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【シンガポール】シンガポールの労務について(前編)

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 2.シンガポール雇用法における主な内容

①雇用契約

雇用法の適用となる従業員に対しては、雇用契約書の発行義務があります。
雇用法の適用対象とならない従業員に対しては書面または口頭によることができますが、後々のトラブル回避の観点から書面を交付することが一般的です。

 ②労働時間

労働時間に関する規制が適用されるのは、①月収4,500Sドル以下の肉体労働者、②月収2,500Sドル以下のホワイトカラー労働者に限られます。
これに該当しない人に対しては、雇用法の労働時間に関する規制の適用範囲外となっているため、会社に法律上の残業代の支払義務はなく、残業代を支給するかどうかは、雇用契約の内容次第となります。

シンガポールの1日の法定労働時間は8時間まで、週の法定労働時間は44時間までとされています。
連続6時間を超えて仕事する場合には、日本
と同様に必ず休憩時間を付与しなければなりません。
また、週の労働日数が5日の場合には、1日の労働時間を9時間まで延長することができますが、その場合においても週の法定労働時間は44時間とされています。

 ③最低賃金と残業代

最低賃金に関する規定は、清掃、警備、造園に従事する場合を除き、規定がありません。

1日の法定労働時間または週の法定労働時間を超える場合には、割増賃金として、基本賃金の1.5倍の金額を支払う必要があります。
また、月の残業時間は72時間と定められており、従業員にそれ以上働いて
もらう必要がある場合には、適用除外を申請する必要があります。

休日は、少なくとも1週間に1日、法定の休日(Rest Day)を付与しなければなりません。
Rest Dayを日曜日に設定されるケースが多くなっていますが、日曜日以外の曜日に設定することも可能です。
日本と同様に週休2日制をとっている会社が多く、その場合、Rest Day以外の休日については、Off Dayと呼ばれています。

Rest Day、Off Dayのそれぞれの割増賃金は下記になります。

Rest Day・・・通常の2倍の金額

Off Day・・・時間外労働と同様(1.5倍)

 ④年次有給休暇

試用期間か否かを問わず、3か月以上勤務した月収4,500Sドル以下の肉体労働者または月収2,500Sドル以下のホワイトカラー労働者に対して、付与することが義務付けられています。

雇入れの日から起算して12か月以上勤務するごとに7日間を付与し、それ以後は12か月ごとに1日ずつ増加し、最大年14日まで増加するよう規定されています。

 ⑤病気休暇

病気になった際に、病院で診断書をもらい、それを会社に提出することで、有給扱いの休暇が取れる制度です。

試用期間か否かを問わず、3か月以上勤務した雇用法適用対象者に対して、年14日の病気休暇(入院する場合は60日)を付与することが義務付けられています。

 ⑥産前休暇、産後休暇

3か月以上勤務した従業員であり、子供がシンガポールの市民権を持っていること等を条件として16週間付与されることになっています。

第一子、第二子の場合、最初の8週間は企業側が賃金を支給し、残りの8週間は政府からの支給となります。
第三子以降は16週間分全て政府か
らの支給となります。

その他、シングルマザーの場合など様々な規定があります。

 ⑦育児休暇

勤続3ヶ月以上で6日間の有給の育児休暇を付与することが義務付けられています。
子供がシンガポールの市民権を持ち、7歳未満であることが条件となっています。
1日あたり500Sドルを上限として、最初の3日は企業側が賃金を支給し、残りの3日は政府が支給することになっています。
親及び母親のいずれもそれぞれ6日取得することができ、7歳までに合計42日間まで取得できます。
また、年度間の繰越はできません。

 

この記事を書いた人(著者情報)

hiroki_kawai

大学在学中に公認会計士試験に合格し、卒業後は大手監査法人に勤務。
法定監査やIPO支援業務を中心に6年超勤務したのち、自分の好きな「食」をテーマに、事業サイドで活躍できる会計士になりたいと思い、G-FACTORYに入社し、そのままシンガポールに赴任しました。
シンガポールに拠点を置いているので、主にシンガポールの情報を発信したいと思います。

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