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インドネシアは「世界ドーナツ大戦」の主戦場だった

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インドネシアでは今、ドーナツを巡る戦いが繰り広げられている。

東南アジアは、小麦の収穫がほとんどない地域だ。
しかしだからこそ、近年の経済成長に伴って小麦粉の需要が急拡大している。

インドネシアでも、小麦飲食業が伸びてきた。
しかもそれは、今までの課題だった「地場産業の国際展開」を可能にしている。

地場企業の躍進

インドネシアで国際競争力のある地場企業といえば、何だろうか?

すぐに思いつくのは、ガルーダ・インドネシア航空である。
だがはっきり言ってしまえば、この国に「国外で勝てる企業」というのはまだ少ない。
日本のように、全国各都道府県が何かしらの分野の国際企業を有しているというわけではないのだ。

だから、J.COドーナツには大きな期待がかかっている。

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J.COドーナツはインドネシア初の飲食チェーン店として、すでにASEAN各国に進出している。
その営業戦略は、SNSをフル活用したプロモーションだ。
顧客に商品の画像を遠慮なく撮影してもらうことで、「SNS映えするドーナツ」という印象を形成することに成功した。

インドネシア国内ではショッピングモールや主要鉄道駅の構内などに店舗を構え、手軽かつ高級感を味わえる飲食店として若者の支持を集めている。

これが、どれだけ難しいことか。
インドネシアは、アメリカナイズが行き渡っている国である。
とくに若者は、自国のものより外国のもののほうをクールと考えがちだ。
にもかかわらず、J.COドーナツは厳しい市場でシェアを拡大している。

強力な外国勢

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強力なライバルがいることも忘れてはならない。

J.COドーナツに並ぶ勢力といえば、米ダンキンドーナツである。
現地に行けば分かるが、インドネシアのドーナツ市場はJ.COドーナツとダンキンドーナツが二巨頭となっているような形だ。

ところが最近では、その隙間をくぐるように日系ミスタードーナツがシェアを伸ばしている。

ミスタードーナツの現地戦略は、コンビニでの店頭販売である。
地場店舗のインドマレットと組み、販路を拡大させている。
じつはこのあたり、一筋縄では行かない事情があるようだ。
というのも、インドネシアにはすでに日系セブンイレブンが進出しているにも関わらず、ミスタードーナツを運営するダスキンは日系同士のタッグを組むことを選ばなかった。

それはなぜか?

セブンとミスド

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インドネシアには、「400平米以下の小規模店舗は外資参入禁止」という規制がある。

これはもちろん、コンビニも含まれている。
すなわち、外国企業がインドネシアへコンビニを進出させることは理論的には不可能なのだ。

ではセブンイレブンはどうしたのかというと、現地パートナーと提携してその企業に経営を委任した。

だが、それが仇になった。
日本の本社が経営に関して積極的に指示ができないという状況を生み出してしまったようだ。
苦肉の策として店舗を「小規模販売店」ではなく「レストラン」という形で事業認可を申請していたりもしたが、案の定限度があった。
日本で培った「コンビニとしての店舗拡大」のノウハウが使えない時点で、苦戦は必至だったのだ。

恐らくこれが原因で、同じ日系の飲食チェーン店の協力を得られなかったのではないか。
結果的にミスタードーナツは、ローカルとの連帯を選択した。

日本本社との連携不足に苛まれたセブンイレブンは6月に全店閉鎖に追い込まれ、そのことが経済メディアでも大きく取り上げられる事態になってしまった。
逆に言えばミスタードーナツの選択は間違っていなかったということだが、やはり日系社会に与えた衝撃は小さいものではなかった。

インドネシアでは、こうした経済闘争が今も熾烈を極めている。

この記事を書いた人(著者情報)

澤田真一

フリーライター、グラップラー。175センチ88キロ。ASEAN経済、テクノロジー関連情報などを各メディアで執筆。

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