コワーキングスペースの人気の高まりには、4つの理由が考えられる。
①不動産賃貸料の高止まり
2013年頃からの経済開放政策で、外資系企業が多数ヤンゴンに進出して経済が活況を呈するに伴い、不動産価格が著しく高騰。2016年頃には落ち着きを取り戻すが、最小限サイズのオフィスをミャンマー人が借りるのであっても、賃貸料だけで月US$150(約1万5,900円)前後はかかる。
②不動産の1年契約
ミャンマーでは不動産物件を借りる際、1年分の家賃を前払いするのが一般的。
そのため、起業に当たってはかなりの初期費用が必要だ。
しかも、開業後に何らかの事情で移動したくなっても、家賃を前払いしてある1年目までは動きにくくなる。
③低い水準のネット環境
速度の速いインターネットを設置しようとすると、初期費用、維持費ともに高額になる。
フリーランスの場合はカフェの利用も可能だが、ネット速度の速いカフェではドリンク一つで何時間も居座る客が多く、1品注文につき1時間といった時間制限を設けているところも多い。
④頻繁な停電
ミャンマー特有の問題が停電。
水力発電の多いミャンマーでは、特に乾季の終わりになると停電が頻繁で、連日2~4時間にわたり電気が停まることもざらだ。
かといって、発電機の設置は初期費用や維持費がばかにならない。
しかし、コワーキングスペースならあらかじめ用意されている。
コワーキングスペースの1ヶ月契約でのレンタル料はUS$100~300(約1万600円~3万1,800円)ぐらいだが、インターネット接続料や停電対策、コピー機に加え、電気代や水道代、清掃代などもろもろを考慮すれば、必要最小限のミニオフィスを借りるよりもお得になることがほとんどだ。
そして何より、コワーキングスペース利用の利点は若い世代の起業家たち、特にIT系起業家と知り合いになれるチャンスが多いという点だ。
実際、利用している若者たちに聞いても、この点を強調する人が多い。
日本人にとっては、小規模事業でミャンマー進出する際のオフィス選びに、コワーキングスペースは一つの選択肢になるだろう。
しかしそれ以上に、この業態がヒットした背景は、ミャンマーにおける事業展開に何らかのヒントを与えてくれるものがありそうだ。
※1アメリカドル=約106円で計算
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