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【タイ・仕掛人インタビュー】しゃかりき432”オーナー清水友彦氏

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Q:どうして、タイに進出を?
A:それを聞かれると、辛い。しかも、話しが長くなる。でも、聞きたくなるのは当然やわね。誤解を恐れずに言うけど、実は俺、大阪から逃げて来たのよ。あっ、勘違いせんどいて。何か悪いことしたんとちゃうから。

トラックの運転手と居酒屋のアルバイトで貯めた金で独立したのが26歳の時、JR野田駅の近くに「しゃかりき432”」を出した。居酒屋経験あるって言っても、アルバイトの調理経験だけ。接客も経営も、実のところズブの素人。「何とかなるだろう」と思うしかなかった。今でこそ、「見切り発車」なんて笑って言っているけど、実は心の奥底で戦々恐々だったんだろうと思う。

約30席の野田本店を皮切りに、新福島、梅田、なんば、地獄谷、大開という具合に、店舗は最大6店まで拡大した。この時も周囲からは「成功事例」のように見られていたけど、正直のところ店を回すので精一杯やった。回りが見えなくなってね。そんな時のことだった。スタッフの一人が辞めると言い出してね、櫛の歯が抜けたように次々と去って行った。「どうして!」って感じ。

Q:苦労があったんですね。
A:いつの間にか、スタッフを管理するのが俺の専任の仕事になってしまっていた。「俺の言うことを聞け」って具合に。でも、それじゃあ、付いて来ない。「独立する」と言って辞めたスタッフが、すぐ近くの立地でしかも同業態で店を出されたこともあった。悪い時には重なるもんで、店が火事になったり、立ち退きに合ったり。すっかり意気消沈したのが、このころですわ。

そんな時に、タイに出会った。気分晴らしに友達と旅行に出かけた先がタイやった。みんな温かいし、笑顔が人懐っこい。もう、アドレナリンがどっと出たね。「ここだっ!」って感じ。すぐに大阪に戻って母ちゃん(妻)に相談した。「ダメかな」って心配も少しあったけど、ドンと背中押されてね。高校生の息子が一人いてねんけど、「行っておいで。こっちは任せてき!」と言ってくれた。

それからは早かった。6店舗のうち4店舗を売却して事業資金を捻出。市場調査や身支度を済ませてタイに渡ったのは2012年5月。もちろん、俺たった一人。右も左も分からない。

Q:そんな事情があったのですか。で、タイには知り合いは?
A:なーんにも、おまへん。2日後にはバイクを調達して、飲食店回り。「こんちはー!」って感じでね。最初は散々だったですよ。「なんだアレ?」「大阪人、大っ嫌い!」。なんてことも言われた。でもね、めげなかかった。それ以上に興奮していたんだと思う。「店、作ろう。ここでリベンジや!」ってね。

しばらくして事業のタイ人パートナーも見つかった。これがまたいい人で、つい熱くなって突っ走ってしまう俺を「清水、落ち着け。冷静になれ!」って、なだめてくれてね。何度も助けられましたわ。1号店がオープンしたのは、定住から2カ月後のことやった。

Q:異国の地で思わぬトラブルもあったのでは?
A:もう、日本では考えられないことばかりですわ。ダクトが故障して店内が煙で充満したり、電気が届かなくて開店ができなかったり。ライフラインというのは大切だなと、つくづく思いましたわ。そん中でも一番きつかったのは、政治混乱でアソーク本店の前が通行止めになったことやね。

通行止めは2カ月半にも及んだ。一時は外出禁止令も出されていたから、客足がぱったり止まって。売り上げが落ちると、良からぬこともつい考えちゃう。「バンコク・シャットダウン」なんて言っていたけど、「しゃかりき」のほうが先にノックダウンされそうでしたわ。どうにか、大阪の母ちゃんに頼み込んで資金注入で乗りきりましたよ。

この記事を書いた人(著者情報)

kobori

2011年11月、タイ・バンコクに意を決して単身渡った元新聞記者。東京新聞(中日新聞東京本社)、テレビ朝日で社会部に所属。警視庁記者クラブで2・4課担当を通算4年経験。銀行破綻などの各種金融事件、阪神大震災、オウム真理教事件などの取材にも当たった。事件記者出身だが、取材対象は政治・経済、社会、科学、文化までなんでも。日本の新聞、雑誌、タイのフリーペーパーやウェブサイトなどでも執筆中。著述、講演多数。

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