ー すき焼きや鰹ダシなど日本風のスープだけでなく、タイ風の激辛トムヤムクンを含む6種類の鍋の他、海鮮料理や揚げ物をはじめ種類豊富な日本食を提供していることで人気の「いもたろう」。吉村社長が飲食業界に入ったきっかけとは?
大学時代は大手居酒屋チェーン店のキッチンスタッフとしてアルバイトをしていましたが、当時は長時間労働など、体力的に過酷な労働条件であるように思え、飲食店就職を断念。卒業後は、大手旅行代理店に就職しました。3年半ほど旅行代理店で法人営業をしていたのですが、ある本との出合いから再び飲食業界に戻ることになりました
ー ある本とは……?
ワタミ株式会社の創業者である渡邉美樹氏について書いた『青年社長』(高杉良著、KADOKAWA刊)という本です。当時の上司にすすめられて読んだのですが、環境のせいにせず「社長になる」という夢をかなえる期日を設け、そこに向かって仲間を集めて挑む姿が描かれていました。この本に感銘を受け、経営者になることを決意しました。
ー 決意後は、具体的にどのような行動に?
渡邉氏が行っていたように、新たに抱いた「経営者になる」という夢をかなえる期日を設定しました。学生時代にアルバイトをしていた時から飲食業界は好きだったので、働きやすい労働条件の飲食店を経営することを目標とし、学生時代のバイト仲間に声を掛け「夢を共有できる仲間」を探しました。
ー 反応はいかがでしたか?
当時26歳だったのですが、30歳の自分の誕生日までに飲食店を1店舗オープンしたい、という夢を3人の仲間に伝えました。皆その夢に賛同してくれ、共に追いかけることになりました。それからは、飲食店オープンに向けて資金を貯めていくことに。昼は携帯電話の販売代理店を経営する傍ら、飲食業界の現場について学ぶために夜は焼肉の繁盛店でアルバイトをする日々でした。資金繰りをし、何とか目標である30歳の誕生日の2日前、2006年6月27日に五反田(東京都品川区)に「いもたろう」をオープンすることができました。
ー 2日前!ギリギリですね。なぜ五反田を選ばれたのですか?
飲食関連事業を行っている方から紹介していただいた物件なのですが、五反田には縁もゆかりもなく、土地勘がまったくなかったため現地調査からスタートしました。オフィス街なのでランチ需要がある、再開発されている最中で今後、高層ビルが建設される予定と、売上を見込める要素があると分かった一方、物件は風俗街の端にあるため出店するかどうか悩みました。夢の期日が迫っていて背に腹は代えられぬということで、この物件に決めました。
ー オープン後、反響はいかがでしたか?
見込み通りランチ需要が多く、オープンから売上は好調でした。1店舗目の経営が安定してきたので、次は仲間1人1人が店舗を運営できるように4店舗展開することを目標とし、新たに物件を探し始めました。しかし、いい物件を見つけても、入札で大手に負けてしまう……。そんな日々を繰り返していたある日、いもたろうの内装を担当したデザイナーから「現在ベトナムで飲食店舗のデザインをしている」という話を聞き、ベトナム進出に興味を持つようになりました。もともと漠然と40歳になったら海外に進出したいと考えていたのです。
ー ベトナムの話は渡りに船だったということでしょうか?
そうですね。タイミングとしては絶妙でした。すぐに日本人在住者が多いホーチミンへ。実は旅行代理店勤務時代に仕事でホーチミンに行ったことがありましたが、約10年ぶりに訪れたら街並みがあまりにも変わっていたので驚きました!毎月視察に行き、食べ歩いたり、進出している方に話を聞いたりする中で、日本にいるよりもチャンスがあると感じ進出を決意しました。
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