これは政府が主導している政策という意味ではなく、時代の移り変わりから自ずとそうなっているという意味だ。
たとえば、この国ではスマホアプリビジネスがある種のブームになっている。
だが、それを作っている人は果たしてどこで仕事をしているのか?
不動産価格の高い土地に所在する企業では、リモートワークが積極的に導入されている。
というよりも、嫌でもリモートワークを導入せざるを得ない。
予算の問題であまり広いオフィスを借りることができず、仕事場に全社員が入ることができないからだ。
自社オフィスを半ば追い出された社員が行く先は、Wi-Fi施設のあるカフェである。
インドネシアでも『スターバックス』は大人気だ。
ここに来る客層はリモートワークのホワイトカラーか外国人といった様相で、店内の雰囲気はインドネシア国外のスタバのそれと殆ど変わらない。
「コーヒーを飲みつつも仕事に集中できるカフェ」という位置付けである。
たとえば、以前クラウドファンディングサービス「Kickstarter」にPCゲームを出展したとあるスタートアップは、このゲームを自社オフィスではなくオンライン環境のあるカフェで制作したことを明かしていた。
その気になれば、ゲームもスタバで作ることができる。
しかしインドネシアに限って言えば、中央政府はあらゆる分野での内資比率を上げることを目論んでいる。
アメリカ発の外資系店舗であるスターバックスがシェアを占有することは、決して喜ばしいことではないのだ。
そこで最近注目されているのが、地場系の『Maxx Coffee』である。
2014年に登場して以来、Maxx Coffeeはその店舗数を着実に伸ばしている。
他企業とのプロモ企画も積極的に打ち出しているが、何といっても最大の魅力はコーヒーである。
インドネシアは世界有数のコーヒー生産地だ。
赤道直下にある山岳国という、世界的にも稀に見る好条件を有している。Maxx Coffeeは、地場産コーヒー豆を積極的に使用していることで有名だ。
ジャワ、バリ・キンタマーニ、スラウェシ、スマトラ、フローレス等、コーヒーの産地には事欠かない。
また、Maxx Coffeeは一次生産者から直接豆を買っている点も特筆すべきだろう。
アフリカや南米のコーヒー生産国では、あまりに多過ぎる仲買人の存在が問題になっている。
各々の仲買人は中間マージンを抜き取るから、その分だけ市場価格も高くなるし生産農家への収益も安くなる。
インドネシアでもそうした問題が横たわっているが、それを無視せずに問題解決へ取り組む姿勢をMaxx Coffeeは見せている。
筆者が今年11月にジョグジャカルタのアディスチプト国際空港を訪れた際のことだ。
市内中心地まで行くタクシーを手配した際、サービスとしてもらったのが空港敷地内にあるMaxx Coffeeのクーポン券。
現地の空港に着いたはいいが、予約したホテルのチェックイン時間まで間があるという場合には非常にありがたい。
Maxx Coffeeは新興電子決済サービス『OVO』との連携も行っている。
このOVOの持株会社は現地財閥企業リッポーグループの傘下で、日本からもリース大手の東京センチュリーが出資していることで有名だ。
その使いやすさから、ここ最近急激に取扱店舗を伸ばしているサービスでもある。
インドネシアにおける内資企業は、ともすれば常に外資企業の後塵を拝しているというイメージが現地市民にもある。
しかしMaxx Coffeeの場合は、現地系ならではのサービス内容で着実に店舗数を拡大している。
今後決して見逃せないブランドであることに間違いはないだろう。
【参考・画像】
Maxx Coffee Berikan Promo dan Kopi Gratis Khusus Perempuan-YouTube
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