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「ラーメン凪」経営者インタビュー

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この度、オンライン書籍を発売いたしました!
第1弾『海外戦略』に生田社長のインタビューが掲載されています。
新型コロナのパンデミックをどのように乗り超えたのか、ここでしか読めない内容も盛り込んでおりますので、ぜひ、ご一読ください!

©2018 Marc Fiorito - G9 Event Photography

ラーメン業界を志すことになったきっかけ

― たっぷりの煮干しを使って濃厚に仕上げた「煮干しラーメン」が人気の「ラーメン凪」。生田社長がラーメン業界に携わるきっかけとは何だったのでしょうか?
19歳から大手豚骨ラーメンのチェーン店である「一蘭」でアルバイトをしながら、「警察官になりたい」という夢を追いかけていました。残念ながら警察官になれなかったので、アルバイトから正社員になりました。アルバイト店長から始まり関東エリアのマネージャーまで、計10年弱在籍していました。

 

― もともとラーメンに興味があったのですか?
福岡県出身ですので幼少期からラーメンが身近なものではありましたが、特別な興味はありませんでした。どちらかというと、アルバイト店長を務めていた際に店舗収支など、店の経営に携わるようになったことで、「ビジネスを学びたい」と思うようになり、一蘭に入社を決意しました。

 

― ビジネスを学ぶということは、「独立」を視野に入れられていた?
いえ、そうではなく、独立を決意する決定的な出来事が他にありました。
2001年、アメリカで同時多発テロ事件が発生したというニュースを東京の自宅で見ていた時、その衝撃から「いつかその地を訪れて、じかに追悼したい」と思ったのです。翌2002年にはアメリカ・ニューヨーク州のグラウンドゼロを訪れました。そこでさらなる衝撃を受けたのです。前年に大事件が発生したにも関わらず、元気に営業を続けている日系飲食店がたくさんあり、その活気を目の当たりにして刺激を受けました。それが独立を考えるようになったきっかけです。

© 2018 Marc Fiorito // Gamma Nine Photography

 

新宿ゴールデン街の一角、ラーメン凪誕生

― 独立までの道のりを詳しく伺えますか?
2004年、新宿ゴールデン街にある4坪8席という小さなスペースですが、週に1度、火曜のみ借りることができたので出店しました。当時は、提供するラーメンの味が定まっていなかったので、研究する時間が欲しく、ちょうど良かったのです。

 

― オープン当時から煮干しラーメンを提供されていたのでしょうか?
一蘭出身ということもあり、最初は豚骨ラーメンを提供していました。しかし豚骨ラーメンは既にたくさんのライバル店があったので、それらと異なる味を提供しなくてはお客様から支持されません。「味の改良」を最大のテーマに、毎週、味もスープのベースも変えて提供していました。お客様に感想を伺い、それを基に自宅で改良・試作を繰り返すといった日々でした。

 

― 試行錯誤の連続だったということですね。そんな中から、煮干しラーメンにいきついたきっかけとは?
お店のことが口コミで広がりはじめると、営業日・お客様とも増えていきました。そのため、多種類のラーメンを改良する時間がとれなくなり、「1種類のラーメンに絞ろう!」と決意。お客様に好評で、当時、専門店が少なかった煮干しラーメンに移行しました。

© 2018 Marc Fiorito // Gamma Nine Photography

 

時代に合ったSNSの活用で顧客をつかむ

― お店の認知が口コミで広がったとのことですが、他にも集客するための秘策はありましたか?
当時の集客にはmixiを利用していました。共通の趣味を持つ人同士でコミュニティを作れる機能があるのですが、「ラーメン好きコミュニティ」で毎週情報を発信していたのです。それを見てご来店いただいたお客様がSNS上に口コミを投稿してくださり、その口コミをご覧になったお客様がご来店してくださる、という良い流れが生まれ、行列ができるようになりました。

すごい煮干しラーメン(イメージ)
すごい煮干しラーメン

 

― 当時からSNSを利用してPRされていたのですね。
当社では、PRのみでなくラーメンの改良の際にもSNS上の口コミを活用しています。ラーメンの味が定まっていなかったオープン当時は、食べに来てくれたお客様のブログを拝見することもありました。お店では「おいしい」とおっしゃってくれていましたが、ブログでは異なる「本音」を綴っていることが頻繁にあったからです。ラーメンの写真を見れば、どのような味やトッピングだったかを判別できたので、ブログ記事を参考に改良のヒントを得ていました。

 

― ひと言でSNSといっても、そのような活用法があったとは…!
最近ではラーメン凪のLINE公式アカウントを始めました。
LINE公式アカウントではお客様に質問を投げかけて返答をいただくという、手軽なコミュニケーションツールとしてご意見をいただいています。
Facebookも利用していて、常連様はもちろん、海外の方から英語でメッセージをいただくこともあり、大変面白いです。
今でもSNSでのお客様との交流は大切にしています。

LINE
ラーメン凪のLINE公式アカウント

 

国内で店舗展開をしつつ、いち早く海外進出へ

― 2004年に起業し、5年後には香港に初の海外出店をなさっています。
独立のきっかけがニューヨークの日系飲食店だったので、創業当時から「海外へは、いつか出店する」と決めていました。ゴールデン街の店舗で営業をしながら海外出店の機会を探していたところ、「香港からのお客様で当店に興味のある方がいらっしゃる」と、当時ラーメン凪のスタッフであった牟田さん(※)が紹介してくれ、香港にて海外初出店を果たしました。

※現在は国分寺(東京都国分寺市)で人気ラーメン店「ムタヒロ」を経営されている、株式会社GREATSMILEの牟田社長のこと。以前、当サイトでインタビューをさせていただいております。
インタビュー記事はこちら「ムタヒロ」経営者インタビュー

 

― 初めての海外出店はいかがでしたか?
パートナー様とうまくいかず、結果的に「失敗」という形で終わってしまいました。原因としては、「コミュニケーション」「パートナー様に利益がでるスキーム」の2点が十分ではなかったためと考えます。

 

― 現在は、どのような形態で海外出店されているのですか?
「味」をチェックする仕組みを作り、海外担当が常に海外店舗を回ることで味の管理を徹底しています。しかし、その他の部分に関しては、基本的にパートナー様にお任せしています。
初出店の国には、最低半年は本社の海外担当を派遣し、「日本と同じ味の共有」「しっかりとしたオペレーション」を徹底しています。
また、香港の失敗からパートナー様は「利益が残れば本腰を入れて取り組んでくださる」ということを学びましたので、お客様に愛される店舗作りをパートナー様とともに行っています。

 

Valley Fair店 外観(アメリカ合衆国・カリフォルニア州)
Valley Fair店(アメリカ・カリフォルニア州) 外観

 

― 海外出店を検討中のオーナー様に向けてアドバイスをお願いします!
「パートナー様」「通訳」の2点はポイントだと感じました。
パートナー様に関しては「オファー」をいただけるとスムーズです。オファーをいただけば、パートナー様を探すことに人員を割かず、当社が得意とする商品開発とブラッシュアップに専念でき、「ラーメン凪」の魅力・価値を高めることに注力できます。

通訳はコストをケチらないこと(笑)!
お互いに英語を話せれば通訳は不要ですが、そうでない場合、パートナー様側が用意された通訳がいると思います。しかし、自社側でも通訳を用意することが大切です。
通訳によっては、コストを抑えたいなどのこちら側の希望を含めてパートナー様に伝えてしまうことがありますが、そこはビジネスですのできっちりと話し合いで決めたことだけを訳してくれる人に依頼しましょう。初期コストは掛かってしまいますが、後々もめごとが発生しないための必要コストと言えます。

 

今後の計画、「ラーメン凪」の夢とは

― 現在決定している出店計画、今後の展望について教えてください。
国内は、現在4店舗がオープン待ちを控えており、人材などのさまざまな兼ね合いをみつつ、随時開店させる予定です。当社では特に東京での展開を積極的に進めています。
海外は12年からライセンスでの展開を始め、年に平均5店舗出店をしています。近年はさらに加速しているので、2~3年以内にカナダ、マレーシア、オーストラリアへの進出、シンガポールの増店を予定しています。

© 2018 Marc Fiorito // Gamma Nine Photography

 

― フィリピンでは新業態もオープンされたのだとか……。
「Wonder Bowl by Ramen Nagi」というアッパー層向けの新業態を立ち上げました。
少々高級ラーメンですので、普段ラーメンを召し上がらない高級志向なお客様を取り入れて顧客層拡大を狙っています。まだまだ改善が必要ですが、1店舗1店舗着実に増やしていきたいです。

 

― 最後に、ずばり!「ラーメン凪」の夢とは?
いち早く海外に出店し、起源である中国やそれ以外の国の麺を勉強することによって、日本の麺の奥深さを再認識しました。そして、世界に日本の麺を発信していきたいという思いが強くなりました。
僕らの資産は、常にラーメンの価値の深掘りを行い、社員と共有していることです。お客様には、味でそれを理解していただくようにしています。資産を維持できるようひたむきに挑戦することで、当社のテーマである「麺を通じて世界をつなぐ」を実現できるように邁進していきます。

© 2018 Marc Fiorito // Gamma Nine Photography

この記事を書いた人(著者情報)

rin

教えてASEAN編集部として日々経営者の方にインタビューさせていただいております!

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