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ロシアによるウクライナ侵攻で深刻化する“世界的物価高”  ASEANは大丈夫か!?

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ロシアによるウクライナ侵攻は軍事的な衝突だけでなく、世界的な物価高を推し進め、今日世界各国で経済混乱が深刻化している。
スリランカのゴタバヤ・ラジャパクサ大統領は7月6日、深刻化する経済危機を乗り切るため、ロシアに対して原油の供給と旅客便の再開を要請したことを明らかにした。
ロシアによるウクライナ侵攻によって世界的な物価高が起こる中、スリランカでは停電や物価高騰、食料・ガソリンの不足などが数か月に渡って続いている。

物価高に抗議する市民と治安部隊の衝突(ペルー)



また、ロシアによるウクライナ侵攻から4ヶ月となる中、既に各国では物価高によって抗議デモや暴動が発生し、死傷者が出るなど、飲食業界にも影響が拡大している。
例えば、南米のペルーでは4月、ウクライナ侵攻によって小麦の価格が急騰し、これに耐えかねた市民、小麦を材料にする飲食店関係者などによる抗議デモが全土に拡大した。
抗議デモ参加者の中には治安部隊と衝突するだけでなく、飲食店に放火したり、商店で略奪行為を行ったりと過激な行動に出る人々もみられ、公共交通機関がほぼ停止し学校も休校となった。
これによって、ペルー政府は市民の行動を規制する非常事態宣言を発令し、ペルーの各飲食店では小麦などの材料を確保できず営業中止に追いやられる店も出た。

7万人の抗議デモが発生したベルギー

また、暴動とはいかなくても、先進国では物価高によって大規模なストライキが発生した。
韓国では6月、石油価格の上昇によって運送業界を中心に賃上げを求める大規模なストライキが発生し、日本でも人気がある韓国焼酎チャミスルの製造工場がストップするなど、飲食業界に大きな影響が出た。
欧州でも英国やベルギーで物価高に抗議する大規模ストライキが発生し、参加者の中には鉄道職員や空港職員がおり、地下鉄がストップ、国際フライトの一部が欠航するなどの影響が出て、飲食の物流に大きな影響が出た。

現在のところ、ベトナムやタイ、シンガポール、インドネシア、マレーシアなど日本企業の進出の多い国では幸いにも死傷者が出るレベルの混乱には至っていない。
しかし、ASEAN諸国でも物価高は起きており、現地の飲食店も間違いなくその影響を大小問わず受けている。
7月14日にJETROが公開した情報によると、ASEAN各国のインフレ率が加速化し、5月の消費者物価指数の上昇率が前年同期比タイで7.1%、ラオスで12.8%と鋭く増加。
フィリピン、シンガポールも5%台と高い水準になったという。
タイでは石油や液化天然ガス、電気料金の値上げで食料価格がアップしており、ラオスでも同様の現象が発生。
国民生活や企業活動に大きな影響を与えている。

ASEAN各国にも、さまざまな影響が

 

東南アジア各国の政府は急激な物価高に対応するため、低所得者層向けに現金を給付したり、ガス代を補助したりと、支援を強化している。
しかし、物価高が長期化すれば、歳出の膨張で財政が悪化する可能性があり、各国政府とも難しい舵取りを余儀なくされている。

企業としてはこのような状況を真剣に受け止める必要がある。
いつどこで抗議デモが発生し、もしくはそれが暴動に発展しても不思議ではない。
今後のASEAN諸国の経済、治安の混乱を見極めるためには、通常よりどれほどインフレが進んでいるかが1つのポイントになろう。
ASEANでも同様のリスクに注意すべきだ。



この記事を書いた人(著者情報)

サンシーロ

ASEAN各国に国際会議でよく出かけます、よろしくお願いいたします。

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