※本記事は2019年11月6日時点の情報です。
日本よりも物価の低い国が多いASEAN諸国といえど、商品などによって価格の高いものがあるのではということで、調査を開始したHIGH vs LOW。
早くも人気企画へと成長してくれました。
本日は、前回に引き続き「交通費」編です。
前回のベトナムと交通費を比較した記事はこちら→【HIGH vs LOW】ベトナムと日本を比べてみた~交通費編~
今回舞台となるのはASEAN地域における、日本の海外進出の中心的存在であるタイです!
まずは、世界的な観光地でもあるタイに、どのような交通機関があるのか確認していきましょう。
■市内を移動する場合
・路線バス
・地下鉄(MRT)
・高架鉄道(BTS)※スカイトレインとも言う
・タクシー
・トゥクトゥク
・ソンテウ
■都市間を移動する場合
・長距離バス
・長距離鉄道
・飛行機
タクシーは割高感があるため、もっぱら庶民の足となっているのは路線バスやトゥクトゥク、ソンテウです。
首都のバンコクは交通網が発達していて、日本同様、地下鉄も走っています。
今後も地下鉄や高架鉄道の延長の他、新路線の開通などが控えています。
それでは、比較していきましょう。
【路線バス】
タイでは都市部を中心に、庶民の足となる路線バスが走っています。
中でも首都のバンコクは、約300もの路線が市内をくまなく網羅していて、東京と同じように公営バスと私営バスの2種類があります。
今回は公営バスと私営バスの両方を比較します。
・公営
日本(東京23区):一律210円
タイ(バンコク):一律約23円(6.5バーツ)
・私営
日本(東京23区):一律220円
タイ(バンコク):一律約32円(9バーツ)
公営バスは日本の約9分の1、私営バスは約7分の1です。
タイの公営バスはエアコンがなく、私営バスはエアコンがあります。
常夏のタイでは、当然エアコンの効いている私営バスの方が人気なため、公営バスの方がリーズナブルなのでしょう。
また、日本の公営バスと私営バスの価格差が10円なのに対し、タイは9円と、あまり差がありません。
タイの物価の低さを考えると、9円差というのは大きいイメージです。
高くても利用する人が多いということなのでしょう。
エアコンバスは相当人気がありそうです。
なお、チケットの購入の仕方は、乗車後に目的地を車掌に伝えて料金を支払う流れになっています。
【地下鉄(MRT)】
日本では東京や大阪、名古屋などの大都市圏に地下鉄が走っていますが、タイもバンコクにあります。
バンコクの地下鉄はMRTと呼ばれていて、日本のSuicaやPASMOに当たる交通系電子マネー「MRTカード」を使用して乗車できます。
今後、延伸や路線の増加などが控えているMRTですが、現在はブルーラインとパープルラインの2路線です。
パープルラインはバンパイ運河駅からタオプーン駅まで全長約23㎞で、東京の都営大江戸線の新宿西口駅から六本木駅までの約22.4㎞とほぼ同じ距離です。
今回は、上記区間でカード支払いの価格を比較します。
日 本(新宿西口駅~六本木駅):220円
タイ(バンパイ運河駅~タオプーン駅):約151円(42バーツ)
※日本では交通系電子マネーの方が安いですが、タイは現金も交通系電子マネーも同一価格です。
日本の約5分の2ですね。
一概に比較はできませんが、路線バスの最安が約9分の1だったことを考えると、かなり高いと言えそうです。
地下鉄は工事費や整備費用が路線バスよりも高くなるため、価格に反映されているのですね。
ちなみに、MRTカードの販売価格は約650円(180バーツ)です。
運賃チャージ約361円(100バーツ)の他、デポジット約181円(50バーツ)、カード発行手数料約108円(30バーツ)が含まれています。
デポジットはカード返却時に返金。
残念ながら、MRTカードは日本のSuicaなどのように、さまざまな交通機関に対応してはいません。
MRT乗車時のみ利用可能です。
【高架鉄道(BTS)】
バンコクにはBTSという高架鉄道が走っています。
この鉄道は電車が走行する2本のレールの脇に3本目のレールが設置されていて、そこから動力となる電気を供給しています。
日本で同じ構造の交通機関は東京の地下鉄、東京メトロ銀座線と丸の内線などです。
高価鉄道を利用するには普通券(きっぷ)、一日乗車券、交通系電子マネーのラビットカードがあります。
ラビットカードもMRTカードと同様、カードと現金での価格差はなく、高架鉄道のみ利用可能です。
今回は観光地として有名なサイアム駅を通る、シーロム線の国立競技場駅からバンワー駅までの約15㎞と、東京メトロ銀座線の渋谷駅から浅草駅までの約14.3kmで比較します。
・交通系電子マネー
日 本(渋谷駅~浅草駅):242円
タイ(国立競技場駅~バンワー駅):約187円(52バーツ)
・一日乗車券
日本:900円(東京メトロ)
タイ:約540円(150バーツ)
交通系電子マネーを利用すると、日本との差が約55円しかありません。
ですが、一日乗車券だと約2分の1の差があります。
BTSもMRT同様、工事費や建設費、維持費などの経費から価格が高騰していることが予想できます。
とはいえ、一日乗車券はリーズナブルです。
BTSがサイアム駅などの主要な観光地に停車することから、観光客への配慮があるのかもしれませんね。
ちなみに、ラビットカードの販売価格は運賃チャージ約361円(100バーツ)、発行手数料約289円(150バーツ)、デポジット約180円(50バーツ)を合わせた約1,080円(300バーツ)です。
デポジットはカード返却時に返金されます。
【タクシー】
2017年に現在の初乗り料金に変更され、使い勝手が良くなった日本のタクシー。
常に暑いタイでは、歩くには少し距離があるなどという場合、エアコンが効いていて快適に移動できるタクシーを利用することが多いです。
高額料金を請求されないために乗車時に価格交渉をすることが主流ですが、距離・時間から運賃を計算するメーター制もあります。
今回はメーター価格で比較します。
日本(東京23区):410円
タイ(バンコク):約126円(35バーツ)
※初乗り=1㎞で計算
日本の約3分の1です。
路線バスの価格差と比べると、かなり高いと言えそうです。
現在地から目的地まで運んでくれる便利なタクシーは、その利便性が価格に反映されていると考えられます。
利用方法は日本と同じように手を上げて止めるか、「Grab」という配車アプリケーションを使って呼ぶことができます。
ちなみにタイでは基本的にチップは不要ですが、タクシーを利用した場合はチップ代わりに釣銭を受け取らないことがマナーです。
【トゥクトゥク】
タイを代表する3輪自動車の交通機関です。
交通渋滞が社会問題になっているタイでは、小回りが利き、狭い道でもすいすい進めるトゥクトゥクは非常に便利な乗り物。
観光客はもちろん、ローカルも近場を移動するときは、最も利用するのではないでしょうか。
さて、運賃は?
徒歩で10分位の距離 : 約108円~144円(30~40バーツ)
徒歩で20分位の距離 : 約144円~180円(40~50バーツ)
徒歩で30分位の距離 : 約180円~252円(50~70バーツ)
それ以上の距離 : 約252円 (70バーツ以上)
歩いて10分くらいの距離でも、利用することに驚きました。
確かに、ショッピングを楽しんだ後、たくさんの荷物を持って暑い中を歩くのはわずか10分でも大変です。
バンコク市内のあちらこちらでトゥクトゥクを見かけるのも、利用者が多いという事情があるからなのですね。
利用方法は走行中のトゥクトゥクを止めるか、道端で停止しているトゥクトゥクのドライバーに交渉すればOKです。
タクシーのメーターなど、料金が明確に分かるものはありませんので、必ず乗車時に目的地を告げて運賃を交渉しましょう。
相場を知らない外国人旅行者に対して、非常に高めに料金を提示してくることがあるので、上記の価格を参考にしてください。
【ソンテウ】
バンコクから3時間程度で行けるビーチリゾートのパタヤや、南部のリゾートアイランドのプーケットなど、郊外や地方でよく利用されている交通機関が「ソンテウ」です。
小型トラックを改造して荷台に乗客を乗せるスタイルで、10名程度が乗車できます。
日本で言うところの乗り合いタクシーのような乗り物ですね。
移動中に突然停車して利用客が増えるということはよくあります。
運賃はというと……、
市内(近距離):一律約72円(20バーツ)
だいたい3~4km程度の近距離移動の場合、上記の料金が相場のようです。
もちろん、これよりも移動距離が長い場合は、料金は高くなります。
ソンテウは路線バスのように決まったルートを走っていることが多いため、せっかく止めても目的地が異なれば利用できないこともあります。
やや長距離移動の場合は運賃を乗客同士で割り勘するためお得に利用できますが、乗客がいっぱいにならないと発車しないことがあるため、注意が必要です。
利用方法はタクシーと同じです。
流しで走っているソンテウを見かけたら、手をあげて停車させればOKです。
乗車時に必ず価格の確認をしておきましょう。
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