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【シンガポール】日本人会計士が見たシンガポールとアジアの市場(後編)

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前編ではシンガポール在住の日本人会計士、山下英男さんに海外進出に向いている企業や、アジアで事業を興す利点について聞きました。
前編はこちら⇒【シンガポール】日本人会計士が見たシンガポールとアジアの市場(前編)

引き続き、山下さんにお話を伺います。

山下先生店前
行きつけのピザがおいしいイタリアンにて

記者:海外進出にあたり、相談内容としてはどのようなものがありますか?
山下氏:主な相談内容は税金関係、ビザ、現地の雇用関係をはじめとする市場調査、資金調達、企業改革の立案など、多岐にわたります。特に多いのは法人税と就労ビザです。海外に進出する上で必要不可欠な知識と言えます。

記者:具体的に教えていただけますか?
山下氏:さわりの部分を簡単にですが、日系企業が海外事業展開を考える際、主要な候補先国の中で、最も低い税率水準となっているのがシンガポール(17%)です。加えて法人税にかかる優遇税制がいくつか存在するため、最終的には17%よりも低い税率に落ち着くことも多いです。この税金に関するメリットは、多くの企業をシンガポールへと引きつける最大の要因となります。

記者:東京に本社を置く日本の大企業の実行税率が30.62%ということを考えると、かなり税率が低いですね。
山下氏:そうですね。それが、私がシンガポールへの進出をおすすめする理由でもあります。
ただ、シンガポールで事業を行っていても、自社が日系企業ということを忘れてはいけません。日本とシンガポールのどちらに税金を払うのか、国際税務部分をちゃんと知っておく必要があります。これを怠ると、最悪は両国から追徴課税を受ける可能性があります。

記者:他にも税金に関する相談はありますか?
山下氏:株式や債券など保有している資産を売却することによって得られる売買益、いわゆるキャピタルゲインの相談も多いですね。シンガポールではこれらが課税対象外になるケースが多いので、専門的分野での見解や相談が求められます。

記者:ビザに関しても教えてください。
山下氏:シンガポールでは、最近、外国人向けのビザ発給のハードルが高くなっています。申告する最低給与額が引き上げられましたし、政府運営の求人サイトへの投稿も義務化され、これらのアップデートを怠ると会社の人事戦略に大きな影響を及ぼす可能性まであります。このため、企業から定期的に研修依頼をいただく他、ビザ申請が却下されたときの対処方法などの相談も増えています。

 

サンズ
おなじみのマリーナベイ・サンズを街中から望む
この記事を書いた人(著者情報)

buri

シンガポール在住buriです。

主人の赴任で愛犬(チワワ)と3人でシンガポールへ。     早5年目に突入します。
来星後すぐに仕事をはじめることが出来たので、異国の地にきても様々な人脈や知識を得ることができたのが私の財産です。

日本では金融関係、雑誌編集、取材、通販の商品企画プロデュース、販売等々人生経験だけは豊富に積んできました。

そんな私が見て、聞いて、食べて、学んできた、大好きなシンガポールの今を、日本人ならではの目線でさまざまな方面から多角的にご紹介したいと思います。

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