日本でもESGを重視した投資家が増加しており、その代表格が国民の公的年金資金の管理運用を手掛ける年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)です。
GPIFは複数のESG指数を採用し、その指数に連動した運用に資金を着実に振り向けています。
同法人が採用する具体的な指数としては、環境に着目した「S&P/JPX カーボン・エフィシエント指数シリーズ」や社会に注目した「MSCI 日本株女性活躍指数」などが挙げられます(*2)。
また足元では、環境に配慮した事業に資金使途を限る「グリーンボンド(環境債)」などへの投資を通じて、株式だけでなく債券においてもESG投資を本格化させています。
世界最大の機関投資家であるGPIFがESG投資を拡大させていることは、ESGへの意識を高めるきっかけになり、日本における他の機関投資家もESGを重視した投資手法を採用し始めています。
実際に、GPIFが2015年にESG投資を開始して以降、日本の総運用資産に占めるESG投資の割合は、2016年時点でわずか3.4%でしたが2018年には18.3%へと急増しています(*3)。
また、個人投資家が購入できる投資信託の分野においても、ESGを重視した商品開発が進んでいる状況です。
例えば、2020年2月に三井住友DSアセットマネジメントが、「フード・イノベーション厳選株式ファンド(愛称:世界の食卓)」を立ち上げています(*4)。
このファンドは、食料生産と食生活の変化を捉えつつ、高い成長が見込まれる企業に投資するところに特色があります。
その他のESGに関連した企業動向を探ると、二酸化炭素の排出量の削減・再生可能エネルギーなどの気候変動に関連した分野に加え、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により、実体経済や金融市場に甚大な影響が及ぶ中、従業員の健康と安全、労働環境に着目した企業の取り組みにも注目が集まっています。
新型コロナ禍によりグローバル株式が大きく値下がりしたことを受け、割安な国際優良株などを保有すべく、個人投資家によるNISA口座の開設が相次いでいる模様です。
NISAについては、「沸騰するASEANに生きる!~海外赴任時のNISAの取扱い処方箋」をご参照ください。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、新たな生活様式の模索やテレワークの導入が進む中、投資の世界においても労働環境や健康、安全などに着目したESGを重視する機運が高まっています。
ポストコロナを見据え、NISAなどの非課税制度を活用し、個別株式や投資信託などへの投資を実践されてみてはいかがでしょうか。
※$1(米ドル)=約107.15円で換算
【出典】
*1 日本経済新聞
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO44301350W9A420C1EA1000?s=3
*2 GPIF
https://www.gpif.go.jp/topics/グローバル環境株式指数を選定しました.pdf
*3 財務省
https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/202001/202001j.pdf
*4 三井住友DSアセットマネジメント
https://www.daiwasbi.co.jp/fund/summary/1963/
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