「ザゴー」はザルを、「タミン」はご飯を意味するビルマ語だ。
つまり「ザゴータミン」とはザルご飯のこと。
ザルにバナナやウコンなどの幅広の葉を敷き、その上に数人分のご飯や惣菜を盛り付けた、いわば盛り付けの方法を指す。
2016年くらいからヤンゴンで徐々に目に付きだし、2017年には大ヒット。
2019年には、すでに定着するに至っている。
ヤンゴンのレストランが、ザゴータミンスタイルで料理を出し始めたのは少数民族料理店だった。
私が最初に目に留めたのは2015年、今はもうないチン族料理店においてだった。
しかしヤンゴンの若者たちに聞くと、発祥はカチン料理店だと言う。
2016年頃から急速に増えたカチン料理店がメニューに加え始め、それに他の少数民族料理店が追随。
さらには郷土料理店へと、この盛り付けスタイルが広まっていったと考えられる。
現在では、「ザル+葉っぱ+複数人で共食=田舎の食事=ザゴータミン」という認識がヤンゴンでは広がっているようだ。
ザゴータミンの普及は、SNSの流行と切っても切れない。
2014年に携帯事業が外資に開放されるまでスマホと無縁だったミャンマー人だが、外資の流入で手に入れられる価格帯になるや否や、人々はFacebookやインスタグラムへ急速な勢いで傾倒していき、インスタ映えブームが全土に広がった。
少数民族料理店自体、こうしたインスタ映えブームにのって発展していったのだが、ザゴータミンスタイルでの料理の演出がうまくはまったのだろう。
現在ではビルマ料理を出す定食屋でも、この盛り付けで提供する店が出てきている。
ヤンゴンでは、ザゴータミンを「田舎料理の出し方」だと認識している人もいるが、カチン料理が発祥だったと覚えている人も少なくない。
ところが、カチン州の州都ミッチーナで聞くと、「ザゴータミンはコーカン族が起源」と言う人が多い。
「コーカン料理とカチン料理は味付けや調理法が似ているので、コーカン族発祥のザゴータミンをカチン族の伝統と思い込んでいる人がいる」と言うのだ。
そして、彼らのこの言い方を聞く限り、ザゴータミンはヤンゴンっ子が解釈している「単なる盛り付けのスタイル」ではなく、ザルの中にのせる惣菜の種類や味付けも含めての「ザゴータミン」ということのようだ。
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