国が違えば、勝手も違う。当たり前の事ですが改めてお伝え致します。
今回はタイでの出店に関して、税金面から看板まで幅広くご紹介致します。
まず店舗物件を賃貸する上で、以下の税金が大きくかかわって参ります。本来、貸し手が支払うべき税金を借り手に転嫁するなど貸し手優位な契約が一般的となっています。
1.源泉徴収(Withholding Tax)
2.VAT(付加価値税)
3.土地家屋税
4.看板税
これらの税金については以下、解説を交えながら説明します。
家賃は大きく分けて「レンタル料」と「サービス料」に分かれます。「レンタル料」と「サービス料」の比率が50%:50%というケースが多いですが、60%:40%なども見られます。そこには源泉徴収税の存在が大きくかかわっています。
源泉徴収税は法人所得税・個人所得税の徴収制度のひとつで、賃貸借の場合、借主が貸主に家賃を支払う際、貸主に代わって納付しなければなりませんが、課税対象により税率が異なり、レンタル料は5%、サービス料は3%となります。
例えば家賃が100,000バーツの場合、「レンタル料」のみ100%とすると、貸主の実収入は「レンタル料」5% 5,000バーツを源泉徴収した95,000バーツとなります。
「レンタル料」50%、「サービス料」50%の場合、「レンタル料」5%2,500バーツを源泉徴収した47,500バーツと「サービス料」3%1,500バーツを源泉徴収した48,500バーツの合計96,000バーツとなります。この2%の実収入差は貸主が家賃に「サービス料」を入れる大きな理由となっています。
ここに日本の消費税に相当するVAT(付加価値税)7%(2015年10月現在)が加わりますが、「レンタル料」についてはVATは課税されず、「サービス料」には課税されますので、50,000バーツの場合は、53,500バーツとなります。
最終的に家賃100,000バーツで「レンタル料」50%、「サービス料」50%の場合、貸主の実収入が96,000バーツ、借主の支払いは103,500バーツとなり、7,500バーツが税金となります。
しかし、それ以前に大きな問題は「税務局は個人の通帳を調べに来ない。」といったこの国特有の不文律がありますが、個人が貸主で企業が借主の場合、借主を通じて税務局に収入があからさまになってしまうことから「企業相手には貸さない。」という貸主が多いといった現状もあります。貸主から個人だったら貸すとの理由から代表者が個人で借りることがありますが、企業として損益参入の出来ないコストとなってしまいますので気をつけましょう。
タイでの賃貸借契約の場合、3年を越える契約はあまり見られません。理由は、タイでは3年を越える契約の場合、土地登記簿に、借主の登記をしなければならず、登記料や印紙代を伴うこと。また、急に売買話が来ても、借主登記をすることが売買に影響を与えてしまうなどからです。但し、ショッピングセンターやモールでは、「3年+3年」「3年+3年+3年」など3年契約を繰り返すことを最初から契約書に明記することで、借主に対するリスクヘッジをしている契約が一般的です。
ショッピングセンターやモールで3カ月~6カ月と前払い家賃1カ月、タウンハウス、路面店の場合で2カ月~3カ月が相場となります。物件の人気度合いや集客力により異なります。
ショッピングセンターやモールの場合、内外装工事期間に相当する2カ月をフリーレントとするのが一般的です。但し、タウンハウスや路面店で競合の多い人気物件の場合は、当然ですが、貸主はフリーレントを求めず家賃発生の早い相手を優先します。
ショッピングセンターやモールは別ですが、日本の賃貸借契約にあるような瑕疵担保責任はまず明記されておらず、現状有姿で引き渡すことが原則となりますので、引き渡してから雨漏りがあっても貸主が修理することは滅多にありません。そのため、契約の前にしっかりチェックし、瑕疵について貸主に確認する必要があります。契約前に見つかった瑕疵については貸主負担で修理する場合もあります。
貸主が所有する土地、家屋を賃貸した場合、年間のレンタル料収入の12.5%を貸主が納税しなければなりません。しかし、タウンハウスや路面店はもちろん、どんなに大きなショッピングセンターやモールであっても、その納税額を借主に転嫁することを明記した契約書がほとんどです。年間レンタル料収入の12.5%というとイコール1.5か月分のレンタル料と同額の追加負担となりますので借主にとっては大きな負担となります。
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