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【知らないと損するタイ進出情報】伸張するハラール市場

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東南アジアの非イスラム諸国で、イスラム法上で許されたムスリム(イスラム教徒)向け「ハラール食品」をめぐる研究開発や投資が盛んになっている。
背景にあるのは、急速に増えていくムスリムの総人口と、それに伴う食糧需要だ。
マレーシアやインドネシアといったイスラム諸国から海外に出かける人も増えており、こうした客の奪い合いはすでに始まっている。
ハラール食品が市場の重要な地位を占めるのも、そう遠くはなさそうだ。

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ハラール食品市場の〝ハブ〟を目指すタイでは、昨年一年間のハラール関連食品の輸出額が約2000億バーツと前年比20%の増加となった。
今後5年以内に3000億バーツに引き上げていく計画で、そのための4000万バーツを今年の予算として計上した。
ハラール認証の取得工場を年間百単位で増やしていく予定で、現在約5000社ある認証工場の上積みを目指す。
現状での生産品目は10万種以上に達しているとされており、この大幅積み増しも進める。

タイの最高学府「チュラーロンコーン大学」にはハラール食品などを専門に研究・認証する研究機関「ハラール・サイエンス・センター」が設置されており、ムスリムの研究員らが日々、研究開発に挑んでいる。
ハラール対策が施された食品かどうかを一目で判断できるスマートフォン(多機能携帯電話)向けアプリも開発されており、周辺国の中でも取り組みは群を抜く。

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カンボジアでも昨年ごろからハラールに対する関心が高まり、認証を取得する工場が現れた。
国内にはまだ存在しない認証機関も近く設置していく方針で、マレーシアから技術指導も取り付ける計画でいる。
南部の港湾都市シアヌークビルに食肉加工工場を配置し、ここを拠点に輸出を拡大していく将来図を描く。
すでに民間企業の具体的な動きも始まっている。

非イスラム国家で、国内にムスリムがそれぞれ6%と2%しかいないタイやカンボジアでこうした動きが広がっているのは、キリスト教徒に次いで多い人口の急激な増加が背景にある。
世界人口の年平均増加率1.18%に対し、ムスリムのそれは1.84%とひときわ高い。

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現在約17億人とみられるムスリムの総人口も2050年には28億人を超えると国連機関は試算しており、当然にハラール食品市場も拡大が予想される。
現在の1兆1000億ドルが20年には2兆ドルに達すると読む市場関係者もいる。

これに加えて顕著となってきたのが、かつては豊かな石油資源を抱えたイスラム諸国からだけの旅行客によって支えられてきた観光市場に、新興のマレーシアやインドネシアなどからの平均的な旅行客が加わってきた点だ。
異国でのハラール対策に不安を感じるこうしたムスリムたちは、対策の整った国を旅の相手先として選ぶ傾向にある。

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そうした中で、ハラール対策が緒に就いたばかりの日本の人気が健闘を続けている。
昨年一年間にアジア各国から日本を訪問した外国人旅行客の比較で、インドネシアはトップの中国や2位の韓国の伸び率を大きく上回る対前年比32.15%増を達成。
ベスト10入りを射程とした。
マレーシアからも年40万人近い旅行客が日本の土を踏んでいる。

一方、隣国同士のタイとカンボジアでは、ハラール食品市場での国際的な存在感を増していくための関係強化も進めていく考えだ。
今年1月にはカンボジアの商業相が駐カンボジア・タイ大使と面会し、カンボジア国内でのハラール産業育成を協力して進めていくことで合意した。
カンボジアとしてみれば国内産業の発展につながると同時に、タイ側からみても新たな投資市場としてのうまみがある。

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AEC(アセアン経済共同体)の発足など結び付きを強めるアセアン各国。
イスラム・非イスラムという構図はすでに遠い過去のものとなりつつある。
関係各国をも巻き込んで拡大しつつあるハラール市場で、どのような地位を占めることができるか。
各国政府、企業各社の腕前が試されようとしている。
(写真は首相府、ハラール・サイエンス・センターなどの資料・HPから)

 

この記事を書いた人(著者情報)

kobori

2011年11月、タイ・バンコクに意を決して単身渡った元新聞記者。東京新聞(中日新聞東京本社)、テレビ朝日で社会部に所属。警視庁記者クラブで2・4課担当を通算4年経験。銀行破綻などの各種金融事件、阪神大震災、オウム真理教事件などの取材にも当たった。事件記者出身だが、取材対象は政治・経済、社会、科学、文化までなんでも。日本の新聞、雑誌、タイのフリーペーパーやウェブサイトなどでも執筆中。著述、講演多数。

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