海外在住の日本人にとって、どうしても恋しくなるものといえば、やっぱり和食。
近年は、和食ブームということで、東南アジア各国でも日本食レストランが急増していますが、それでも、なかなか食べられない伝統的且つ庶民的な料理があります。
それは…手打ち蕎麦!
筆者が暮らすホーチミンでは数年前、初の本格手打ち蕎麦を味わえるお店がオープンし、地元メディアや海外TVも取材に訪れるなど話題を集めています。
今回は、今年5月に2号店もオープンして、ますます勢いに乗る「日本蕎麦 山伏」の井上孝義オーナーにインタビューを敢行しました。
-井上オーナーの経歴について、お聞かせください。
「出身は山口なのですが、ベトナムに来る以前、沖縄のIT関連企業で働いていました。
しかし、県の経済の先行きが少し不透明になってきたので、これからどうしようかと考えていたところ、知人がベトナムに進出して、その方からベトナムについて色々いい話を聞いたんです。
それで、わたしもベトナムに行こうと思い立ちました。」
-最初は、IT関連のお仕事でベトナムへ?
「わたくし、実はこれまでに色々仕事を変えておりまして…
沖縄に行く前は、ハリウッドでスタントマンをしていたんです。
その後、映像編集の仕事を経て、ITの仕事に就きました。
今回も、また何か違うことがやりたいと思い、飲食業をやってみようという話になりました。
しかし、いきなりそれだけで行くのはどうだろうと躊躇していたところ、ちょうどネットビジネスの事業拡大を考えていた大手家具会社さんから、ベトナムにIT部門を作ったので、行ってくれないかという話をもらったんです。
それで、まずはそちらの立ち上げをお手伝いする形で1年程働き、その間にベトナムでのノウハウを蓄積し、本格的に現在の飲食業を始めました。」
-因みに、ハリウッド時代は、どんな作品に出演されたのですか?
「一番有名なところで言うと、ラスト・サムライですね。
ニコラス・ケイジ主演の作品にも出ていました。」
-約1年の準備期間を経て、いよいよ飲食店をオープンするに至ったわけですが、なぜ蕎麦屋に?
「最初は寿司屋がいいと言われていたので、少し寿司の勉強を始めていたんです。
しかし、ちょうど屋台の寿司屋が増えつつあった時期で、ちょっとどうかなということになって、わたしが若い時分にラーメン屋でバイトしていたことがあるので、ラーメンはどうだ?と考えたんですが、ラーメン屋も既に結構あるから難しい。
牛丼屋も検討したんですが、日本人街にあるのを見つけて…
じゃ、いったい何がないんだ?と考えたら、
そうだ蕎麦屋がない!ということで、蕎麦屋に決めました。」
-蕎麦屋というと、職人さんが作っているというイメージがありますが、どうやって技術をマスターしたのでしょう?
「今はネット社会なので、動画サイトで色々な職人さんが手打ち蕎麦の実演をしているのを見ることができます。
それを研究して平均的なものをピックアップしながら繰り返し練習しました。
結構手先が器用な方なので、何度もやっているうちに指先の感覚で分かってくるんです。
ただ、蕎麦粉と水を馴染ませる水回しの作業は、かなり苦戦しましたね。」
-1号店は、古くから日本人街として有名な1区Thai Van Lung通り。
2号店は、最近、第2の日本人街と言われるようになったBinh Thanh区Pham Viet Chanh通りに出店されました。
それぞれの立地について、出店の決め手を教えてください。
「1店舗目は、なるべくリスクを避けたいという気持ちがありました。
できるだけ安い物件で、且つお客さんが来てくれる条件で探しましたが、やはりどちらかを立てれば、どちらかが立たなくなる。
それで、ちょうどいいバランスのところを考えた時、少し路地の奥まったところにはなりますが、現在の1号店の場所を見つけて契約しました。」
-2号店に関しては?
「2号店は、とにかくこれから伸びる地区で、まだ安いので、今のうちに押さえておいた方がいいということだったので、土地借用契約しました。
しばらく放置していたんですが、それだともったいないから、とりあえず間取りの設計だけしてみようと。
ただ、そのままだとトイレがなかったので、作らないといけない。
どうせトイレを建てるなら、その上にやぐらを作ることを思いつきました。
私自身、以前はスタントマンの他にダンサーもやっていましたから、店内に踊りなどのパフォーマンスが出来るやぐらがあったら面白いと考えたんです。
そうこうしているうちに、お店の形が出来上がって、オープンする運びとなりました。」
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