【目次】
― デリバリーにいち早く注目し、2018年にはシンガポールに進出をなさっている河野社長。そもそも飲食業界に足を踏み入れたきっかけを教えてください。
もともと日本の通信事業の会社で営業を行っていたのですが、30歳の時、上司の独立とともに退職しました。その後、その上司が起業したコンサルティング(以下コンサル)会社で働いていた際、舞い込んできた飲食コンサルの仕事が飲食業界との出会いになります。
― なるほど。もともと飲食業界に興味はあったのですか?
ありましたね。広島で両親が中華料理屋を営んでおり、飲食店になじみがあったという環境要因もあるかもしれません。
― しかし、飲食店舗ではなく、デリバリービジネスを軸として独立なさっています。デリバリービジネスとの出会いとは?
飲食店のコンサルを行っていた際、お弁当を大量注文いただいたことがきっかけです。
お弁当を届けるに当たり、話の流れで「デリバリーしますよ」となったのです。その後も度々、大量注文をいただくようになりました。このことが口コミで広がり、ほかのお客様もデリバリーでお弁当を注文してくださるようになったので、デリバリーの売上が瞬く間に伸びていきました。
もともと、商業施設内店舗の集客というのは商業施設に来店されたお客様の母体数で決まってしまう、ということに悩んでおりましたので、デリバリーという新たなジャンルを見出せたことは良かったと思います。商業施設の集客数に囚われない客層を獲得できるようになりましたので。
― 飲食コンサルを経て、デリバリービジネスで独立されています。
そうですね。独立した2013年当時は、デリバリービジネスはまだまだブルーオーシャンでした。この業界なら「興味のある飲食で戦える」「もっと伸びる」と考え、会社設立を決断しました。
― デリバリーで扱われている商品へのこだわりを教えてください。
当初は、希少性と流行という面でブランドを探していました。
例えばただのハンバーグではなく、黒毛和牛のハンバーグ、というようなこだわりを持ったブランドをメインに展開していました。
しかし、創業から5年が経ち、会社も成長段階から成熟段階への過渡期であること、また、ブルーオーシャンであったデリバリービジネスへ他社の参入が加速してきたため、現在はお客様の利用頻度向上を目指し、低価格で提供できる自社ブランドを展開しております。
― 創業当時から、海外進出は意識なさっていたのですか?
社内では1期目、2期目辺りには海外進出をしたい、という声が出ていましたね。
しかし、当時は「飲食事業からまったくかけ離れた事業で進出する」という話があり、当社の企業理念である「新しい食文化の想像」と関係がなくなってしまうため、まずは日本でのデリバリー事業に力を入れることになりました。
オフィスに掲げてある〈企業理念〉
― 6期目である2018年3月9日、ついにシンガポールに1号店をオープンなさっています。初の海外にシンガポールを選ばれた理由とは?
①ASEAN地域(シンガポール・ベトナム・タイ・マレーシア・インドネシア・ブルネイ・カンボジア・フィリピン・ミャンマー・ラオス)に出店を予定
②経済の成長性
③デリバリーの環境インフラが整っている
以上3点から、すぐ進出をしても失敗をするリスクが少ないと考えたためです。
また、シンガポールと当社がメインで展開をしている東京23区はエリアの広さが類似している点もビジネスのしやすさ、という面で大きいですね。
― TGALとして出店したことでの強みはあると思いますか?
TGALブランドの希少性は、シンガポールにおいて他のデリバリーブランドとの差別化に繋がっていることを実感しております。
シンガポールには2019年4月現在、DON DON DONKI(ドン・キホーテ)さんが3店舗あり、日本のドン・キホーテとは違い、さまざまな日本食を販売しているため、日本食そのものの希少性は薄れてきています。しかし、当社は、素材や調理方法にこだわったブランドを取り扱っているため、他社とは一線を画すものがあり、お客様の利用頻度が減少するということはないです。そこは強みだと考えます。
うなぎやローストビーフ丼などを取り扱っている
― 海外ではさまざまな出店形態がありますが、合弁会社を選ばれた理由を教えてください。
もともとは独資を予定しておりましたが、シンガポールの税法などを加味し、合弁会社を設立して出店をしました。そのパートナー様が海外への出店経験をお持ちだったため、さほど困ることはありませんでした。パートナー様は税理士さんからご紹介いただき、もともと日本で当社のフランチャイズに加盟をしていただいている方です。
実は、私は店のオープンまでに3回しかシンガポールを訪れていません。物件選定もテレビ電話で行いました。現地の声は大切ですが、日本にいながら進められる有効な手段は沢山ありますので、さまざまな手段を上手く活用することも、今後の進出には必要不可欠だと思っています。
― 国内にいるまま進めるとなると、現地の声はどうやって経営に反映されているのでしょうか?
シンガポールのパートナー様が出店後、現地に在住なさっているんです。海外進出をすると味がぶれるという話もよく聞くのですが、パートナーさんが常に現地にいること、合弁であることの2点から、当社とパートナー様が同じベクトルで動いているので、現地の声はしっかり拾えています。これは大きなポイントだと思いますね。
しかし、今後ほかの国にも展開をしていくとなると、味のブレは絶対に発生してくると懸念しているので、出店形態など模索中です。
― シンガポールに2店舗ご出店されていますが、今後の出店予定、または出店したい国があればお聞かせください。
国内にはFCでの出店予定が多々、海外ではシンガポールに5月、3店舗目の出店予定があります。
海外では催事販売を常に行っておりますし、台湾でも新たな構想を立てています。
シンガポール店
― 最後に今後の展開、夢についてお聞かせください。
企業理念に基づいてTGAL(テガル)を継続していき、お客様に「あってよかったね」と通っていただける会社にしていきたいです。世の中のニーズを汲み取り、必要とされるものを提供していきます。
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