バイデン大統領は2022年5月23日、インド太平洋経済枠組み(IPEF)の立ち上げを発表しました。
これはインド太平洋地域でサプライチェーンの強化、質の高いインフラや脱炭素など経済面における加盟国間での経済協力を進めるもので、発足段階での参加国は、米国、日本、インド、ニュージーランド、韓国、シンガポール、タイ、ベトナム、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、オーストラリアの13カ国となっています。
これが進めば飲食業界を中心とする企業に、どのような影響が出てくるのでしょうか。
まだ確定的な答えを言える段階ではありませんが、仮にこの協定によって加盟国間の経済交流がさらに進むことになれば、飲食店で使用する一部の食材で関税が下がったり、もしくは撤廃されるなどしてこれまで以上に入手しやすくなり、経営的な負担が減ることが考えられます。
ロシアによるウクライナ侵攻により、小麦など一部食材で物価高騰が世界各国で起こり、日本でも多くの食材や商品が値上げされていることからも遠い話ではないと思います。
このようなリスクが世界にある中でIPEFのような地域的な枠組みが強化されれば、ウクライナ・ロシアリスクのような出来事からの影響を最小限にでき、経営的な負担が少なくなる可能性があります。
IPEFに経済的目的があることは間違いありませんが、米国が対中国を意識して発足させたという政治的背景を見逃すわけにはいきません。
周知のように、中国が経済分野でASEAN諸国へ深く接近し、ラオスやカンボジア、ミャンマーなどは既に中国の影響下にあります。
これら3ヶ国は今後も経済では中国依存が続き、日本企業にとっていい環境が生まれる可能性は低いです。
当然、ラオスやカンボジア、ミャンマーはIPEFに参加していません。
一方、IPEFに参加しているシンガポール、タイ、ベトナム、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピンは今日、経済で米国と中国のどちらに着いていくか迷っている狭間にあります。
今後のより良い日本とASEANの経済関係を構築していくために、日本政府としてはタイやベトナムなどに米国主導の経済圏に参加するよう強く促す必要があります。
今後のASEANを取り巻く経済情勢では、高い確率で中国と米国との主導権争いが激しくなるでしょう。
それは主に経済領域を舞台に行われ、IPEFのような経済枠組みが今後さらにASEAN地域で活発になると思われます。
飲食業界を中心に日本企業はIPEFなど外交と経済の動向を日々注視し、情報分析と情報共有を行っていくことが何より大切になります。
筆者の周辺でも、最近、IPEFによって今後タイやベトナムとの経済で明るい兆しだとする声があります。
一方、おそらく今後中国がシンガポール、タイ、ベトナム、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピンなどIPEF参加国に経済的な攻勢を仕掛けてくる可能性があり、もう少しIPEFの動向を注視する必要があるとの意見も聞かれます。
IPEFには多くの期待がみられますが、同時に政治的動向もみていく必要があります。
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