また、東京・渋谷にある国連大学でも在日ミャンマー人による抗議活動が行われたように、ミャンマーの一般市民が今後、今回のクーデターに反対するデモを実施し、国軍との間で暴動や衝突が発生する恐れもあるので、それらに巻き込まれないように注意する必要はあるでしょう。
日本の外務省も、不要不急の外出を控えることを呼び掛けています。
一方、今回のクーデターは政治的にも大きな出来事と言えます。
アメリカのサキ大統領報道官は、アウンサンスーチー氏などの即時解放を求め、解放されなければ責任者たちに対して経済制裁など対抗措置を発動する可能性を示唆しました。
トランプ政権と異なり、バイデン政権は人権や民主主義などを重視することから、今後アメリカとミャンマーの間では外交的、経済的に関係が悪化する可能性があります。
一方、中国はアメリカとは正反対の立場にあります。
中国外務省は、ミャンマーは友好国であり、憲法に基づいて政治と社会の安定を守るように希望するとの声明を出し、クーデターについて静観する立場を取りました。
長年、中国は巨大経済構想「一帯一路」に基づきミャンマーへ多額の資金援助を行っており、両国は政治的、経済的に蜜月関係にあります。
また、中国は東南アジアでの影響力維持・拡大、インド洋への進出を目指すため、地理的にもミャンマーを重視しており、この姿勢は今後も変わらないでしょう。
今後、アメリカのバイデン政権とミャンマーの関係が悪化すると予想される中、中国はそういった隙をついてこれまで以上にミャンマーに接近する可能性があると言えます。
ここにも米中対立の構図が見られ、今回のクーデターは東南アジアにおける米中間競争にも影響を与えそうな状況です。
今回のクーデターを巡っては、隣国のタイでも抗議活動が行われるなど、ASEAN全体にとっても大きな問題になっています。
今後も治安情勢や経済情勢が流動的に変化する可能性があるので、引き続き注視していく必要があります。
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