タイに住んでみて痛切に感じるのが、慢性化する交通渋滞。
これに雨季が重なると、もう時間を読むことすらできなくなり、日常の仕事や生活にも支障が出てくる。
そんな時の切り札として日本人が多用しているのが、渋滞の隙間を縫って進む小型のオートバイの運転だ。
ところが、日本と同様の「原付」制度がないタイ。
運転するためには専用の免許証が必要で、日本で発行された国際免許証でも二輪を所持していないと運転はできない。
今回は、非常に難解なタイの免許取得のお話――。
まずは、上記タッチパネルの画面を見てもらいたい。
これは過去に実際に出題された運転免許学科試験の一例だ。
タイの試験制度では「日本語」などの外国語で受験をすることも可能で、そのための外国語による問題が用意されている。
限られた時間内で50問に挑む試験で、合格ラインは45点。
なかなかの高きハードルだ。
ところが、である。
ご覧いただけば分かるように、非常に内容が「難解」なのである。
もともとタイ語だったものを日本語に無理に翻訳した跡とも見ることができ、およそ、通常の日本語常識では回答を導き出せない「珍問」も。
この問題、あなたはどれが正答だと思うだろうか。
正答は、実は「1」の「ソムシーさんは自分勝手に運転をする」。
設問には「安全ではない運転はどれか」とあるので、大方の日本人であれば「市街地を時速80キロで運転することは危険極まりない」「自分勝手に運転するといっても心の内面の問題なので、法令の定めではないだろう」と推測する。
ところが、期待は見事に裏切ってくれるのである。
標識にも〝難問〟が多い。
下記例の左の図を見てほしい。
踏切を表す蒸気機関車のマークが付いた黄色い標識。
選択肢には、
①一旦停止
②減速して横断、などとある。
通常の日本語常識ならば何の躊躇いもなく①を選ぶのだが、正答は②。
タイでは踏切において一時停止は無用なのである。
直進を禁止したと思われる真ん中の標識も、期待を鮮やかに裏切ってくれる。
回答例として挙げられた選択肢は、
①直進禁止
②追い越し禁止など。
正答は②で、この図からどうして追い越しが導かれるのか、最後まで理解はできない。
枝分かれした道を表す右の標識も理解不能だ。
選択肢は、
①この先道が二つのメインロードに分かれる
②この先メインロードと側道に別れるなど。
正答は②で、同じ太さの道をメインロードと側道に区別できる高度な力量が求められている。
ただ、ここまで問題が難解であると、ある種の親しみさえ感じてしまうのではなかろうか。
時間がない人にはただただ苦痛かもしれないが、南国の長閑なタイではこんな楽しみ方もできるのである。
ちなみに、学科試験に続く実技試験は極めて容易、問われるのは標識に従って走行できるかといった程度。
合格率はかなり高い。
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