インドネシアではバイクタクシーの配車サービスが急成長している。
その筆頭格は『Go-Jek』。
今やベンチャー企業の域を出て、更なる多角化を目指している。
だが何より、都市部の市民へ多大な数の働き口を与えているという功績がある。
首都ジャカルタには地方からの出稼ぎ労働者が多くいる。
では、彼らがどのような職業に従事しているのか。
よほどの専門的スキルがない限り、殆どは肉体労働に稼ぎ口を見出す。
バイクタクシーもその稼ぎ口のひとつだ。
Go-Jekは出稼ぎ労働者に対しての雇用を創出していると表現してもいいだろう。
そしてGo-JekやGrabといったオンライン配車サービスは、それに付随する産業をも生み出している。
インドネシアには「ワルン」と呼ばれる小売店舗が存在する。
どの地区にも必ずひとつは存在し、コーヒーからちょとした食事、日用品、店によっては携帯電話の通信度数も販売している。
この国の実体経済を測る上では欠かせないセクターでもある。
そのワルンを現代化した『Warung Pintar』というフランチャイズがジャカルタに登場した。
これはユニット化された小規模店舗で、開業資金と店舗を設置できる土地があれば誰でもワルンを経営できるようにしたものだ。
日本のキヨスクよりもさらに小さい、どちらかと言えば屋台のような店舗である。
だが、Warung Pintarは旧来のワルンの想像を超える位置に立っている。
というのもWarung Pintarは、Wi-Fiと充電用プラグ差込口の設備が用意されているのだ。
ここに来れば、スマートフォンの電力と通信度数に頭を抱えることはない。
これはすなわち、配車サービスのライダーを想定した機能だ。
同じ配車サービスでも自動車のドライバーであれば、スマホの電力にはあまり困らないだろう。
しかしバイクタクシーのライダーは違う。
彼らにとって、モバイル電力は生活に必須のものと言える。
スマホの電池切れは死活問題だ。
Warung Pintarの店舗は先述の通り、ユニット化されたものである。
土地さえあれば、すぐにでも店を建設できるようになっている。
もちろん無造作に店舗を設営するわけにもいかないから、オーナー志願者は審査を通る必要がある。
今年の2月にはジャカルタ市内に数店舗を設けるのみであったWarung Pintarだが、11月にはすでに900店舗以上設立された。
今回筆者は、中央ジャカルタのサリナデパート近くにある店舗・Timor16店に赴いた。
ここは3号店だという。
店内には監視カメラがあり、セキュリティー面も充実している。
お茶、コーヒー、ジュース、駄菓子からタバコ、軽食、日用品、さらには携帯電話の度数も販売されていた。
配車サービスのライダーにとっては必要なものばかりである。
そして、この店舗には独自のWi-Fi設備がある。
店主からパスワードを聞き出せば、誰でも利用できるようになっている。
下の写真の「WP Timor 16」がそれだ。
電源プラグ差込口も用意されているから、バイクタクシーのライダーが待機するにはちょうどいい場所だ。
インドネシアでは、相当数の国民にスマホが行き届いている。
2018年11月の時点で、インドネシアで販売されているスマホは100万ルピア台の機種でもRAM2GB、ROM16GBが当然になった。
オンラインゲームをするにはかなり物足りない性能だが、GPS連動の業務用アプリを動かすには十分である。
スマホさえあれば、誰でもちょっとしたビジネスを始められる時代に突入している。
インドネシア政府もそれを目論んでいて、この国では外資より内資、大企業より中小零細業者の発展を優先する姿勢を明確にしている。
Warung Pintarもその例に漏れず、現地のワーキングクラスの市民に経済的恩恵を与える有望なビジネスとして更なる拡大が期待されている。
【参考】
Warung Pintar
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