この7月に入って突如、ヤンゴンで大流行を巻き起こしているスイーツがある。
アンブロジアというベーカリーメーカーが作るオンノオターグーだ。
オンノオターグーとはミャンマーの伝統的なお菓子で、「オンノオ」はココナッツ、「ターグー」はタピオカのこと。
もちっとしたタピオカの塊にココナッツミルククリームをのせて焼いたもので、市場や街角の菓子店なら大抵おいているミャンマーを代表する伝統菓子のひとつだ。
そんなありふれた伝統菓子が、なぜいまさらこれほど人気を博しているのだろうか。
その理由としてまず挙げられるのは清潔感だ。
従来のオンノオターグーはタライに入った状態で店頭に並べ、売り子がその場で切りとってビニール袋などに入れて販売していた。
それに対しアンブロジアのオンノオターグーは、アルミトレイに入れて焼き上げ、それをアメリカンテイストのイラストを描いた箱に入れて売っている。
このスタイルはここ数年増えているピザのデリバリー店をイメージさせ、ミャンマー人はローカルの菓子店よりも衛生的だと感じるようだ。
次にバリエーション。
これまでオンノオターグーにはココナッツミルク味しかなかったが、アンブロジアではドリアン味とココナッツ味から選ぶことができる。
ミャンマー人はドリアン好きが多いので、これもかなりの高ポイントだ。
さらに注目すべきは販売の方法。
アンブロジアの工場は、ヤンゴン中心部からヤンゴン川を橋で渡った西岸のラインタヤー地区にある。
同地区は中心部から遠い上に貧困層が多く、中心部に住む富裕層のミャンマー人の中には足を踏み入れたがらない人もいるほど。
そこで、工場で焼きあがったばかりの出来立てをデリバリーサービス会社・YGNスターデリバリー社を通じ、街中の路上に停めたバン2台で販売しているのだ。
販売する場所と時間は、YGNスターデリバリー社のFacebookで毎日告知。
バン1台につき50~60個ほどを毎日販売する。
人気沸騰のため、売り始めて1時間もすれば売切れてしまうことも珍しくない。
つまり、Facebookで告知があったらすぐに駆けつけないと間に合わない。
こうした希少性が、さらに人気を高めているといえる。
ちなみに、アンブロジアの工場で直接買うとMサイズ7000チャット(約540円)の商品は、街中の移動バンで買うと8000チャット(約620円)。
デリバリーサービス会社は、1つにつき1000チャット(約80円)の利益をとっている。
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