2021年が終わろうとしています。
ASEANは近年高い経済成長率を示し、日本や中国、米国だけでなく、英国やフランス、ドイツなど欧州先進国もASEANへの関心や関与を強めています。
その姿勢は、欧州先進国がインド太平洋を重視してきていることからも明らかであり、ASEANは正にインド太平洋の中心にあります。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大は相互依存が進む国際経済を停滞させ、ヒト、カネ、モノの動きを鈍らせました。
ASEANは今夏、新型コロナウイルスが猛威を振るい、経済成長率が見込まれる重要な時を奪われる結果となりました。
主要国の注目が集まる分、ASEAN各国の多くにとって落胆が大きかった年だったと言えるでしょう。
そのような中、ASEANに展開する日本企業にとって、今年はどんな年であったのでしょうか。
業種や進出先などによって評価は大きく異なると思われますが、一般的には以下のようなことが大きな出来事だったと言えるでしょう。
まず、今年2月のミャンマークーデターです。
クーデターが勃発すると政治情勢が一転し、情勢が一気に不安定化することが少なくありませんが、まさに日本企業はそれに直面しました。
近年、ミャンマーは経済のフロンティアとして外国企業の注目を集め、進出する日本企業も増加の一途をたどっています。
そのような中、突然のクーデターにより各地で国軍と市民が衝突し犠牲者が相次ぐだけでなく、外出禁止の発令や突然の物価高騰など日常生活への影響も出たため、ミャンマーから駐在員を退避させる動きが加速化しました。
中には、退避をうまく進められない企業もあり、いかに駐在員の安全・保護を徹底するかという課題が改めて浮き彫りとなりました。
また、今夏のASEANにおける新型コロナウイルスの流行による各国の被害は、これまでにない規模となりました。
在留邦人も影響を受けており、被害が最も深刻となったインドネシアでは21人、タイでは6人が犠牲になったと通信社などによって報じられています。
インドネシア他、ASEAN諸国では外出規制などロックダウンが強化され、事実上帰国できない状況となり、中には犠牲者の家族と企業との間で「もう少し早く帰国できなかったのか」と論争になっているケースも実際聞かれます。
クーデターと新型コロナで事象は異なりますが、ASEANに展開する日本企業にとっては、駐在員の安全・保護を今後どう強化するかを考えらせられる大きな事象が2つ生じる結果となりました。
一方、もう1つ忘れてはならないのが、冒頭部分の詳細になりますが、新型コロナによる経済成長の失速、経済格差の拡大です。
ASEAN各国によって状況は異なると思いますが、多くの国で経済成長の失速、経済格差の拡大が生じたと考えられます。
これまでの経済成長により、賃金上昇の恩恵から中間層扱いを受けてきた市民の中には、突然経済的な勢いを奪われたと感じる市民も少なくありません。
来年以降は、いかに経済成長を取り戻せるかが大きなポイントとなります。
各国政府とも経済成長を最重要視しており、それができなければ市民からの不信感を集め、政権の弱体化に繋がると懸念している国も少なくないでしょう。
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