TikiTokをはじめ、ソーシャルメディアでは「〇〇チャレンジ」が定期的に登場します。
2022年7月頃、インドネシアでは「納豆チャレンジ(Natto Challenge、もしくは現地語でTantangan Natto)」が大流行しました。
インドネシアでは現地生産や輸入品の納豆が市場から消える大事態となりました(大事態なのは現地在住の日本人だけかもしれませんが)。
いったい何が起きたのか?
本記事でお伝えします。
きっかけはインドネシア人YouTuberともTikTokerとも言われていますが、2022年の7月から8月にかけてインドネシア全体が空前の納豆ブームに包まれました。
理由は冒頭で触れた「納豆チャレンジ」です。
納豆チャレンジとは、簡単に説明すると「納豆を食べてオーバーリアクションを取り、Natto ChallengeもしくはTantangan Natto(現地語で納豆チャレンジの意味)のタグを付けてTikTokに投稿すること」です。
分かりやすい投稿の例はこのようなものです。
「納豆っておいしい!」というものではなく……、「すごく臭い日本の食べ物がある!勇気を出して食べたらひどかった!」というトーンでの紹介です。
このような投稿が7月からインドネシアのTikTok上に流れだし、あっという間に納豆チャレンジの動画で溢れるようになりました。
ソーシャルメディアで過激な動画が好まれるのは世界中同じです。
インドネシアも例外ではありません。
納豆チャレンジは、次第にエスカレートしていきました。
7月の中旬ごろにはこのように大量の納豆を使用する動画も登場。
ブームが本格的に広がると、財力のある大人やインフルエンサーなども参加し歯止めの効かない状態になりました。
元々インドネシアでは、納豆はメジャーな食べ物ではありません。
食べるのは現地在住の日本人くらいです。
そのため販路は「日系スーパーマーケット」に限られます。
それがインドネシア全体を巻き込むブームになるとどうなるのか?
瞬く間に納豆がスーパーマーケットから消えました。
なぜか?
転売屋が出現するからですね。
納豆は3パックで売られていることが多いと思うのですが、日本国内だと130~150円程度です。
それがインドネシア国内だと3倍近くの値段となり、3パックで300~400円弱です。
かなり高めですが、これがインドネシアにおける通常の納豆の値段です。
そしてそれが転売屋に渡ると、高い場合は3パックで900円程度になることも!
某オンラインショップでは、おかめ納豆3パックセットが99,900ルピアに!
1ルピア=約0.0096円で換算すると約959円!!
この値段でも納豆を買いたい!納豆チャレンジに参加したい!という人がいたということですから、ブームとは恐ろしいものですね。
ちなみに納豆チャレンジブームは、すでにピークを越えています。
Google Trend(Googleが提供している検索数の指標となるサイト)のデータを見ると、2022年7月中旬にピークを迎え、その後急下降。
まだ納豆に興味がある人はいるようですが、おおむね落ち着き始めていますね。
本記事を書いている2022年9月6日時点では、完全に安定供給とは言えませんが、日系スーパーにも納豆が並ぶようになりました。
転売屋が大量に仕入れた納豆はどうなってしまうのか……、想像しただけで恐ろしいです。
廃棄されるとしたら大変もったいない話です。
最後に少しだけ明るい話題を。
オーバーリアクションが多かった納豆チャレンジですが、さすがにこれだけ多くの人が納豆を食べれば異なるリアクションを選ぶ人も出てきます。
ブームの中盤以降ではこちらの投稿のように、落ち着いてレビューをする人も出てきました。
中にはオーバーリアクションをとっているけど、「(あれ?意外においしいかも……)」と感じていた人だっていたかもしれませんね。
でもやっぱりみんな苦手だったのかもしれません(笑)。
とにもかくにも、この納豆チャレンジを通じて多くのインドネシア人が納豆を初体験したことは間違いありません。
願わくば、これをきっかけにインドネシアではあまり知られていない納豆以外の日本の食べ物も注目されますように。
個人的には、納豆の販売量が以前のように安定供給されるようになり、販売価格も元に戻ってほしいです。
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