水難事故による子どもの溺死数が多い(※)ベトナム。
子どもたちの水泳技術の習得は国家的な課題となっています。
(※)ベトナム労働傷病兵社会省などが2018年6月に実施したセミナーで、ベトナムの0~14歳の溺死数が2015~2017年は年間平均2000人と公表された。日本の厚生労働省人口動態統計(2017年)によると、溺死した子ども(14歳以下)は48人だったため、約40倍の差がある
そのサポートを含め、生涯スポーツとして水泳を楽しんでもらえるよう、日本で47年の指導実績を持つ株式会社エスアンドエフのベトナム現地法人「Fuji Swimming Club(フジスイミングクラブ)」が、日本式スイミングプログラムを取り入れたレッスンをベトナムで行っています。
2020年7月にハノイ市、同年8月にホーチミン市でレッスンを開始し、2021年4月にはダナン市でもレッスンを開始するそうです。
今回は「Fuji Swimming Club」代表、日比靖昌さんにお話を伺いました。
記者:ベトナム進出以前の経歴を教えてください。
日比氏:大学卒業後は大手注文住宅メーカーで法務関係の仕事をしました。
その後、大手ゲーム会社で16年、法務部、経営企画部、オンライン系事業を担当。
事業会社の責任者も務めました。
自分のサラリーマン人生が一段落したころ、自民党が野党になり、東日本大震災が起きるなど、日本は大混乱していました。
日本や子どもの将来を考え、「今の延長の社会ではダメだ、政治から変えなければ!」と思い、会社を退職して都議会選挙に立候補。
結局、政治事情により選挙戦を断念せざるを得なかったのですが、当時45歳で無職となり、3ヶ月ほど転職活動に苦労しました。
なんとか、急成長中のモバイルゲームの会社の部長職に再就職。
同社で、ベトナム子会社の駐在員として2014~2016年半ばまでハノイに出向していました。
記者:日比さんがベトナムに移住したきっかけは何ですか?
日比氏:駐在時に経済成長の可能性や親日ぶりを見て、日本とベトナムの親和性がとても高いと感じたからです。
上手に交流して良い物を持ち合えばWin-Winの関係を築ける、意義がある、大義があると思いました。
記者:日比さんと水泳の関係を教えてください。
日比氏:私も10歳から12歳までスイミングスクールに通っていました。
中学、高校では水泳に接する機会はなかったのですが、大学時代には体育の授業で水泳を取りました。
先生とともに3年生、4年生の先輩が授業をサポートしてくれたのですが、彼らがとても素晴らしい影響を与えてくれました。
記者:どのような影響でしょうか?具体的に教えてください。
日比氏:夏には千葉で合宿、冬は志賀高原でスキー合宿をして、サークルやゼミとは異なる、人生の先輩たちとの語り合いの場を設けてくれたのです。
当時の友達、先輩、先生とは、大学を卒業して30年たった今でも交流があります。
これも、水泳というスポーツをしていたからこそ、人生が豊かになったという思いがあります。
子どもの頃に通っていたスイミングスクールも、いい影響がありました。
進級テストがあるのですが、自分の努力で合格できたときの達成感、不合格だったときの残念な気持ちを覚えています。
この経験は、その後の学生生活における定期試験や受験勉強の他、国家試験などの最初のトレーニングになったと思います。
記者:社会人になってからはいかがですか?
日比氏:社会人になってからは、サーフィンを始めました。
今でも、チャンスがあればダナンの海でサーフィンをしています。
サーフィンはスポーツであり、宗教であり、カルチャーです。
海に入ればストレスなんて吹っ飛んで、リフレッシュできますし、偉大な自然の力を感じるのは忘れられない瞬間となります。
仲間と一緒に海へ足を運ぶのや、食事をするのはとても楽しい時間です。
水泳は、ただ単に技術を身に付けるだけでなく、豊かな楽しい人生が開けるものだと思っています。
記者:ベトナム再渡越前に準備したことはありますか?
日比氏:ベトナムで3年近く仕事をしていましたが、企業を辞めて、フリーランスとして仕事をしていくのですから、ベトナムの専門家になる必要があると感じました。
なので、ベトナムの法律、税務やルールの他、社会、歴史、国際的な地位など、身近なことから国全体のことまでを把握しておくため、情報収集をしました。
また、ベトナムのメジャーなSNSであるFacebookで情報を発信して、友達を増やしました。
ベトナム人は親日の人が多く、日本に興味を持っている人、日本語を話せる人が多くいます。
実際に会ったことがない人にも積極的にフレンド申請をしたり、フレンド申請を承認したりしました。
また、ベトナムでの生活や旅行で「これは良い!」と思うことを動画で紹介し続けています。
記者:Facebookでの情報発信は、どのような意図からですか?
日比氏:政治活動時代に、自分が何をしているか、どのようなことを考えているかを発信することが大切と学んだからです。
自分に共感してくれる人は仕事のチャンスをくれたり、有用な情報をくれたり、精神的に支援してくれたりします。
こまめに情報発信することで、今では、フォロワーが8000人まで増えました。
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