ー 「人と人との繋がりを生む空間の創造」をコンセプトに多数のイベントを開催し、日本人とローカルの交流の場となっているバー「Event Space 4U」。オーナーの稲葉氏がバーをオープンしたきっかけとは?
経営や起業に興味がある人向けのコミュニティが運営するバーを、大学3年生だった2014年に引き継ぎ、同時に起業したのがきっかけです。同コミュニティには大学1年生の時に参加するようになったのですが、私が入会した時にはすでにバーを運営していました。コミュニティ主催で頻繁にイベントを行っていて、そのたびにバーを貸し切っていたため、いっそのこと自分たちで開業しようとなったようです。コストを抑えられる上に経営の勉強になることも理由でした。
ー もともと経営や起業に興味があったのですか?
地元の福岡県で父親が老人ホームを経営していることから、福祉・介護業で起業したいと思っていました。その資金づくりを兼ねて、バーの買い取り、法人設立を決断しました。また、子どものころは父親の仕事の関係でフィリピンに在住し、学生時代はアメリカに留学経験があり、当時から国内ではなく海外、特に東南アジアで事業を設立したいと思っていました。
ベトナムから帰国した友人に相談し、現地の実情などを聞いたのですが、他の国も体感してみようと東南アジアを1周。タイに進出することを決断しました。
ー どうしてタイを選ばれたのですか?
在留邦人数が東南アジアで最も多いこと、GDP成長率が高かったことから、タイ進出を決断しました。現地を訪れた際に、国民性など日本と感覚が近い部分があるのではないかと肌で感じたことも理由の1つです。進出を決めてからは日系のバー事情や物件情報を収集するために、毎週末タイに行き日本人経営のバーを飲み歩いていました。
ー しっかり情報を収集されているので、準備は万端だったのでしょうか?
いえ、そんなことはありませんでした。タイには不動産業を営むためのライセンスがなく、物件情報がまとまっているサイトなどがありません。物件オーナーは知り合いづてやSNSなどで情報を発信し、借り手を見つけているのです。日本とはまったく異なるので戸惑いました。しかし、とある日系バーに行った時に上階のテナントが閉店したという話を仕入れ、その物件で決断。2018年4月にタイ・バンコクにバー「Event Space 4U」をオープンしました。
ー 初めての海外での出店はいかがでしたか?
分からないことばかりでした。特にタイ人の仕事に対する考え方、優先順位の違いに慣れるまで時間が掛かりました。タイ人と日本人は感覚が似ていると思っていたのですが、実際は全然違いましたね。タイ人は「大丈夫」「何でもない」を意味する「マイペンライ」という言葉をよく口にするのですが、まったく大丈夫ではないときもあります(笑)。明るくて素直なタイ人だからこその言葉なのですが、特に仕事においては詳細をこちらから聞くことが必要です。お客様としてはフレンドリーなので、当店のコンセプトにぴったりです。
ー ということは、お客様はタイ人の方が多いのでしょうか?
出店当初は在留邦人をターゲットにしていたので、ほとんどが日本人でした。ですが、せっかく海外進出をしているのだから、ローカルの方にもご来店いただきたいと思い、タイの大学に留学している日本人の友人にタイ人を紹介していただきました。それからは徐々に口コミが広がり、半年ほど前からはローカルの方にもご来店いただけるようになりました。私自身がある程度タイ語を話せるようになったことも大きいかもしれません。
ー タイ語を話せるようになったことで、より「つながり」が広がったのですね!
そうですね。現在では、店舗が日本人とローカルとの交流の場にもなっています。その輪をさらに広げていこうと、大阪で運営しているグループ店舗のお客様にタイを案内してローカルの方と当店で交流いただくツアーを計画していたのですが、新型コロナウイルスの影響で一旦中止となってしまいました。
メインメニュー
教えてASEANコラム
お問い合わせ
人気記事ランキング
新着記事
国別で記事を探す
おすすめキーワードで記事を探す
ライター紹介