ベトナムで飲める日本酒や焼酎と言えば「フエフーズ」の商品。
今回は、前回新酒会の記事でもご紹介しました、フエの日系酒造メーカー「フエフーズ」現地代表、黒川邦彦さんにインタビューさせて頂きました。
記者:簡単な経歴を教えてください。
黒川氏:大学卒業後は10年間、製粉会社に勤めていました。
その後、後の「フエフーズ」の親会社となる「サイタホールディングス」に転職しました。
フエの工場立ちあげから10年は、出張で2、3ヶ月に1回フエに来ていましたが、気付いたら在住になり、今年でフエに住んで13年目になります。
記者:ベトナム進出のきっかけは何ですか?
黒川氏:本社は建設業、砕石業が本業で、当初は砕石業でベトナム・フエに展開する予定でした。
しかし、バブルがはじけた頃、銀行・監査法人が内向きになり、海外での新規事業が難しくなり、砕石業での展開ができなくなりました。
創業者は終戦後は力仕事ばかりでしたが、当時、造り酒屋は景気がよく、いつも羨ましく思っていたそうです。
創業者はお酒が飲めないものの、造り酒屋への憧れがあったそうですが、日本では新規に酒造業へ参入するのは不可能で、夢で終わりそうでした。
しかし、砕石業の視察として行ったフエにはお米も沢山あり、水も良いので、自分でも酒造りができるのでは無いか?と気付き、友人の蔵元の協力を得て試験製造を繰り返し、現在の「フエフーズ」ができました。
私は親会社へは上場手続き等経理として入社し、一生を福岡で終えると思っていましたが、パキスタン事業を手始めに海外事業を担当し、ベトナムに出張ベースで来るようになり、現在に至ります。
記者:ベトナム進出前に準備したことは何ですか?
黒川氏:何度も出張へ来て事情がわかってたので、特に用意はしなかったです。
記者:どの様なお客様がいらっしゃいますか?
黒川氏:現在、べトナム全土で30社程の代理店を通して販売しております。
お客様は90%がベトナム人市場、10%が日本人ほか市場です。
記者:人気の商品を教えて下さい。
黒川氏:全体だと焼酎、特に芋焼酎の「いも一」が一番人気です。
清酒「越の一」は日本人のお客様や日本に興味があるベトナム人のお客様に人気があります。
記者:ベトナムで苦労したこと、大変なことは何ですか?
黒川氏:未だに、いろんな形の苦労をしていますが、根本的な問題はやはり人の問題だと、今でも思っています。
うちでは、私とベトナム人スタッフの距離感がものすごく近く、会社、代理店まで含めて「家族」という意識をお互いにもって接しています。
ほかの日系企業を知るベトナム人から、フエフーズはほかの日系企業とは雰囲気が違うということを時々言われますが、いい意味でそう言ってもらえてるんだろうと勝手に思っています。
お恥ずかしながらベトナム語はできず、通訳に頼っています。
かみくだいた日本語で、ゆっくりと、できるだけわかりやすいように、言い方を変えながら何度も話しています。
たまに帰国すると、家族から、「話し方が変わった」、「変」、「ゆっくり過ぎる」ということを言われ、苦笑します。
最初の頃は、「日本のやり方が良いんだ」という風に言い切ろうとしたこともありましたが、ある時点で、ふと力が抜けたというか、「そうなんだ、ここはベトナムなんだ」と思えるようになりました。
その頃から自分の考え方が変わった気がします。
ベトナム人の考え方も理解できるようになりましたし、最近では、日本が異質、異常なんだと思うようになりました。
時間の流れ方、もともとの文化、根本的な考え方が違うのですから、日本のやり方を一方的に押し付けるということはせず、お互いの違いをきちんと認識した上で、考え方に共通の素地を作り、ベトナム人と同じ目線で考える、同じ釜の飯を食うということを大事にして、相互信頼のもとやっていきたいと思っています。
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