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【知らないと損するタイ進出情報】タイの財閥研究CPグループ①

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タイで最大の民間企業財閥
「チャロン・ポカパン」。その名を知らないタイ人は、おそらく一人もいないだろう。それぞれの頭文字を取って「CPグループ」と呼ぶ企業グループは、数十は存在するとされるタイの財閥にあって飛び抜けて桁外れに規模が大きい。連なる大小系列企業は300社以上。タイのみならず東南アジア一円、中国、香港、欧州、ロシアなどでも事業を展開する。複合コングロマリットを形成するグループの年間総売上高は1兆5000万バーツ(5兆円弱)とされ、従業員も全世界に30万人以上。「タイの財閥研究シリーズ」初回は巨大財閥CPグループを2回に分けてお伝えする。

「チャロン・ポカパン・グループ」の創業家チャラワノン家初代の謝易初(エックチョー・チャラワノン)は1896年、中国広東省潮州の隣街、澄海県の農家に生まれた。タイに渡ったのは1921年。大陸では辛亥革命の後に軍閥が群雄割拠し、内戦が深刻化する混迷の時代だった。

エックチョーは生育が早く収穫量の多い良質の野菜の種をタイに持ち込み、この販売から事業を興していった。種販売は堅調で、商売になる種であることが分かると中国や香港に何度も飛び、種を持ち帰って販売した。この時に創設した商店「正大壮」がCPグループの源流である。

彼は弟の少飛(チョウフイ)を中国から呼び寄せると二人で事業を拡大。収穫量が多いうえに生育が早く、病気にも強い野菜の種を厳選し、袋に小分けにして販売した。袋にはこの頃では珍しい使用期限を明記し、期限を過ぎたものについては回収するなどの心憎いサービスも行った。この結果、顧客は爆発的に増えていった。

 

種事業が拡大すると、自ら良質な種の栽培に取り組もうと、品種改良にもチャレンジ。野菜にとどまらず、コメや花、家禽などにも順次、手を広げていった。効率よく生育ができるよう、肥料や飼料、農薬との一体販売も手掛けた。この頃、エックチョーが開発した高収穫米の一つに自らの名を付した「謝易初」という銘柄があった。

種事業に続いて参入したのは、食肉事業だった。タイではごく普通に食されているガチョウ。この品種改良にまず取り組んだ。結果、生育が早く、肉厚な新品種「獅子頭」の開発に成功。流通量を拡大していった。

次いで養鶏業にも乗り出す。輸入した雛鶏(ヒナ)を生育し、解体して出荷、輸出するまでの一貫体制を確立。グループのビジネスモデルの原型がこの頃、初めて誕生した。また、グループ内にあった飼料販売店「チャロン・ポカパン(繁栄・消費財の意)」をグループ名に統一することにしたのも、この前後の時期だった。

1958年には、後に総帥となるタニンが留学先の香港から帰国。軍が管理する食用豚の解体処理工場で技術指導を受けた後にグループ入りし、経営に参画。60年代後半には事実上の後継指名を受け、中枢の階段を駆け上がっていく。

この記事を書いた人(著者情報)

kobori

2011年11月、タイ・バンコクに意を決して単身渡った元新聞記者。東京新聞(中日新聞東京本社)、テレビ朝日で社会部に所属。警視庁記者クラブで2・4課担当を通算4年経験。銀行破綻などの各種金融事件、阪神大震災、オウム真理教事件などの取材にも当たった。事件記者出身だが、取材対象は政治・経済、社会、科学、文化までなんでも。日本の新聞、雑誌、タイのフリーペーパーやウェブサイトなどでも執筆中。著述、講演多数。

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