最近、期せずしてジャカルタのクラウドキッチンに勤める方とお話する機会がありました。
せっかくなので根掘り葉掘りサービス内容について伺ったところ、なかなか面白い話が聞けました。
ジャカルタのクラウドキッチンの進化が素晴らしい!
ということで、本記事にてお伝えします。
その前にジャカルタでなぜクラウドキッチンが進化しているのか?という大前提について触れておきます。
理由は単純で、「インドネシアの都市部(特にジャカルタ)ではデリバリーの依存度が高い」からです。
簡単にお伝えすると以下となります。
この辺りは以下の記事でも触れているので、ご興味がある方はご一読ください。
さて本題に入りましょう。
筆者は「クラウドキッチンなんて、ただの場所貸しでしょ?」と考えていたのですが、まったくそんなことはありませんでした。
ジャカルタのクラウドキッチンは付加価値の塊です。
どのような機能があるのか、主なクラウドキッチンが提供するサービスを手短にご紹介します。
まずは最低限の基本的な機能についてです。
①省スペース型キッチン
当たり前ですが、省スペースに区切られたキッチンスペースを提供しています。
おおむね「大中小」くらいのサイズに分けられ、需要に応じて選択できます。
もちろん水道光熱費は、スペースごとに計上されます。
多くの場合、家賃は売上に対するパーセンテージ設定となっています。
ただし、最低家賃が設定されているので、売上ゼロでも支払う義務があります。
②スタッフの休憩スペース
クラウドキッチンによっては、店舗スタッフが食事をとったり、休憩に使えたりするスペースを用意しています。
③施設側のサポートスタッフ
クラウドキッチンによっては、ビルの複数フロアを借りて運営していることがあります。
そのため、入居する施設・キッチンの場所によってはクラウドキッチンのエントランスまで遠いことがあります。
エントランスまで距離があると、デリバリー注文が入るたびに届けるのも苦労します。
そのため、クラウドキッチン側でサポートスタッフを用意している場合が多いです。
サポートスタッフが注文をキッチンまで受け取りに行き、デリバリーサービスのドライバーに渡してくれます。
また、当然ですが共用部分の清掃や備品管理などもサポートスタッフの業務範囲です。
④撮影スタジオ
調理風景を見せたり、香りを伝えたりできないオンラインデリバリーでは、写真がとても重要です。
そのため、一部のクラウドキッチンでは「フォトスタジオ」を用意しています。
空いた時間にささっと写真撮影までできるのは、オンラインビジネスではとても重宝します。
⑤必要機材の割引販売や仕入先紹介
クラウドキッチンが提携している業者から、不足している必要機材を比較的安く購入できることがあります。
提携している仕入先を紹介してくれることも。
まあ、この辺りのサービスはまだまだ想定の範囲内ですよね。
ここからは「え?こんなことも提供しているの?」と筆者が驚いた機能をご紹介します。
単なる場所貸しではない「付加価値」の部分とも言えます。
日本のビジネスでも何かヒントになるかもしれません。
①制作物サポート
プロを起用した写真撮影や短い動画制作が、契約内容に含まれていることがあります。
前述の通り、オンラインデイバリーでは写真や動画によるPRが重要です。
プロが撮影したきれいな写真や動画をメニューはもちろん、InstagramやTikTokを用いた情報発信に使えるのは大変重宝しますね。
②インフルエンサーマーケティング代行
個人的に驚いたのは、多くのクラウドキッチンがインフルエンサーマーケティングの代行まで提供していることです。
具体的には、クラウドキッチンが組織的に協業しているフードインフルエンサーを通じて情報発信を定期的にできる、というものです。
デリバリービジネスは実店舗と同様「商圏」があります。
商圏を意識して「このエリアに強い」というインフルエンサーを紹介してくれる業者があります。
③マーケティングコンサル
クラウドキッチン側のマーケティングコンサルがテナントのマーケティングサポートをしてくれるサービスです。
具体的には月1回など、定期的なミーティングを設定し、デリバリープラットフォーム別の戦略アドバイスをしてくれる、というものです。
この辺りから「至れり尽くせり」な感じがしますね。
④自社メディアを活用したプロモーション
クラウドキッチンによっては、自社のWebメディアや各クラウドキッチンのSNSを運営していて、それらを通じた情報発信が契約内容に含まれていることがあります。
⑤口コミ&高評価増加サービス
オンラインデリバリーでは価格と写真に加え、「口コミ&高評価」も重要です。
クラウドキッチンによってはデリバリー用店舗開設直後の「口コミ&高評価増加サービス」を提供しています。
限りなく「サクラ」に近いサービスだと思われます。
良し悪しは置いておきますが、開店初期の口コミが重要なのは事実です。
⑥自社開発POSの提供
クラウドキッチンによっては独自のPOSシステムを用意しているところがあります。
筆者が見せてもらったシステムは、クラウドキッチンが開発したアプリにほぼ全てのデリバリーサービスを繋ぎ込めるというもの。
インドネシアも日本同様、複数のデリバリーアプリに登録して配達を委託するのが主流ですがが、このサービスにより、テナントスタッフは、各デリバリーアプリで個別管理する手間がなくなります。
1つのアプリで、注文・配送確認を一元管理できるのです。
これは大変な手間の削減に繋がります。
また、複数プラットフォームのデータを比較できるのであれば、マーケティングツールとしても大変便利です。
駆け足で「ジャカルタ版 最新クラウドキッチンサービス」を紹介しました。
感想としては「オンラインマーケティングに関するサポート体制が非常に手厚い」と感じました。
飲食店側は、ただオンラインデリバリーサービスに登録して「とりあえずオンライン対応する」のではなく、積極的にオンラインマーケティングを推進していくことができます。
手厚いサポートがあるので、オンラインに強い人材を特別に用意する必要はありません。
最低限の調理スタッフだけで開始し「おいしい食事を作る」という基本価値の提供に集中できます。
今後、インドネシアのクラウドキッチンがさらに進化するのか?するとすればどのように進化するのか?非常に興味深いですね。
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