2017年秋、ヤンゴンとマンダレーを結ぶハイウェイ沿いに、「ケンタッキーフライドチキン76マイル店」がオープンした。
人家ひとつないだだっ広い空地と田畑が広がる道路脇にファストフード店が煌々と明かりを放つ光景は、ミャンマーでは画期的なものだ。
今回は、ミャンマーにおける長距離車両移動をめぐる飲食店状況についてレポートする。
経済的には鎖国に近い状況が長く続いたためか、ミャンマーのインフラ整備は著しく遅れている。
航空券は高額で、鉄道網は国内を網羅しているものの保守点検がなされていないためスピードが出ず、本数も少ない。
いきおい、庶民の長距離移動手段はバスが主流となっている。
ヤンゴンにはダゴンエアとアウンミンガラーの2つの長距離バスターミナルがあり、特に後者はその広大な敷地内に100を超えるバス会社が軒を連ねる。
ヤンゴンのバス会社は一部の例外を除いて零細経営が多く、1社が2、3の路線に1日各2~5便ほどを走らせており、ターミナルではひっきりなしに大型バスが出入りしている。
長距離バス会社は通常のバスに加え、ハイクラスのエアコン車両を使った「VIP」と呼ばれるバスを走らせているところが多い。
VIPバスには日本の中古観光バスを利用するケースが目立ち、「○○観光」といった日本のバス会社のペインティングをそのままにして走るバスも少なくない。
日本製車両であることがステイタスのひとつとなっているためだ。
それがここ3年ほどで様変わりした。
VIPのさらに上を行く、3列シートの「ビジネスクラス」バスが増えてきたのだ。
ビジネスバスは5、6年前からあったが、2014年頃までは主な乗客は外国人観光客で、乾季の旅行シーズン中でも比較的席がとりやすかった。
それがミャンマー全体の経済が上向いて中流層が厚みを増し、ミャンマー人の国内旅行が盛んになってくるとそうした層もビジネスバスを利用し始め、今や人気路線の場合、当日では座席がとれないほどになった。
従来のVIPバスは乗客に水しか配っていなかったが、ビジネスクラスバスでは同乗した乗務員が菓子パンやミニケーキが入った軽食ボックスや歯磨きセット、缶ジュースなども配る。
新発売のドリンクやベーカリーの商品が配られるケースが目立つのは、ビジネスバスを利用する層へ向けての販促を狙っているのだろう。
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