今回はバンコクで店舗開発にも携わる私が、この一年で実際に直面した店舗契約に関する問題についてオモテとウラの両面で取り上げてみようと思う。
タイでの事例のみとなるが、ASEAN全体で同様の問題がある様子、物件を検討する際は、契約前に十分に注意を払っていただきたい。
まずはオモテの話。
【1】新規にレストラン営業許可が出なくなった一軒家物件
昨年からバンコクでは一軒家物件に対してレストラン営業許可が出なくなったと話題になっている。
これまでも、建築申請の際の使用目的が「住居」として登録されていた場合は本来「住居」としての使用以外は許されなかったのであるが、袖の下や裏金で秘密裏に許可がなされてきたのだ。
それが至極当然のことではあるが、本当に住居としてしか使えなくなってしまった。
背景にあるのは、軍事政権による警察や市町村の許認可の厳格化と公務員の贈収賄の取締強化。
「住居」から「商業」へと当初の登録内容の変更申請をし、レストラン営業許可を改めて取得することは可能であるが、天井高が3.5M以上必要などといったハードルの高い条件をクリアしなければならない。
また、目当ての一軒家でレストラン営業許可をすでに取得している法人ごと買収してしまうという方法もあるが、
その法人が過去にちゃんと税務申告をしているか?
(過去に未払いがあると引き継がなければならない。)
隠れ債務がないか?
といった何が潜んでいるかわからない危険性があり、綿密な事前確認を必要とする。
また、それらの事項をクリアしていたとしても、2年前から大学、専門学校の近くでのアルコール販売を禁止するといった規制が始まったこともあって、アルコールライセンスが取得できるかどうかなどもあわせて確認しなければならない。
元のテナントから居抜きで買い取ったものの、レストラン営業許可が下りなかったという問題も既に発生している。
売主である元のテナントも日本に逃げ帰っており、結果泣き寝入りを余儀なくされたといったことも実際に耳にした。
特に一軒家物件のいい話には十分に注意を払っていただきたい。
タウンハウス物件も同様である。
タウンハウス物件は、建築申請の際、1階もしくは1階~中2階までを「商業」目的で申請し、2階から上を「住居」として申請、登録されている場合が多い。
今までは「住居」として登録されていた2階以上も含めて客席などとして商業利用することは見逃されてきたが、今後は「商業」目的で申請されていたフロア以外について、客席などとして商業利用することは出来なくなってしまった。
1階、中2階だけでレストラン営業許可を取得しオープンすることは容易であり問題ないが、2階から上が「住居」として申請されていた場合でそちらも客席として使用したい時には、まず「商業」目的で申請し直さなくてはレストラン営業許可が下りなくなったのだ。
あとから改装して黙ってオープンしたとしても、火災保険に加入することが出来なかったり、万一、火災が起きて焼失した場合、保険金が払われないということもあり得るので十分に注意しなければならない。
続いてウラ話。
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