディスカウントストア「サイアム・マクロ」を合弁展開。この時、ベルギー企業との間で石油化学業ビニタイ(VNT)も設立し、ポリ塩化ビニルなどの生産を始めている。

89年にはバンコクのシーロム地区にグループの拠点となる本社ビルを開設。不動産事業の中核となるCPランドも設立している。現在の通信大手トゥルー・コーポレーションの前身CPテレコミュニケーションを立ち上げたのもこの頃だった。

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90年代に入ると流通事業も拡大させた。米小売ウォルマートの経営手法を導入した大型スーパーマーケット「ロータス・スーパーセンター」(テスコ・ロータスの前身)を開設、タイ全土に進出していった。日本の西友と合弁でスタートさせたサニーズも複数展開させた。

94年には石油小売業ペトロアジアを立ち上げ、ガソリンスタンドの経営にも参加。96年にはラチャダーピセーク通りにある商業施設「フォーチュンタウン」をタイの不動産開発ユニベストから約40億バーツで買収も行っている。

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海外進出にも貪欲に
この間、海外進出にも積極的だった。59年の香港進出を皮切りに、タニンが実質的に経営トップの座に座るようになった70年代以降は、台湾、インドネシア、マレーシア、アメリカ、中東、中国、ポルトガル、トルコなどに相次いで市場参入。欧米や日本市場に向けて加工食品などの輸出も行った。

80年代に入ると、アグリビジネスを中心に周辺の東南アジア諸国にも進出を本格化させている。ベトナム、カンボジア、ミャンマー、ラオス、インドなどで養鶏や養豚、飼料事業などを展開。多国籍企業としての色彩を強めていった。

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とりわけ重点市場と位置づけられたのが、初代総帥エックチョーの生まれ故郷、中国市場だった。グループを上げての投資は79年から継続して始まった。当時は文化大革命終結からまだ2年ほどしか経過していない時期。他の華僑資本も含め、外資が中国市場に参入しようという動きはまだなかった。

その中国への第1歩は、南部深センでの飼料・養鶏事業だった。中国政府が外資に発行する営業許可証の番号は「00001」。中国市場で「正大集団」と呼称されるCPグループは、以後、アグリビジネスを基幹に、小売・流通業、不動産業、石油化学業、二輪車製造業、自動車部品製造業、電子部品製造業、通信事業など様々な事業を展開。中国国内だけで100数十社に上る複合企業群を形成していった。

この記事を書いた人(著者情報)

kobori

2011年11月、タイ・バンコクに意を決して単身渡った元新聞記者。東京新聞(中日新聞東京本社)、テレビ朝日で社会部に所属。警視庁記者クラブで2・4課担当を通算4年経験。銀行破綻などの各種金融事件、阪神大震災、オウム真理教事件などの取材にも当たった。事件記者出身だが、取材対象は政治・経済、社会、科学、文化までなんでも。日本の新聞、雑誌、タイのフリーペーパーやウェブサイトなどでも執筆中。著述、講演多数。

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