東南アジアの中心に位置しミャンマー(旧ビルマ)、ラオス、カンボジア、マレーシアと国境を接するタイ王国。
王国として独自の発展を遂げ、首都バンコクやタイ各地に歴代王朝の貴重な遺跡が残されている他、南部には数多くのリゾートもあり、国際観光収入の規模では、米国、中国、スペインなどに次ぎ6位にまで成長しています(2016年時点)。
タイ王国の経済、特徴や魅力に迫ってみることにしましょう。
国名:タイ王国(Kingdom of Thailand)
略号(ISO):TH/THA
人口:日本の人口の約半分で6,886万人(データ引用元:世界銀行2016年データ)
面積:約513,120㎢ (日本の約1,4倍大きい)
首都:バンコク
公用語:タイ語
宗教:国民の95%が仏教を信仰しています。
少数派としてイスラム教が3.8%、キリスト教が0.8%、ヒンズー教が0.1%います。
気候:熱帯性気候に属しており、年間の平均気温は約29℃と1年中温かいです。
最高平均気温36℃、最低平均気温17℃となっています。(乾期 11月〜2月・暑期 3月〜5月・雨期 6月〜10月 )
民族:現在は混血が進んでいるため正確な数字にするのは難しいと言われていますが、タイ族85パーセント、華人10パーセント、その他にもマレー系、インド系、カンボジア系と様々な民族で構成されています。
1997年にアジア通貨危機で大きな打撃を被ったタイ経済でしたが、2000年代は、輸出産業がすすみ緩やかな経済成長を実現。
ASEAN諸国の中でも突出した製造拠点として注目されるまでになりました。
2016年のタイのGDPは約4000億ドルで、世界で26番目、ASEAN諸国の中では、インドネシアに次いで2番目の規模となります。
タイ中央銀行は3月、2017年の国内総生産(GDP)が3.4%増になるとの見通しを発表しているなど、順調な成長を見せています。
タイ王国のGDP成長率は年によって大きな揺れ幅を見せています。
要因の1つはタイ王国が外需中心の経済であることです。
諸国の影響が響きやすく、アジア通過危機、2009年のリーマンショック、2011年の欧州の経済危機及び洪水、2014年の軍事クーデターなど経済の混乱を反映しやすい状態と言えます。
こうした不安要素はあるものの、2016年10月13日のプミポン前国王逝去から民間の消費や行楽の自粛ムードも動き始め、国内消費は上がり外国人観光客の回復も見られます。
さらに地方振興策を軸とする総額1,900億バーツ(約6,200億円)の補正予算など政府支出による景気刺激策の効果、堅調な成長を続けるアメリカをはじめとした先進国経済の改善などがタイの需要増大に繋がり、今後も底堅く成長していくと予想されているのです。
タイ商務省がまとめた2017年タイの上半期(1~6月)の輸出額では前年同期比7.8%の伸びが見られます。
1980年時点では全就業者の70%程度が第1次産業(農林水産)に従事していました。
現在は全就業者の30%以上が第1次産業に従事しており、依然として高い水準にあります。
産業別GDP構成比を見てみると1次産業(農林水産) 12.1%、2次産業(鉱業、電力を含む) 43.6%、3次産業(通信や金融、小売などサービス関連) 44.2%となっていて、第1次産業の生産性(産業別GDPを就業者数で除したもの)は決して高いとは言えません。
近年はサービス業が占めるGDP割合の増加傾向が見られ、タイの内需が拡大しています。
内需が増すことは、今後安定した成長に繋がる可能性を示唆しています。
タイの輸出品の中身を見ると、自動車、コンピューター及びその同部品が大きな割合を占めていることがわかります。
また、輸入品を見ると部品、原油、電気部品と続きます。
タイの輸出・輸入品目からも、輸入した原材料を加工して中国や日本、米国、EU、ASEAN諸国に輸出している製造立国の姿が見えてきます。
毎日数えきれないほどの屋台が立ち並んでいる風景に、外食をする人がそんなに多いのかと不思議に思われる方もいらっしゃるかも知れません。
実は、タイの一般家庭では台所が無いケースも多く、外食文化が当たり前となっています。
日本だと主婦は料理ができて当たり前と考えられますが、タイでは「労力・時間・コストを考えると外食の方がバリエーションもあって安くて良い」となるという訳です。
数々の食べ物、フルーツなどに富んでいますから、タイ滞在中には思い切り屋台文化を楽しんでみてはいかがでしょうか。
ただ、日本と同じような衛生管理は約束されていないため、お腹が弱い方は火の通っていない食べ物、フルーツ、衛生的に怪しそうな屋台は避けた方がよいでしょう。
ちなみに、タイではお皿に口を付けて食べることは行儀が悪いと言われています。
スープヌードルの汁もレンゲですくいましょう。
麺をすする音もマナー違反になるので気を付けたいものです。
タイから見て日本は中国に次ぐ第2位の輸入相手国、アメリカ、中国に次ぐ第3位の輸出相手国です。
現在、日タイ貿易は日本側の恒常的な黒字となっています。
日本からタイへの投資は、電気機械、自動車部品、金属加工等の製造業が中心となっており、近年では2012年を境に日本からタイへの投資額は減少傾向にあります。
年 | 件数 | 金額(バーツ) |
---|---|---|
2012 | 761 | 3,484億3,000万 |
2013 | 686 | 2,904億9,100万 |
2014 | 417 | 1,819億3,200万 |
2015 | 451 | 1,489億6,400万 |
2016 | 284 | 795億9,900万 |
ただし、タイ投資委員会(BOI)によると、2015年の対内直接投資では日本がBOI認可ベースで第1位となっており、引き続き日本-タイ間の強い関係が伺えます。
JETRO調べによるとタイの日系企業は2014年時点で8,890社あり、年間約1,500社の新規進出があるとのことです。
国名 | 2014年 | 2015年 | |
---|---|---|---|
金額 | 金額 | 構成比 | |
日本 | 181,932 | 148,964 | 30% |
台湾 | 3,230 | 15,584 | 3% |
香港 | 18,879 | 27,653 | 6% |
韓国 | 14,860 | 3,492 | 1% |
ASEAN | 18,594 | 110,158 | 22% |
中国 | 38,247 | 28,100 | 6% |
インド | 2,016 | 1,285 | 1%以下 |
米国 | 50,158 | 32,232 | 7% |
オーストラリア | 7,907 | 1,142 | 1%以下 |
EU | 74,575 | 47,181 | 10% |
その他 | 73,113 | 77,449 | 16% |
日本の対タイ投資及び日タイ経済連携協定(JTEPA)等を利用した経済関係の強化等の結果、タイは日本の経済協力の最優先国の1つであり、タイが受け取る経済協力のうち6~7割は日本からのものとなっています。
日本の経済協力の重点分野としては、インフラストラクチャーの整備、環境保全、地域開発、人材育成、円借款及び技術協力が挙げられます。
近年では2013年1月に安倍総理が就任後初の外国訪問先の一つとしてタイを訪問。
タイ政府からは、2015年2月、3月及び7月にプラユット首相がそれぞれ訪日しています。
2017年9月には日タイ修好130周年を迎え、近年、両国関係は以前にも増して緊密な関係となっています。
タイ経済は輸出依存型のため、海外需要が好転している今、経済成長の伸びが予測されています。
空港・港湾・道路・電力などのインフラが整備されている他、財政運営が健全で、金融政策も堅実、外貨準備も潤沢であるなど、財政金融面では東南アジア随一。
為替相場の急落や金融市場が危機に陥るといった可能性が周辺諸国に比べれば低いと考えてよいでしょう。
こうした背景から、日本企業を始めとした先進国からタイの投資が相次いでいるのですが、一方、今後タイ国内での人口不足や賃金の上昇、周辺国のインフラ整備に伴い周辺国へと投資が流入する可能性も懸念されております。
タイがこれらの問題をどのように克服し、さらなる国の成長に繋げていくのか引き続き見守っていきたいと思います。
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