日本人にとってあまり馴染みのないフィリピン料理。
「東南アジアだから、独特な香辛料やハーブが多く使われているのかな?」とイメージする人もいるのではないでしょうか。
実際のフィリピン料理は独特な香辛料やハーブをメインに使っているわけではなく、日本人にも受け入れやすい料理が数多くあります。
そこで今回は、フィリピン料理の特徴について紹介します。
また、フィリピン人にはどういった味付けが好まれていて、どういった食べ物が苦手なのか具体的に解説していきます。
まずはフィリピン料理と和食、それぞれの特徴を比較していきましょう。
フィリピン料理は食材の「切り方・捌き方」「調理方法」「盛り付け方」など、全てにおいて豪快に料理するのが基本で、味は単調で濃いのが特徴です。
定番の調味料や食材は「塩、醤油、酢、ニンニク、タマネギ、ショウガ、唐辛子」で、各料理の見た目は違えど味付けは似ています。
和食の特徴でもあり日本人に好まれる料理は、食材の「切り方・捌き方」「調味料」「調理方法」「盛り付け方」などあらゆる組み合わせをすることで、味・見た目・食感を楽しむ工夫が多くされています。
そして、下処理やダシを丁寧にとることで、コクや深みを出した味わいも好まれています。
「フィリピン料理あるいはフィリピン人に好まれる料理」と「和食あるいは日本人に好まれる料理」を簡単に比較してみましょう。
【フィリピン】
塩、しょう油、酢、ニンニク、タマネギ、ショウガ、唐辛子
【日本】
砂糖、塩、酢、しょう油、みそ、酒、みりん
【フィリピン】
魚であれば内臓を取って洗い、肉であれば血を洗うのみのため、臭みが残りやすい。皮・骨ごとぶつ切り
【日本】
臭みが出ないよう肉・魚・野菜も丁寧に下処理をする。食感の良さを意識し、食べやすいように切る
【フィリピン】
焼く、炒める、揚げる
【日本】
焼く、炒める、揚げる、あえる、蒸す
【フィリピン】
大皿。野菜は少量で油を使った料理が多いため、全体的に茶色い料理
【日本】
小皿。野菜・肉・魚・豆類などバランスがとれた食材を使い、調理方法が豊富なため色鮮やか
【フィリピン】
分かりやすいはっきりした濃い味
【日本】
素材自体の味やうま味を感じられる
それではフィリピン料理の特徴でもあり、フィリピン人に好まれる味について具体的に解説していきます。
フィリピン人は、塩辛いおかずが大好きです。
日本人と同様にお米が主食なので、白米をいっぱい食べられるしょっぱいおかずは食事に欠かせません。
塩気は基本的に塩やしょう油で味付けられています。
「酢」、酸っぱい果実の「タマリンド」、柑橘系の「カラマンシー」を使用するなど、スープやソース類は酸っぱいものが多いです。
料理によって甘酸っぱい、辛くて酸っぱいと使い分けられています。
常夏のフィリピンなので、暑さで食欲がないときに酸味のある食べ物はぴったりです。
ワサビやからしのようなツンとくるもの、刺激的なブラックペッパーではなく、ピリっと辛い唐辛子が好まれます。
家庭やレストランでは、おかずやスープに長さ10cm以上ある「緑色の生唐辛子」、お肉やお魚の付けダレに長さ2cm程度の「小さな赤色の生唐辛子」を使用するのが一般的です。
そして、辛いものは基本的に、「唐辛子+酢」のように酸味も強くした料理が多いです。
フィリピン料理といえば揚げ物や炒め物が多いです。
レストランのメニュー、一般家庭の食卓には茶色い食べ物がよく並びます。
そのため、フィリピン人が行く庶民的な食堂や屋台(ストリートフード)、ファストフード、レストランなどでは揚げ物が定番メニューです。
庶民的な食堂や屋台では火力の弱いコンロを使用しているため、低温で時間をかけながら調理します。
そのため、食材が油をたっぷり吸収します。
また、揚げた後に余分な油を落とさずバットに並べて提供することが多いので、日本人には油っこいと感じることが多いです。
「フィリピン人にとってどれだけお米が欠かせないのか」について詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひご覧ください!「お米を使ったフィリピンの定番スイーツ」について詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひご覧ください!
飲み物やスイーツはとにかく甘いものだらけです。
日本人が好む甘さ控えめという概念は一切ないため、無糖の飲み物や甘くないスイーツを探すのに一苦労するほど。
「お米を使ったフィリピンの定番スイーツ」について詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひご覧ください!
>【フィリピン】食事はもちろんスイーツも!世界屈指の米消費大国
フィリピン料理の特徴は、なぜ味が濃く、脂っこい料理なのでしょうか。
その理由は「長期保存のため」と「気候がらカロリーを必要とする」ことが挙げられます。
日本では1家に1台あるのが当たり前の冷蔵庫ですが、フィリピンでは所持していない家庭も珍しくありません。
そのため、塩分濃度を非常に高くする、炒める、煮る、揚げる、干す(長期間乾かす)ことで、食材の保存期間を長くする工夫をしています。
フィリピンは一年中暑いため、生活しているだけで多くのカロリーを消費します。
暑さでバテないようにするために味付けは濃かったり、甘かったりします。
加えて食事の回数や摂取量が多いため、日本人と比べてふくよかな人が多いです。
続いて、フィリピン料理にはあまり存在しなく、フィリピン人が苦手な食材などを紹介します。
フィリピン人にとって野菜は料理の彩り程度で、積極的に食べる物ではありません。
涼しい山岳地域で収穫された野菜は食材本来の甘みを感じられ、しっかり色付いていますが、フィリピンのほとんどのエリアでは猛暑のためおいしい野菜が育ちません。
また、親が野菜嫌いなことが多く、その子どもは野菜を食べる機会が少なくなります。
これらの理由から、日本人のように「油っこい食べ物が続いたから、さっぱりしたものを食べよう」「健康や美容のために野菜を食べよう」という考え方は一般的ではありません。
日本の食べ物は、「温かいものは温かいうちに、冷たいものは冷たいうちに」というものが多い傾向にあります。
そのため、完成された料理は素早くテーブルに運ばれてきたり、冷めにくいように事前に食器を温めたりと工夫が詰まっています。
一方、フィリピンは気候が暑いせいか、熱々の料理はあまり存在しません。
フィリピン人は猫舌が多いのかもしれませんが、お皿に盛り付けられた温かいご飯でさえ、食べる前にスプーンとフォークで崩して冷ましながら食べるほどです。
日本では、暑い夏に冷やし中華、冷製スープ、かき氷を食べたくなり、キンキンに冷えたジュースやお酒といった飲み物も恋しくなります。
一方、フィリピンは日本と比べて暑い期間が長いにもかかわらず、冷たい食べ物はアイスクリームやハロハロ(フィリピン版かき氷)、飲み物くらいしかありません。
そのため、わざわざ冷やした麺類やスープ、おかずなどを食べるなんて「考えられない」という感覚があるようです。
今回はフィリピン料理の特徴、フィリピン人に好まれる味・苦手な食べ物について紹介しました。
フィリピン料理はスペインやアメリカ、中国などさまざまな食文化が入り混じっていますが、日本人にとって慣れ親しんだ料理もたくさあります。
大都市では、日本食店の集まるエリアが数多く存在するほど、フィリピン人にとって和食がなじみのある食べ物となってきました。
フィリピンに和食文化がもっと広まることで、日本ならではの食べ方がさらに受け入れられるようになるといいですね。
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