シンガポールは特徴的な建物が多いが、その中でも中心部でひときわ目をひくのがこちらMRT(地下鉄)のTanjong Pagar駅とOutram Park駅の中間にある「The Pinnacle@Duxton」。
一見民間の巨大コンドミニアムのように思えるが、実はこれもシンガポールの公営住宅で住宅開発局(Housing & Development Board)によるHDB住宅と呼ばれるもの。
2009年に竣工した「The Pinnacle@Duxton」は50階建てと超高層で世界でもっとも高い公共住宅。
7棟がつらなり総戸数は約1843戸。
基本的に3LDKで約90平米、バスタブはなくシャワーのみというつくり。
すでに築9年と決して新しくないが、高級HDBとされており、今でも賃貸市場で高く取引されている。
(2018年4月現在での賃貸価格は月3,500SGD)
Propety Guru
この建設プロジェクトのデザインには世界中から202件の応募があり、最終的にはシンガポールの建築デザイン会社ARC Studio Architecture + Urbanism と RSP Architects, Planners & Engineers (Pte) Ltdの2社が勝ち取ることになった。
このときのデザインは、「空中住宅、空飛ぶグリーン」がコンセプトで、コストを抑えながら洗練されたソリューションを提供するものだそう。
「The Pinnacle@Duxton」のデザインがあまりにも先鋭的であったため、民間の建築デザイン会社からはデザインの基準があがりすぎて困るとされたほど。
コンペ時のデザインと実際に建てられたものは若干異なるが、高く評価され「2010 Best Tall Building Asia and Australasia」、「President’s Design Award For Design of the Year 2010」、「2011 Urban Land Institute’s Global Awards of Excellence」などいくつもの賞を受賞。
一番の特長は世界最長といわれるスカイブリッジと呼ばれる空中庭園(スカイガーデン)で、約500メートルにおよぶ。
26階部分と50階部分にあり、災害時に罹災した棟から別の棟へ避難する経由としてはもちろん、日常では住民の憩いの場としても使われている。
こういったスカイガーデンのある住宅は、住宅開発局による時代にあったデザイン性がありながら環境への配慮をした住宅を導入するという方針の一環で建てられたもので、2009年にできたこの「The Pinnacle@Duxton」だけでなく、2015年にできた「SkyVille@Dawson」や「SkyTerrace@Dawson」も同様のコンセプトの空中庭園が設けられている。
Skyville@Dawson
SkyTerrace@Dawson
どれも公営住宅とは思えないデザインで建築雑誌やインテリア雑誌、メディアなどへ多数登場している。
今回は「ThePinnacle@Duxton」に住んでいるシンガポーリアンの友人に50階にある空中庭園、スカイブリッジを案内してもらった。
専用のエレベーターでスカイブリッジ(ルーフトップと呼んでいる)へ上がり、カードキーで入場。
実は、こちらは一般公開されており、住民以外も入ることができる。
朝の9時から22時まで開放されており、入場料は5SGD。
入場料の支払いはez‐Linkのみなので注意が必要。
友人によると、26階はどちらかいうとエクササイズする人向けで、50階は景色を楽しむところとのこと。
確かに下を見るとランニングをしている人もちらほら。
ルーフトップはひとつの巨大なデッキとなっていてところどころにオブジェやベンチなどが置かれている。
ちょうど夕暮れ時だったので夕日をバックに撮影する人も。
地上156メートルという高さのルーフトップは風が少し強いが見晴らしもよく、なによりも広くて開放感がある。
その景色はマリーナベイサンズに引けをとらないと筆者は思っており、遊びに来るたびにこのルーフトップに連れてきてもらっている。
住んでいる友人は「あなたと一緒の時くらいしか来ないのよね」と笑っていた。
のんびりと景色を楽しみながら仕事をしたり、物思いにふけるのもよさそうだが、日中は非常に暑いのだそう。
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