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丸亀製麺から見る、インドネシアの小麦フード市場

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ASEANを目指す飲食業界関係者であれば、「東南アジアの小麦事情」を知っておくべきだろう。

年を通して高温多湿の東南アジアでは、米を年3回収穫することができる。
だから水田に行けば田植え直後の光景と刈り取り後の光景を同時に見ることができるわけだが、それはB級穀物を必要としない現実でもある。

米と小麦の二毛作ということはほとんど行われず、そもそも小麦自体の収穫もない。

東南アジアは「小麦空白地帯」と表現してもいいだろう。

だがそれは、東南アジアで小麦の消費がないという意味ではない。
むしろ逆だ。
近年の経済成長と比例するように、小麦の消費量が格段に増えている。

ASEAN最大の人口規模を誇るインドネシアも、例外ではない。

うどんが話題を呼ぶ

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ジャカルタ市民の特徴は、新しいもの好きで吸収が早い。

インドネシアは冷戦時代、アメリカを盟主とする西側陣営に属していた。
そのため、文化が日本以上にアメリカナイズされている感じだ。だが一方で、彼らは日本の文化も上手に取り込んでいる。

「うどん」という、小麦を使った日本の麺料理があるというのは今やジャカルタっ子の常識だ。

うどんブームの火付け役は、丸亀製麺。
ジャカルタ最大のショッピングモール『グランド・インドネシア』に店舗を出してから、連日多くの客を集めている。
脂っこい料理が多いインドネシアにおいて、あっさりとした食感のうどんは非常に目新しいという。

この国に麺料理がないというわけではない。
インドネシア語で麺は「Mie(ミー)」と言う。
だがそれは、主に大手食品企業インドフードが発売するインスタント麺を指す。
うどんのように、自分の手で製麺する料理というものはインドネシアではあまり見かけない。

要は、そうした新鮮さがうどんにはあるということだ。

日系フード店の客層

さて、これは丸亀製麺に限らずインドネシアに進出した日系フード店舗に共通することだが、これらはいずれも「客層がミドルクラス以上」である。

グランド・インドネシアというショッピングモール自体、利用客の大半はアッパーミドルクラスの人々である。
ロウアーミドルクラス、ワーキングクラスの庶民はよりチープな屋台か食堂を利用する。

だから、色褪せた作業着の肉体労働者が丸亀製麺や吉野家を利用するということは、ほとんどない。
日本ならば建設現場のたくましい諸兄が昼休みに牛丼チェーン店へ行くという光景は珍しくないが、こうした事情は国ごとに異なるようだ。

頑張る若者

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「インドネシア人は怠け者」という評価を、たまに聞く。

だが、土曜日の丸亀製麺に行けばそのイメージは一瞬で消し飛ぶだろう。
若いスタッフが、1人数役とも表現すべき仕事を手際よくこなしている。
丸亀製麺にとって、土日祝日は繁忙期。
ひっきりなしにやって来る客の注文にも即座に対応する。
訓練されていなければできない動作だ。

インドネシア人は手先の器用な国民だ。
一度マスターしたことならば極めて正確に反復する。

しかもインドネシアは若者の数が多く、様々な物事に対して意欲的だ。
そうした彼らの性格を活かせば、この国での大成も夢ではない。

さらに、冒頭で説明した通りASEANの小麦食品市場は拡大の一途をたどっている。
人々は米食から小麦食へ舵を切りつつあり、インドネシア政府も製パン・製菓分野での地場企業発展を目論んでいる。

このビジネスについては、これからも傾注していく必要がある。

この記事を書いた人(著者情報)

澤田真一

フリーライター、グラップラー。175センチ88キロ。ASEAN経済、テクノロジー関連情報などを各メディアで執筆。

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