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日本とASEANを繋ぐ海上貿易路上のリスク。台湾海峡と安全の行方

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日本とASEANは長年の経済相互関係にあります。
近年は新型コロナの影響で日本とASEAN諸国を行き来する人の数が減少していましたが、コロナ禍が落ち着く気配を見せはじめ(今後の動向は分かりませんが)、今後人々の往来が再び戻ることが期待されています。
人々の往来のほとんどが航空機による移動ですが、日本とASEANを繋ぐ海上貿易路では1つのリスクが肥大化しています。

それは台湾有事です。
ASEANと日本を繋ぐ海上貿易路の多くは南シナ海から、台湾とフィリピン北部・ルソン島の間のバシー海峡、台湾東部へと通ることになります。
フィリピン東部から出発する場合を除き、ベトナムやカンボジア、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシアと日本を結ぶ海上貿易路は、基本的にはこのルートです。

訓練をする中国軍



昨今、台湾有事を巡る動向は緊張が続いています。
台湾の蔡英文政権は独立志向が強く、欧米諸国との関係を強化しており、中国はそれをよく思わず、中台関係は悪化しています。
中国は台湾を「中国の一部」と位置付け、その独立的動きに対しては武力行使も辞さない構えです。
2022年5月30日には、中国軍の戦闘機や電子戦機、早期警戒機など延べ30機が台湾南西部の防空識別圏に進入したと台湾国防部(国防省)が明らかにしました。
2022年に入って確認された、1日に進入した中国軍機の数としては1月23日の39機に次ぐ2番目の多さとなっており、台湾政府も中国軍による威嚇を真剣に受け止め、国防費増額や欧米との連携、軍事演習などを強化しています。

専門家の間でも台湾有事に関する発言が近年相次いでいます。
例えば、2021年10月、台湾国防部の邱国正部長は立法院(日本の国会にあたる)の議会で、「2025年には、中国が台湾を全面的に侵略することが可能になる」として、中国への警戒感と台湾の軍備を強化する必要性を訴えました。
また、同年3月には、米インド太平洋軍のデービッドソン司令官(当時)は上院軍事委員会の公聴会で、「6年以内に中国が台湾に進攻する可能性がある」と指摘しました。
こういった状況もあり、台湾市民の間では警戒の声が高まっています。
台湾国防部は2022年3月、市民の軍事訓練義務の期間を現行の4ヶ月からさらに延長する可能性を示唆し、4月には、中国による軍事侵攻に備えて民間防衛に関するハンドブックを台湾軍が初めて市民向けに公表しました。
そこでは、有事の際に市民が早期に避難できるように、台湾内政部(内政を担当する中央省庁)が2021年4月に運用を開始した防空壕の場所を示す携帯アプリの利用を呼び掛けています。
台湾ではマンションや工場、学校など5~6階以上のビルに防空壕の設置が義務付けられており、全土に10万ヶ所以上あるとされ、有事のときには市民がそれを有効活用することが期待されています。

緊張が高まる台湾と南シナ海

すぐに台湾有事が発生するわけではありませんが、ウクライナ侵攻のように現実的問題として受けとめる必要があります。
仮に発生すれば、日本とASEANを繋ぐ海上貿易路の安全が脅かされ、貿易の安定性に影響を及ぼす可能性があります。
また、日本とASEANを往来する商船やタンカーが中国船舶によって臨検、拿捕(だほ)といった重大事に巻き込まれる恐れも否定できません。
日本とASEANを結ぶのは空だけではありません。
今後の海の安全についても、企業は注視していく必要があるでしょう。



この記事を書いた人(著者情報)

サンシーロ

ASEAN各国に国際会議でよく出かけます、よろしくお願いいたします。

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