このような過去の出来事や今後の米中対立の行方を客観的に考慮すれば、対中依存が強い日系企業、そして今後中国に進出しようとする企業にとっては大きな懸念があることは間違いありません。
そして、現在、専門家の間では対中依存を減らし、その分をASEANへシフトさせるべきではとの意見が上がっています。
特に、期待されるのがベトナムです。
ベトナムはコロナ禍である2020年の経済成長率が2.9%(出典:ベトナム統計総局)とASEAN主要国の中で唯一プラス成長を維持しました。
インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイなどはマイナス成長となっています。
ベトナムが唯一プラス成長を実現できた背景には、新型コロナウイルスの流行を抑えるために早期発見と早期隔離を徹底したことがあげられます。
ベトナム政府は国内で感染が確認されると、特定エリアの一斉封鎖、全国の学校の休校措置、イベント開催禁止、マスク未着用者の商業施設への立ち入り制限などを次々に実施し、新型コロナ感染拡大の防止に成功しました。
政治的には、ベトナムは南シナ海の領有権問題で中国と強く対立しており、時折反中デモも発生するなど中国への警戒意識が強いです。
中国への警戒心はベトナムも日本も共有しています。
さらに、中国とベトナムの貿易摩擦などの影響からも、今後日本にとってベトナムはさらなる市場になることが期待されます。
また、米中対立という視点からは、日本にとってインドネシア、マレーシア、シンガポール、フィリピンが引き続き重要な市場であり続けるでしょう。
それは、インドネシア、マレーシア、フィリピンもベトナム同様に南シナ海問題で中国へ懸念を抱いており、中国からのシフトとして重要な選択肢となり得るからです。
一方、ラオスやカンボジア、ミャンマーなどは中国の影響力が非常に強いことから、米中対立の中では日本にとって魅力的な市場ではないかもしれません。
近年、ミャンマーに進出する日系企業の数は増加していましたが、昨今のクーデターは大きな転機となるかも知れません。
中国は依然として沈黙を続けていて、国軍とも密接な関係にあります。
米中対立の中では、政治的な動きがどう経済に影響するかを注視していくことが極めて重要になります。
※1豪ドル=約84.55円で換算
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