大食いの味方『CoCo壱番屋』。
1kgを越える量のカレーライスもさることながら、そのトッピングの多彩さも人気を集めているチェーン店である。
そんなCoCo壱番屋は、インドネシアにも進出している。
だが、同じCoCo壱番屋でも日本とインドネシアとではその趣きに差異があるようだ。
インドネシアの飲食業界を語る上でまず重要なのは、この国は日本以上に明確な経済階層が存在するということだ。
近年の経済成長で中間層が増えたというのも事実ではあるが、それでも国民の大多数を占めるワーキングクラスの日常は低価格の屋台から始まる。
ジャカルタ最大のショッピングモール『グランド・インドネシア』の周辺にも、現地労働者向けの屋台が数多く並んでいる。
ここでは日本円で200円も出せば十分な量の食事にありつくことができる。
一方、グランド・インドネシアの3A階にある飲食店コーナーは、どちらかといえばホワイトカラー向けだ。
ブルーカラーを寄せ付けない、という意味ではない。
日本の尺度で言うならば、毎日の昼食に1000円出せるか否かという問題と言えよう。
1000円の昼食は日曜日のデートにはいいかもしれないが、毎日となると大変。
グランド・インドネシア3A階にはCoCo壱番屋も入居しているが、その立ち位置はやはり「高めのランチ」といったところだ。
インドネシアのCoCo壱番屋のメニューは、日本のそれと遜色ない。
やはり、多彩なトッピングの組み合わせを売りにしているようだ。
値段を見てみよう。
納豆カレーは6万ルピア(約500円)で、それに1万8000ルピア(約150円)のチーズを付け加えたとする。
筆者の身体は一般男性よりも大きいはずだから、ライスの量は450gにしてみよう。
すると2万ルピア(約168円)が加算され、合計は9万8000ルピア(約822円)だ。
ちなみに、ライスの量はここでは550gまでである。
日本の店舗のように、腹を空かせた作業着の諸兄が正午過ぎにやって来るということはない。
もし日本と同じ感覚で「1kgでお願い」と頼んだら、店員に驚かれてしまうだろう。
そもそも、グランド・インドネシア自体がハイクラスのショッピングモールである。
入居している店舗は、いずれも国際的知名度を持つブランドばかりだ。
従って、店内を見渡してもメイドを引き連れた富裕層のファミリー客が目立つ。
そして付け加えるならば、現地市民にとって「カレーライス」とは紛れもなく和食である。
粘性のあるジャポニカ種の米に合わせ、とろみのあるルーを一番最初に開発したのは日本人だ。
インドのカレーはもっと水っぽく、それをナンにつけて食べるのが普通である。
しかも「カレー」とは、インドでは煮込み料理の総称であって特定のメニューを指す単語ではない。
だからこそ、我々日本人にとっては庶民的なイメージのメニューも、インドネシアではある種のブランド価値を有しているのだ。
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