ー 「一串入魂」をコンセプトに、ジューシーに焼き上げた焼鳥が大人気の「ごう」。時吉社長が飲食業界に入られた経緯を教えてください。
大学を卒業してから、父の誘いで家業の板金工場で働くことになりました。初めはやる気がなかったけれど、ある時から心を入れ替えたことで職人からの信頼を得られるようになりました。その瞬間、幼少期に思い描いていた「板前になりたい」という気持ちが込み上げてきたのです。しかし、20代後半だったこともあり、板前修業をするには遅いため、飲食店を経営しようと思いました。
ー 心を入れ替えたきっかけとは?
ある日たまたま父の「年商〇億円になりたい」という呟きを聞いて以降、漠然と働いていた私に目標ができたのです。私は学生時代から体育会系の部活に所属していたこともあり、目標があるとやり遂げたくなるタイプ。にわかにやる気を出し、熱心に仕事に取り組むようになりました。そんな私に対して職人は冷ややかな態度でしたが、気にも留めず、工場に寝泊まりして睡眠時間を削りながら働くという生活を丸3年間送っていました。するとある日、「仕事が楽になった」と感じたのです。いつの間にか非協力的だった職人達が、手伝ってくれるようになっていたのです。この経験で困難を乗り越えた感覚があり、ふと昔にやりたかったことを思い出したのです。
ー 仕事が楽になったのであれば、続けるという選択をしそうですが。
もちろん、考えました。ですが、自分の想像よりも板前になりたいという気持ちは強かったです。前述した通り年齢的な面などから板前は断念しましたが、飲食店の経営ならできるのではないかと考えました。飲食店は料理の作り手と提供する人が同じという「究極の製造直販業」ですよね。他にない面白い職種なので、非常にやりがいを感じられる仕事だと思ったのです。そんなことを考えるようになった頃、板金工場に来ていた営業マンが、飲食店経営者を紹介してくれたことがきっかけで具体化していきました。
ー そこから初出店へとつながるのですね。
私は高校時代に、少し飲食店でアルバイトをしたことがありますが、その程度。出店時点でも飲食店で働いた経験は、ほぼないに等しい状態でした。焼鳥店で働いた経験のある人との出会いがなければ、1店舗目を無事にオープンすることはできなかったかもしれません。
ですので、店舗運営に関しては現場のスタッフに任せるようにしています。その代わり、「お客様目線のプロ」でいることを心掛けています。
ー なぜ、お客様目線のプロでいようと思われたのですか?
現場スタッフは日々の業務に追われ、店舗運営に関して客観的に物事を判断することができなくなってしまいます。お客様に満足していただける店舗であり続けるためには、私が「お客様目線のプロ」でいることが必要だと考えました。
「経営」においては、ピラミッドの頂点から社長、正社員、パート・アルバイトという形が適切だとされていますが、「運営」においては、逆三角形が良いと考えています。現場ではパート・アルバイトが主役で、社長はスタッフが働きやすいように、バランスを取る立ち位置にいることがベストだと感じています。
メインメニュー
教えてASEANコラム
お問い合わせ
人気記事ランキング
新着記事
国別で記事を探す
おすすめキーワードで記事を探す
ライター紹介