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【ベトナム】ハノイ初の日本人経営ミックスバー「Bar でこぼこ」がオープン

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2022年3月にオープンした「Bar でこぼこ(以下、でこぼこ)」は、ハノイ初の日本人経営ミックスバーです。
「ミックスバー」とはLGBTQ(※1)やSOGI(※2)など、さまざまなセクシュアリティのスタッフが在籍しているバーのことで、お客様もセクシュアルマイノリティはもちろん、男性・女性問わず誰でも入店することができ、近年日本でも話題となっています。

場所はハノイ市内でも日系の飲食店やスーパー、ホテルなどが建ち並ぶリンラン(Linh Lang)エリアです。
FtM(※3)の店長が出迎えてくれ、女性1人からグループまでゆっくり楽しめるバーです。
今回は「でこぼこ」の店長、YUTOさんにお話を伺いました!

※1:LGBTQとは、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーと一般的にセクシュアルマイノリティと呼ばれる人の総称と、「異性を好きになる」以前に「他者に対して性的欲求を伴った恋愛感情を抱くか」が関わってくる性的マイノリティを総称する「クィア」の頭文字をとった言葉。

※2:Sexual Orientation and Gender Identityの頭文字。セクシュアルマイノリティの人のみならず、SO=性的指向、GI=性自認、それぞれの英訳のアルファベットの頭文字を取った、「人の属性を表す略称」。 異性愛の人なども含め、全ての人が持っている属性のことを指す。
※3:Female to Maleの略で、心の性別が男性、身体の性別が女性として出生し、女性から男性へ性別移行を望む方を表す総称。心と身体の性別に違和感がある「トランスジェンダー」に属する。

日本では歌舞伎町(東京都新宿区)や関内(神奈川県横浜市中区)で就労していた経験を持つFtMの店長YUTOさん



記者:ベトナムに来るまでの簡単な経歴を教えてください。
YUTO氏:学生時代からプロダブルダッチプレイヤー(※4)をしながら、20歳の時に高田馬場でバーテンダーデビューしました。
3年間バーテンダーに従事した後、プロダブルダッチプレイヤーを引退。
歌舞伎町(東京都新宿区)のミックスバー(LGBT所属)で働き始めました。

その後は、わりと転々としていて、歌舞伎町のミックスバーの系列店としてオープンしたおなべのショーパブで主任、3年後には神奈川県にある高級ラウンジのボーイ、同ラウンジと同じ会社が運営するガールズバーの店長に従事しましたが、刺激のない毎日から2年で卒業。
次に働いたのが、神奈川県にあるおかまとおなべのショーパブで、この時の経験が今の原点になっています。
実は、店名の「でこぼこ」はこのお店の名前をいただいているのです。

※4:2本の縄を使って跳ぶ縄跳び。向かい合ったターナーと呼ばれる2人の回し手が2本の縄を内側に回し、その中でジャンパーが技を交えながら跳ぶ。

お酒の種類が豊富

記者:ベトナムへ来たきっかけを伺えますか?
YUTO氏:小さいころから海外旅行が大好きで、大人になってからも海外ボランティア(スポーツ指導)に参加したり、休みがあるたびに海外へ行ったり。
言葉が通じず、日本での「当たり前」が、まったく通用しない環境に毎回刺激を受けていました。
日本での仕事で数多くのお客様とお話させていただいているうちに、自分の視野の狭さや「慣れ」への甘えに気付き、自分を厳しい環境におくべく「海外へ行きたい!」と思うようになりました。
そこで、海外就職サイトから現在の店舗のオーナーに連絡し、新型コロナが流行する前に1ヶ月間ベトナムを視察。
現在の店舗で店長をすることが決まりました。

記者:渡越に当たり、準備したことはありますか?
YUTO氏:結婚しました。
海外に行くことが決まったので、当時付き合っていて現在は妻の華子に「海外に行くから別れましょう」と言うと、「私も行く」という予想外の答えが返ってきて「なら、結婚しよう」となり、一気に事を進めました。

華子と出会ったのは、神奈川県のガールズバーで店長をしていた時です。
スタッフとして雇うも、最初は「The ダサい!」といった感じで、この子をどう扱うかめちゃくちゃ悩みました。
一緒に働くに当たって、いい子であることは分かったけれども、正直恋愛対象ではまったくありませんでした。

ですが、休日は一緒に飲みに行くなど、僕がガールズバーを退職した後も、なんだかんだ共に過ごす時間が多く、気付けば「付き合ってる?」という感じになっていました。

性別・国籍関係なく楽しめるお店。後列左がYUTOさん

記者:この立地を選んだ理由は何ですか?
YUTO氏:過去にあったガールズバーを引き継いだ形なので、選択肢はなかったというのが正直なところです。
今の立地は繁華街から少し離れているため、「この先にお店があるの!?」と思われてしまうことが多いです。
「別の立地の方がいいのでは?」と感じるため、いつか移転したいですね。

記者:なぜ、ミックスバーをオープンすることにしたのでしょうか?
YUTO氏:ハノイにセクシャルの自由がないように感じたことがきっかけです。
そのため、スタッフの採用基準は「とにかく自由」がコンセプトです。
今後、もっと多様な性別や国籍にしていきたいと思っています。

記者:お店の特徴について教えてください。
YUTO氏:内装に関しては、とにかく清潔感のあるお店にという気持ちで、約1ヶ月かけて修繕・掃除を奥さんと2人で行いました。
新型コロナウイルスの規制などで営業できていなかったことから、廃墟状態になっていたので大変でした。

もともとサーフ系がコンセプトのお店だったのですが、僕自身、サーフィンやスケボーなど横乗りスポーツが好きなので、内装はそこまで変化させていません。
今後は、もっと店内を趣味で埋め尽くして、ストリートスポーツ系の雰囲気にしていきたいですね。

元々のサーフ系というコンセプトを活かした内装

記者:営業時間を教えてください。
YUTO氏:月~土曜は20:00~25:00、日曜定休です。

記者:お店のシステムを教えてください。
YUTO氏:20時~24時(一律)のセット料金が男性30万ドン(約1,650円)、女性20万ドン(約1,100円)で、24時以降は30分10万ドン(約550円)です。
ボトル制・ショット制があります。
60万ドン(約3,300円)くらいでさくっと帰る方もいますが、平均単価は100万ドン(約5,500円)くらいですね。

記者:客層はどのような割合ですか?
YUTO氏:日本人7割、ベトナム人3割、男性6割、女性4割です。

記者:ベトナムに来て大変だったことは何ですか?
YUTO氏:2021年の6月末にホーチミンに渡越したため、ホテル隔離・自宅隔離・都市隔離と4ヶ月間の隔離生活を経験したことが一番大変でした。

規制が厳しい頃の入国になってしまったため、ホーチミンに到着後のホテル隔離期間が21日間だったのです。
週に1回のPCR検査の時は消毒をしながら1Fへの移動が許されていましたが、それ以外では部屋から1歩も出られず、扉を開けることも禁止でした。

記者:自宅隔離は、どのような理由から行うことになったのでしょうか?
YUTO氏:実は、ホテル隔離20日目に新型コロナに罹患(りかん)してしまい、隔離期間が1週間延長になってしまったのです。
その後は自宅で2週間外出禁止になりました。
建物内は移動できたのですが、誰かと接触することは禁止でした。

やっと自宅隔離が終わり自由に外出できると思ったら、都市封鎖に……。
最初は、1週間に2回ほど買い物のための外出が許可されていたので、専用のチケットを利用して近くの小さなスーパーに行っていました。
それ以外の外出はもちろん禁止です。
通行許可を持った宅配ドライバーだけが封鎖区間外から封鎖区間内へ荷物を届けることが可能でしたが、ドライバーもパンク状態でほとんど宅配をお願いすることはできませんでした。
その後、新型コロナ蔓延に伴い、規制がより厳しいものに……。
家の前にゴミを置くことはギリギリOKでしたが、ゴミ捨て場に行くこともできず、一時は自宅から3m出ただけで罰金を取られるといった状態になりました。

こんなに長くホーチミンにいる予定ではなかったので、「でこぼこ」の前に営業していたガールズバーの姉妹店の寮を1室お借りして生活していました。

記者:店舗がハノイにあるのに、なぜホーチミンに入国したのでしょうか?
YUTO氏:現地の事情を学ぶために、姉妹店のガールズバーを「見てみたい!」「勉強したい!」「お話を聞いてみたい」と思ったからです。
ハノイが新型コロナの規制で、まったく機能していなかったという事情もあります。

記者:ベトナムに来て苦労したことはありますか?
YUTO氏:ベトナム人スタッフに、どのように指示を出すかが一番悩みました。
言葉のニュアンスというものが、なかなか伝わらないのです。
昨日言ったことがきちんと伝わっておらず、同じミスが起きてしまう……そんな毎日でした。
今も試行錯誤していますが、みんな一生懸命理解しようとしてくれ、分からないときはきちんと聞き返してくれるようになったので、共に成長中という感じです。

記者:プライベートではいかがですか?
YUTO氏:FtMがいないことですね!!
本当はたくさんいると思うのですが、閉鎖的な子が多いのかもしれません。
日本では約10年間ホルモン治療をしていたのですが、ベトナムではホルモン療法をしているFtMがいないようで情報がまったく入りませんでした。
約6ヶ月治療ができなかったため、生理がきたり、体型が女性化したり、情緒不安定になったりして大変でした。

新型コロナの感染拡大が少し落ち着いたタイミングで、日系の病院に行きホルモン注射を打ったのですが、日本のような少量のものは存在せず、かなり多い量を1回で接種しました。
打った直後は動くことすらままならず……死ぬかと思いました。
自分で決めたことなので文句は言えませんが、ホルモン療法を行っている病院が少ないので日本より高額でもやむを得ない状況です……。

記者:今後のビジョンを教えてください。
YUTO氏:まずはお客様・スタッフ共に笑顔溢れるお店作りです!LGBTQのスタッフが自分らしく働けるような、お客様も国籍や性別、年齢問わず気軽に遊びに来れるようなお店にしたいです!
そしてゆくゆくは、LGBTQをメインとしたショーパブをオープンできればと思っています。

記者:ありがとうございました。

階段を上った2階が「でこぼこ」

■Bar でこぼこ
住所:438 Đội Cấn, Cống Vị, Ba Đình, Hà Nội
電話:+84 373 246 782
営業時間:20:00~25:00
定休日:日曜
Facebook:https://www.facebook.com/dekoboko.vietnam

※1ベトナムドン=0.0055円にて換算


この記事を書いた人(著者情報)

寺内真実

1年ホーチミン、8年以上ダナン在住。
中央大学卒業後は金融系(FP2級)、医療系の会社に勤務。
「暑い国に住みたい」と勢いで渡越し、現地の日系旅行会社を経て、現在は現地サービス業とライター業をしている。
写真は生後1週間で保護した愛猫“大福”と。
著書▼
「癒しのビーチと古都散歩ダナン&ホイアンへ」イカロス出版
※電子版はこちら
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