終着までの全線開通の具体的な目途は立っていないが、タイ政府は高速鉄道基本計画の次期優先区間としてピサヌローク以北を計上する。現在、環境アセスメントを進めており、終了次第、工程を発表する考えだ。同以北の事業費は2500億バーツ程度を見込む。
チェンマイ県には日本の総領事館が置かれ、同県だけでも4000人近くの日本人が暮らす。その多くが老後を暖かい南の地で暮らそうという高齢者で、長期滞在者が多い。家計も比較的豊か。さらに新幹線が開通すれば、空と陸との移動手段が選べることになり価格の抑制にも期待が持てるほか、人の移動にも弾みがつく。タイの日系事業者の中には、全線開通後の高齢者サービスに商機を見込む者もいる。
タイの高速鉄道計画をめぐっては、チェンマイ線のほか、バンコクと東部ラヨーンとを結ぶ東部経済回廊(EEC)線と、中国政府の支援を受けて進めているバンコク~東北部ノーンカーイ線の2つがある。EEC線については産業の高度化政策とともに優先的に事業費が配分されることになっているが、ノーンカーイ線については財源の問題から現在、事実上の暗礁に乗り上げている状態だ。
それだけに、チェンマイ区間にかける政府の意気込みは強い。日本政府も全面的に協力する考えで今後の推移を見守る。東南アジア初の日本新幹線の誕生、さらには新たなビジネスの登場となるか。関心は絶えない。
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