怒涛の勢いで民主化が進むミャンマー。
ここ数年でヤンゴンには、欧米人が経営に加わったハイセンスなカフェやバーが次々とオープンした。
ここにきて、その波は地方へも波及しつつある。
ミャンマーの観光地として名高い都市は4つ。
最大都市ヤンゴン、第2の都市にして古都のマンダレー、遺跡の町バガン、避暑地インレー湖だ。
日本をはじめ、ほとんどの旅行会社が主催するパッケージツアーはこの4ヶ所の組み合わせとなる。
これまで各旅行会社を悩ませてきたのは、ヤンゴンを除く地方都市にはホテル以外に高級といえるレベルの飲食店がほとんどなかったことだ。
それが観光客の増加に従い、その様相が変わってきた。
なかでもここ半年ほどで突出して“お洒落化”が進んだのがインレー湖だ。
インレー湖観光の拠点となるニャウンシュエには、ここ半年ほどで一気にお洒落なレストランやカフェ、バーが増えた。
こちらは人気のバーのアジアティコ。
ニャウンシュエの中心部にある。
さらにこの9月のオープン以来、注目を浴びているのが「ラ・リジエール(フランス語で「田んぼ」の意味)」だ。
ニャウンシュエ中心部から車で10分ほど。郊外の田んぼの中という一風変わった場所に建っており、周囲には文字通り田んぼしかない。
オーナーは、タイやドバイで外国暮らしを経験して戻ってきたミョーミントゥーさん。
ヤンゴンっ子でインレー湖には親戚や友人もいなかったが、旅行で訪れて気に入り、ここに店を出したいと思うようになったとか。
そのタイミングで、ニャウンシュエでブティックホテルを成功させたフランス人と意気投合。
飲食店のアイディアを語り合ううち、あえてカントリーサイドに自然を楽しめるカフェを作ろうということになったそうだ。
「周辺をあちこちリサーチした末にめぐり合ったこの田んぼにひと目惚れ。コンセプトにもぴったりと決めました。ニャウンシュエから遠過ぎず、湖の周回道路沿いにあり、サイクリングを楽しむ人たちも入りやすいというのも気に入りました」とミョーミントゥーさん。
メニューには、欧米人にも食べやすいよう脂分を控えめにしたヘルシーなアジア料理が並ぶ。
竹で作ったやぐら状の2階建てダイニングに、オープンキッチンを囲むカウンター席を併せても40~50席ほどと小ぢんまりしており、周囲に広がるのはただただ田んぼ。
トイレも田んぼの中に設えてあり、竹製の跳ね橋で渡るユニークな造りになっている。
インレー湖はミャンマー東部のシャン州南部に位置する南北約18km、東西約5kmの細長い湖だ。
ヤンゴンからは飛行機で約1時間強。
標高884mという立地ゆえ比較的冷涼な気候で、昔から避暑地として在住外国人やミャンマー人セレブたちの人気を集めてきた。
水上コテージを擁するリゾートホテルが多く、ボートでレセプションへ乗り付けてチェックインし、水上パゴダや少数民族が多数集う朝市といった観光ポイントもボートで巡るスタイルが一般的だ。
このインレー湖でこれほど急速なお洒落化が進んだ要因のひとつは、フランス人観光客の多さにある。
フランスでは2010年代前半からミャンマー旅行ブームが続いている。
2016年にミャンマーへ訪れた観光客の国別ランキングでもフランスは6位。
地理的に遠いヨーロッパだけで見ると、11位につけるドイツに比べて特に突出した数の観光客がやってきている。
豊かな自然を堪能するリゾート型滞在を好むフランス人にインレー湖は人気が高く、高級ホテルの中にはフランス人客が半数近くを占め、マネージャー職などにフランス人を雇っているところもあるほどだ。
観光客が多ければ、おのずとこの地でホテルや飲食店を始めようという人も出てくる。
それがここ半年ほどの急激な変化に繋がったのだろう。
上で紹介したアジアティコもラ・リジエールも、フランス人が経営ないしは共同経営者に名を連ねている。
次なるお洒落化の波は、順当にいけばバガンだろう。
すでに昨年、ヤンゴンで人気を博す人気イタリアンレストランがバガンに支店を出した。
今後さらに、こうした動きは他の都市へも広がっていくに違いない。
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